リーガルテックとは?注目されている背景や主なサービス、関連銘柄も

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リーガルテックは、人工知能(AI)やクラウドコンピューティングなどの最新テクノロジーを法律業界の業務に応用し、業務プロセスを効率化することで、クライアントへのサービス向上を図ることが目的です。また、これまで敷居の高かった法律サービスを、リーガルテックを通して個人でも受けるケースもあり、あらゆる法的ニーズに対応した環境構築が期待されています。

この記事では、リーガルテックの特徴や注目されている背景、主なサービス、関連銘柄等について解説していきます。リーガルテックについて詳しく知りたい方や同関連銘柄への投資を考えている方は、参考にしてみてください。


※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2023年8月24日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. リーガルテックとは
    1-1 クロステックに取り組む必要性とは
    1-2 リーガルテックが注目されている背景
  2. リーガルテックの種類
    2-1 電子契約
    2-2 契約書レビュー
    2-3 リーガルリサーチ
  3. 国内のリーガルテックのサービス
  4. リーガルテックのメリット・デメリット
  5. リーガルテック関連銘柄
  6. まとめ

1 リーガルテックとは

リーガルテック(Legal Tech)とは、法律関連の各種業務の利便性や効率性の向上を図るAIやテクノロジーを活用した製品・サービスのことです。「法律(legal)」と「テクノロジー(technology)」の2つの言葉を組み合わせた造語であり、既存のビジネス分野と最新テクノロジーを組み合わせるクロステック(X-Tech)の1つです。

クロステックとは、各業界のビジネスとAIやビッグデータ等の最先端技術を組み合わせる取り組み、またそうした取り組みで誕生した新たな製品・サービスを指します。クロステックの例として、リーガルテックの他、金融と最先端技術を組み合わせたフィンテック(Fin Tech)等が一例として挙げられます。

1-1 クロステックに取り組む必要性とは

日本国内では、人口減少や少子高齢化による労働人口減少が深刻化するなか、育児や介護と仕事を両立させられる働き方が模索されています。企業や事業者が、こうした環境下で事業成長をしていくには、最先端技術を活用し、長時間労働の改善や柔軟な働き方ができる環境を整える必要があります。

また、グローバル市場で事業の競争力と優位性を確立するには、変化の激しい今日のビジネス環境に対応することも必要です。多様な社会や顧客の需要に対応するため、様々な事業者がAIやビッグデータを活用した製品・サービス・ビジネスモデル等の開発を進めています。

こうした流れを受けて、政府もまた、働き方改革やDX化(デジタル技術を社会に浸透させ、人々の生活をよりよいものにしていくこと)を推進しています。

1-2 リーガルテックが注目されている背景

働き方改革やDX推進政策に各企業が対応するには、デジタル技術の活用が不可欠です。法律業界では、リーガルテックの関連製品やサービスの導入が進んでいます。リーガルテックは、業務の利便性や効率性を向上させる他、生産性を高める効果が期待されています。

リーガルテックを導入する企業や法律事務所は、年々増加しています。市場調査会社の矢野経済研究所によると、国内のリーガルテックの市場規模は、事業者売上ベースにおいて、2016年~2023年までの間で年9.8%成長し、2023年には353億円(2018年は228億円)に拡大すると予測しています。
(※参照:矢野経済研究所「リーガルテック市場に関する調査を実施(2019年)」)

2 リーガルテックの種類

リーガルテックを活用することで、法律業務の効率化・単純化を図ったり、専門的な法律の知識・情報を短時間で取得したりするなど、様々なメリットがあります。リーガルテックを用いた法律関連業務の例は、以下の通りです。

2-1 電子契約

電子契約とは、紙の書面等を使わずに電子的な手段を用いて交わされる契約のことです。クラウド上の契約システム内で当事者が合意をし、電子署名を行い、契約内容は電子データとして保存されます。電子署名とは、電子データに対して、契約当事者が付与する署名のことを言い、書面契約における署名押印に相当するものです。

こうした電子契約は、従来の書面契約の方法と比べて様々なメリットがあります。例えば、クラウド上で契約が完結する電子契約は、契約書の作成・印刷、相手側との書類のやり取り等を要する書面契約よりも、契約締結までの時間短縮と作業効率向上につながります。その上、書面契約を締結する際に課税される印紙税、書類の郵送費、書面の契約書の保管費用等も不要となります。

また、電子契約における電子データの安全性や信頼性確保のために、タイムスタンプが活用されているのも特徴です。タイムスタンプとは、ある時点において、電子データが存在していたこと、及びその電子データがいつ作成されたかを証明する技術です。タイムスタンプを電子データに付与することで、その時点以降でデータが改ざんされていないかを確認するための機能です。

2-2 契約書のレビュー

契約書レビューとは、契約書の記載内容について法的有効性やリスクの存在等を確認する、弁護士や法務部門によるチェックのことです。企業や事業者がクライアントと取引をする場合、取引内容におけるルールを定めた契約書を作成します。しかし、契約書の内容に法的な不備があったり、内容が不明確であったりすると、予期しないトラブルや紛争に巻き込まれたり、取引先側から賠償責任を請求されたりするリスクがあります。

こうしたリスクを防ぐためのチェックをAI技術で行うサービスが、リーガルテックによる契約書レビューサービスです。AI技術によって短時間で契約書の記載事項に存在する内容不備やリスク等を拾い出すことで、レビューに関わる人材コスト等の削減や、業務品質の平準化を図れます。

2-3 リーガルリサーチ

業務上想定される法的トラブルやリスクを回避するため、各種法令・判例等の情報を調査するリーガルリサーチを企業の法務部門や法律事務所は行っています。リーガルリサーチの主な方法は、対人調査や、書籍・資料等で調査する文献調査の他、インターネット上で調査する電子調査等があります。

リーガルテックを用いたリーガルリサーチとは、デジタルデータによるリサーチを行うシステムやサービスのことです。書籍名や規定名、論点等様々なキーワードから検索する機能に加え、検索した書籍の情報を共有したり、拡大・縮小、印刷したりする機能が備わっているツールがあり、業務効率の向上を図れます。

3 国内のリーガルテックのサービス

それでは、国内のリーガルテック関連サービスを見ていきましょう。

GMOサイン

GMOサインは、GMOグローバルサイン・ホールディングス株式会社(3788)が提供している電子契約サービスです。「立会人型」と「当事者型」の2種類の電子署名を提供しているのが特徴です。

「立会人型」とは、システムの履歴(メール認証等)を利用して本人性を保証する契約印タイプの電子署名であり、契約利便性を重視したタイプのサービスです。一方、「当事者型」は、電子認証局が発行した本人確認済の電子証明書で、本人性を保証するサービスです。「当事者型」の電子署名は、厳格な本人確認や法令遵守の重視が求められる場合の利用が想定されます。

また、GMOサインの電子署名は、契約当事者の双方が「立会人型」または「当事者型」を利用するケースの他、当事者の一方が「立会人型」、もう一方が「当事者型」を選択する「ハイブリッド署名」のオプションもあります。電子契約締結の際に、自身の電子署名は厳格な形で行いたいものの、契約相手は作業負担を最小限に抑えたい場合などを想定し、提供されています。

GVA assist

GVA assist(ジーヴァアシスト)は、AIを活用した契約書レビュー支援を行うクラウド型のサービスツールで、リーガルテック関連サービス事業を行うジーヴァテック株式会社が提供しています。

GVA assistは、AIの技術を活用し、契約書レビュー時の「読む」「直す」「仕上げる」の負担軽減に取り組んでいます。例えば、契約書を読む場合、「リスクを含む単語」「不足している単語」「不足している法律の条文」をAIが検知し、利用者に重点的に読み込むポイントを案内する機能があります。

また、契約書を直すときは、推奨案、譲歩案、別案などの様々な場面を想定した条文がシステム内に搭載されています。契約書を仕上げる際は、表記ゆれや条文番号のずれ等をワンクリックで修正する機能や、文書の新旧比較をするための機能が搭載されています。

LEGAL LIBRARY

LEGAL LIBRARY(リーガルライブラリー)は、各種法律専門書をクラウド上で検索するリサーチツールサービスで、株式会社Legal Technologyが提供しています。LEGAL LIBRARYには、法律専門書・官公署の資料・パブリックコメント等が1,600件以上収録されているため、各種法令・判例、資料等を幅広く検索できます。

LEGAL LIBRARYには、リーガルリサーチ業務を補助する様々な機能が搭載されている点も特徴です。例えば、書籍のタイトル・著者だけではなく、各書籍の目次・本文全部を対象とする横断的なキーワード検索機能があります。また、読み返したい箇所をブックマークしたり、書籍掲載の契約書の書式やひな形をワード・エクセル等でダウンロードしたり、書籍の本文をコピー&ペーストしたりする機能があるため、書面作成作業の効率化を図れます。

4 リーガルテックのメリット・デメリット

このようにリーガルテックを用いたサービスは様々ありますが、メリット、デメリットそれぞれを理解し、目的やトラブル時の対応方法を明確にした上で活用することが重要です。

メリット

  • 膨大な情報の調査、レビュー、データの管理等の作業が効率化される
  • 郵送代、紙代、インク代、印紙代等のコストが削減される
  • 担当者による業務品質のばらつきを防ぐ
  • オンライン上で契約書を一元管理することで、コンプライアンス対応や訴訟対応の業務も効率化される

デメリット

  • 電子契約が認められない場合や、取引先が電子契約に対応していない場合がある
  • サーバーダウンや、サイバー攻撃等によりサービスが活用できないリスクがある
  • AIによる判断が100%正しいとは限らないリスクや、法律上の扱いに留意する必要がある

2023年8月1日、法務省はAIによる契約書審査に関する指針を公表しました。今後、政府によるAI活用に関わる指針の策定や見直し作業が進むことで、法的な扱いがさらに明確化されることが期待されます。

(※参照:法務省「AI等を用いた契約書等関連業務支援サービスの提供と弁護士法第72条との関係について」)

5 リーガルテック関連銘柄

この他、リーガルテック関連銘柄として、フロンテオ(2158)、ココナラ(4176)、弁護士ドットコム(6027)などが挙げられます。

フロンテオ

フロンテオ(2158)は、2003年に設立された、国際訴訟や不正調査に必要となるコンピュータ等の電子機器に残る記録の証拠保全、調査、分析や電子データの開示等、リーガルテック関連事業を中心に行うデータ解析企業です。日本国内だけでなく、アメリカ、韓国、台湾にも拠点があります。リーガルテック事業培ったAI技術を活用し、金融・知財・医療等の分野にも事業を拡大しています。

ココナラ

ココナラ(4176)は、2012年に設立された、個人や企業・事業者等の知識・技術・経験を売買するプラットフォームを提供する企業です。「ココナラ法律相談」というリーガルテック関連の事業も行っています。ココナラ法律相談では、法律的な悩みを投稿した後、弁護士に無料回答してもらう機能や、法律相談や法律手続を依頼する弁護士を検索する機能があります。

弁護士ドットコム

弁護士ドットコム(6027)は、2005年に設立された、インターネット上の無料法律相談や法律事務所の検索等のサービスを提供する企業です。現在は、「弁護士ドットコム」のサービスに加え、税理士への相談や検索サービスである「税理士ドットコム」も手掛けています。2015年10月に、契約締結から契約書管理までを行うクラウド型の電子契約サービス、「クラウドサイン」をリリースしています。

このように、リーガルテックの関連製品やサービスは、法律関連業務の効率化や利便性の向上を図れることから、利用者の増加や事業規模の拡大が期待されます。

6 まとめ

業務効率化・生産性向上の実現や事業のDX化の影響により、法律関連の業務でリーガルテックの導入が広がっています。リーガルテック関連銘柄に関心のある方は、ご自身でもお調べになった上で、慎重に検討してみてください。

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