米国で8月にインフレ抑制法(IRA法)が成立したことで、太陽光発電関連銘柄が注目されています。連邦政府が今後10年間に、再生可能エネルギーのインフラ整備などに巨額の拠出をすることになったからです。同時に、太陽光発電システムの購入者には10年間の税額控除も行われます。
今回は、同法の概要およびバイデン政権の気候変動対策の一環で恩恵を受けそうな企業を紹介します。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※2022年9月9日時点の情報をもとに執筆しています。最新の情報は、ご自身でもご確認をお願い致します。
目次
1.IRA法とは
まず、インフレ抑制法(Inflation Reduction Act=IRA法)について、簡単に説明します。2022~2031年度までの10年間に、財政赤字を約3,000億ドル削減して物価高騰を減速させる一方、連邦政府が約4,000億ドルを拠出して気候変動対策や医療費の引き下げに取り組むというものです。
注目されているのが、気候変動対策に投じられる額です。再生エネルギーのインフラ導入や電気自動車の購入、エネルギー効率の高い住宅整備などへの税額控除を中心に、3,700億ドル超が拠出されることになりました。IRA法では、2030年までに温室効果ガスの排出量を2005年比で40%削減することを目指しています。
2.太陽光発電の普及率が低い米国
同法の成立により、再生エネルギー、中でも太陽光発電業界に大きな恩恵が及ぶと見られています。米エネルギー情報局の統計では、米国の総発電量に占める太陽光の割合は2021年時点で2.8%に過ぎないからです。風力(9.2%)、水力(6.3%)にも及びません(参照:EIA “Frequently Asked Questions (FAQs)“)。
逆に、これから普及する可能性があると言えます。米政府は2030年までに、国内で新たに9億5000万枚のソーラーパネルが設置されると見込んでいます(参照:The White House “BY THE NUMBERS: The Inflation Reduction Act“)。
3.期待を集めるファーストソーラー
こうしたなか、投資家の期待を集めているのが太陽光発電業界大手のファーストソーラー(ティッカーシンボル:FSLR)です。
同社は8月30日、米国南東部での新工場建設と既存のオハイオ工場の生産能力拡充に、最大で計11億8500万ドルを投じる計画を発表しました。新工場については、2025年の稼働を予定しています。
マーク・ウィドマー最高経営責任者(CEO)は発表文で、米国内での巨額投資を決めた理由としてIRA法の成立を挙げました。太陽光発電施設の設置などに対する税控除が10年間にわたることがインセンティブとなったのです(参照:First Solar, Inc. “First Solar to Invest up to $1.2 Billion in Scaling Production of American-Made Responsible Solar by 4.4 GW“)。
実際、ファーストソーラー株は上昇基調です。9月2日に上場来高値となる130.95ドルまで上昇したほか、8月の1カ月だけで株価が約3割上がりました。また、8月末のパウエルFRB議長の講演内容に端を発した連日の株安の際には、全体相場が大きく崩れたにもかかわらず逆行高を演じていました。
まとめ
ファーストソーラーのほか、エンフェーズ・エナジー(ティッカーシンボル:ENPH)やカナディアン・ソーラー(ティッカーシンボル:CSIQ)なども注目銘柄です。エンフェーズは、太陽光パネルの発電効率を上げるマイクロインバーター・システムの製造、販売を行っています。カナディアン・ソーラーは、太陽電池モジュールを米国に輸出しています。
米国は今年7月、カナダから輸入される太陽光発電製品に課していたセーフガード関税を撤廃しました。今後も太陽光発電に関係する銘柄に様々な影響がありそうです。
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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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