先進国株は長期投資や積立投資の対象銘柄になりやすい一方、大きなリターンを期待できない場合があります。一方、新興国の中でもより大きな経済成長の恩恵を期待できるインド株に注目している方もいるのではないでしょうか。
この記事では、インド株式に投資する方法と具体的なメリットやデメリット、インド株式を扱っている証券会社について詳しく解説します。インド株式投資を検討している方は、参考にしてみてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※本記事は2021年10月13日時点の情報に基づき執筆しているため、最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。
目次
- インド株式投資とは
1-1.外国人はインド株式を直接買えない - インド株式のメリット
2-1.長期的な株高が期待できる
2-2.直近のパフォーマンスが良い - インド株式のデメリット
3-1.個別銘柄の取り扱いが少ない
3-2.リアルタイムで売買できない - インド株式を扱っている証券会社
4-1.SBI証券
4-2.楽天証券
4-3.マネックス証券
4-4.DMM株
4-5.野村證券 - インド株式投資を始める手順
5-1.証券取引口座を開設する
5-2.投資資金を入金する
5-3.投資する銘柄を選ぶ
5-4.買い注文を出す - まとめ
1 インド株式投資とは
インド株式投資は、インドの証券取引所に上場している株式に投資することを指します。インドといえばBRICsの一角として中長期的な成長余地の大きいマーケットとして知られています。まずは、インド株の特徴や購入方法について確認していきましょう。
1-1 外国人はインド株式を直接買えない
インド政府は外国からの投資を規制しているので、外国人がインドの株式市場で上場株式を直接購入することはできません。そのため、日本からインド株式に投資する場合、以下の金融商品が検討候補になります。
- インド株ADR
- インド株式を対象とした国内ETF
- インド株式を対象とした海外ETF
- インド株式を組み入れた投資信託
ADR(米国預託証券)とは、米国株式市場に上場する外国企業の株式です。インド株ADRを買うことで、実質的にインド株式に直接投資しているのと同じような権利を得られます。インド株ADRの銘柄数は限られますが、米国株式と同じように取引を行えるのが特徴です。
一方、インド株式を対象としたETFには、主に国内ETFと海外ETFの2種類があります。国内ETFには、インドの主要指数Nifty50に連動する銘柄が1つ上場していますが、海外ETFにはインド株の様々な指標に連動した銘柄が米国、香港、シンガポール市場に上場しています。
また、投資信託は株式市場に上場していないものの、ETFと同じくインド株式における特定の指数やセクターに投資することができます。
2 インド株式のメリット
インド株式に投資するメリットは以下の通りです。
2-1 長期的な株高が期待できる
経団連による世界GDP予測によると、インドは2050年に米国、中国に次いで世界第3位の経済大国になると見込まれており、長期的な経済成長が持続する新興国として期待されています。特に、2011年からは総人口に占める生産年齢人口の割合が増加する「人口ボーナス期」を迎えており、2050年近くまで生産年齢人口の増加が続くと予測されています。
生産年齢人口が増加すると市場に供給される労働力が増えるため、経済成長が加速します。若年層の多いインドでは、今後働く世代が増えることで消費支出が大幅に増加し、結果として人口ボーナス期には株高が期待できます。実際、過去に人口ボーナス期を迎えた日本や中国では、人口ボーナスのピークを打つまで株価は大きく上昇しています。
また、インドは資本主義であることに加え、公用語に英語が含まれていることも好材料です。IT先進国として、最大手のTCS(タタ・コンサルタンシー・サービシズ)社やインフォシス社に次ぐグローバル企業が誕生するポテンシャルを秘めています。
2-2 直近のパフォーマンスが良い
インド株式市場は過去5年間のパフォーマンスも好調です。インドを代表する株価指数SENSEX指数は、直近1年で+56.02%の値上がりを見せています。
株価指数 | 1年 | 3年 | 5年 |
---|---|---|---|
S&P BSE SENSEX | 56.02% | 18.15% | 15.08% |
(2021年9月30日現在)
また、インド株式の推移を日本、米国、英国の株価指数と比べると、直近1年および3年において好パフォーマンスとなっています。
株価指数 | 1年 | 3年 | 5年 |
---|---|---|---|
S&P BSE SENSEX | 56.02% | 18.15% | 15.08% |
TOPIX東証株価指数(日本) | 24.90% | 11.72% | 53.48% |
S&P500指数(米国) | 30.00% | 15.99% | 16.90% |
FTSE100指数(英国) | 25.31% | 1.93% | 4.54% |
(2021年9月30日現在)
3 インド株式のデメリット
インド株式に投資する際は、以下のポイントに注意することも大切です。
3-1 個別銘柄の取り扱いが少ない
インド株の個別銘柄に投資するためには、米国市場に上場しているインド株ADRを購入する方法があるものの、銘柄数は少なく、国内証券会社のインド株ADRの取扱銘柄数にも限りがあります。
例えば、執筆時点における国内ネット証券の中で、インド株ADRの取り扱い銘柄数が最も多いのは楽天証券ですが、取引可能なインド株は以下の14銘柄です。場合によっては購入したい銘柄が見つからないなど、選択肢が限られる点に留意しましょう。
ティッカー | 会社名 | 業種 |
---|---|---|
INFY | INFOSYS TECHNOLOGIES-SP ADR | ソフトウェア |
PTI | PATNI COMPUTER SYSTEMS-ADR | ソフトウェア |
REDF | REDIFF.COM INDIA LIMITED-ADR | ソフトウェア |
SAY | SATYAM COMPUTER SERVICES-ADR | ソフトウェア |
WIT | WIPRO LTD-ADR | ソフトウェア |
MTE | MAHANAGAR TELEPHONE-ADR | 通信 |
TCL | TATA COMMUNICATIONS LIMITED | 通信 |
HDB | HDFC BANK LTD-ADR | 金融 |
IBN | ICICI BANK LTD-SPON ADR | 金融 |
RDY | DOCTOR REDDY’S LAB-ADR | 医薬品 |
TTM | TATA MOTORS LTD-SPON ADR | 自動車 |
SIFY | SIFY TECHNOLOGIES LTD-ADR | ネットワーク |
WNS | WNS HOLDINGS LTD-ADR | 情報処理 |
SLT | STERLITE INDUSTRIES INDI-ADR | その他製造 |
3-2 リアルタイムで売買できない
外国人がインド株に投資するためには、国内市場に上場している国内ETFを買うか、海外市場に上場しているインド株ADRまたは海外ETFを買う必要があります。
インド株を取引できる時間は、インド市場の開いている間ではなく、日本市場や米国市場の開いている間なので、インドの株式市場で突発的な悪材料が出たとしても、リアルタイムで対応することができません。
インド市場が開いている時間と実際に取引できる時間に時差があるため、リスク管理が難しい点も留意しておきましょう。
4 インド株式を扱っている証券会社
国内の証券会社でインド株式を扱っている証券会社は、以下の通りです。証券会社によってインド株式の取扱銘柄数や手数料体系は異なるため、事前によく確認しておきましょう。
4-1 SBI証券
インド株ADR | 国内ETF | 海外ETF | 投資信託 | 取引手数料 | 為替手数料 |
---|---|---|---|---|---|
8本 | 1本 | 5本 | 20本以上 | 約定代金の0.495%(税込) | 往復0.25円 |
SBI証券は、国内大手のネット証券です。インド株式を対象とした海外ETFを5本、インド株ADRを8本取り扱っています。インド株のADRが上場している米国株の取引手数料は約定代金の0.495%(税込)であり、約定代金が2.02米ドル以下で最低手数料は0ドル、上限手数料は22ドル(税込)となります。
4-2 楽天証券
インド株ADR | 国内ETF | 海外ETF | 投資信託 | 取引手数料 | 為替手数料 |
---|---|---|---|---|---|
14本 | 1本 | 7本 | 20本以上 | 約定代金の0.495%(税込) | 往復0.25円 |
楽天証券は、インド株式を対象とした海外ETFを7本、インド株ADRを14本取り扱っています。インド株式の取扱本数では、国内ネット証券の中で最も多いのが特徴です。
4-3 マネックス証券
インド株ADR | 国内ETF | 海外ETF | 投資信託 | 取引手数料 | 為替手数料 |
---|---|---|---|---|---|
8本 | 1本 | 3本 | 15本以上 | 約定代金の0.495%(税込) | 買付0円/売却0.25円 |
マネックス証券は、米国株に力を入れている証券会社です。インド株式を対象とした海外ETFを3本、インド株ADRを8本取り扱っています。インド株ADRの取引手数料は他社と変わりませんが、円をドルに両替する時にかかる為替手数料は無料です。
4-4 DMM株
インド株ADR | 国内ETF | 海外ETF | 投資信託 | 取引手数料 | 為替手数料 |
---|---|---|---|---|---|
8本 | 1本 | 0本 | 0本 | 一律0円 | 往復0.25円 |
DMM株は、インド株式を対象とした海外ETFの取り扱いはありません。しかし、個別銘柄に投資できるインド株ADRを8本取り扱っているほか、約定代金に関係なく、米国株の取引手数料を一律0円と定めています。そのため、インド株ADRの取引にかかるコスト負担を抑えたい方に適しています。
4-5 野村證券
インド株ADR | 国内ETF | 海外ETF | 投資信託 | 取引手数料 | 為替手数料 |
---|---|---|---|---|---|
6本 | 1本 | 4本 | 4本 | 売買金額による | 往復0.25~0.50円 |
野村證券は国内大手の対面証券です。インド株ADRを6本、インド株を対象とした海外ETFを4本取り扱っています。外国株式の取引手数料は売買代金によって金額が異なるものの、オンラインから取引を行うことで、取引手数料が20%割引となります。
また、為替手数料は、通貨ペアが米ドル/円の場合、10万米ドル以上で往復0.25円、10万米ドル未満で0.50円となります。国内ネット証券と比べて手数料は割高ですが、充実した対面サービスを期待できます。
5 インド株式投資を始める手順
インド株式投資は、以下の手順でスムーズに始めることができます。
5-1 証券取引口座を開設する
インド株を取り扱っている証券会社を探し、証券口座を開設します。本人確認書類などの必要書類を用意した上で口座開設の手続きを進めていきますが、インド株ADRやインド株式を対象とする海外ETFを取引する場合、新たに外国証券取引口座の開設が求められるので、忘れずに行います。
5-2 投資資金を入金する
証券取引口座の開設が終われば、証券口座に投資資金を入金します。なお、インド株式は銘柄を購入する時に為替レートの影響を受けるので、買付余力には余裕を持たせることも大切です。
5-3 投資する銘柄を選ぶ
入金が終わったあとは、実際に投資する銘柄を選びます。インド株ADRは、外国株式の検索窓から銘柄名やティッカーを入力することで検索できます。インド株式を対象とした海外ETFは、海外ETFの検索ページから対象地域でインドを選択すれば検索可能です。
5-4 買い注文を出す
銘柄の詳細ページにある「買付」ボタンを押すと、注文画面に移動できます。購入したい株数を入力した後、注文方法を選択します。最後に決済方法を選択し、買い注文を発注します。
まとめ
人口ボーナス期を迎えているインドは、今後も長期的な経済成長が見込めるため、高パフォーマンスを期待できます。インド株式は、各証券会社で提供されているインド株ADRや、インド株式を対象とする投資信託を購入できますが、銘柄数の少なさやリアルタイムで取引できない点に留意が必要です。
これからインド株への投資を検討している方は、インド株を扱っている証券会社の取扱銘柄を事前によく確認した上で、口座開設を検討してみてください。
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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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