米国株は1株から売買できるほか、日本株と比べて株主還元に積極的な傾向もあるので長期的なリターンを見込めるものの、証券会社や銘柄の選び方によって得られる利益に違いが生じるため、米国株投資の基本について理解しておく必要があります。
この記事では、米国株の特徴や証券会社・銘柄選びのポイントなどの始め方について詳しく解説します。米国株投資に関心のある方、初心者にも適した証券会社を知りたい方は、参考にしてみてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※また、本記事は2022年6月14日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。
目次
- 米国株投資とは
1-1.取引時間は9時30分~16時まで
1-2.1株から売買できる
1-3.配当金が年4回分配される - 米国株投資の始め方
2-1.銘柄の選び方
2-2.証券会社の選び方 - 米国株投資の注意点
3-1.為替の影響を受ける
3-2.値幅制限がない
3-3.配当金が二重課税になる - まとめ
1 米国株投資とは
米国株投資とは、ニューヨーク証券取引所やナスダック証券取引所などの米国市場に上場している企業の株式を売買することです。
米国市場に上場している企業は、アップルやアマゾンのようにグローバル企業であることも多く、市場全体でも時価総額や取引金額において他国と比べて圧倒的な規模が特徴となっています。
また、米国は先進国でありながら移民増加によって人口増が続いているほか、潜在的な成長率も高く、長期的なリターンを期待できる強みがあります。
米国株取引のルールは、以下のように日本株と異なる特徴があります。
1-1 取引時間は9時30分~16時まで
米国株の取引時間は現地時間で、9時30分〜16時までの間です。日本時間では、23時30分〜翌朝6時までとなるので、日本からリアルタイムで取引を行う場合は基本的に深夜帯になります。
また、日本株の取引時間と異なり昼休みがないことや、3月第2日曜日〜11月第1日曜日までは夏時間(サマータイム)と呼ばれ、取引時間が1時間早まるため、22時30分〜翌朝5時までの取引時間に変更されます。
1-2 1株から売買できる
米国株は1株単位から売買できるため、日本株と比べて少ない資金から投資を行えるのも特徴です。例えば、1株5,000円の銘柄に投資する場合、日本株は株式の売買単位が100株なので、50万円を用意しなければならない一方、米国株なら5,000円から取引可能です。
1-3 配当金が年4回分配される
米国企業は株主還元に積極的であるため、多くの企業では四半期ごとに配当金が分配されます。そのため、ほとんどの銘柄が中間配当と期末配当を合わせて年2回の分配となっている日本株と比較して、米国株投資は配当金が3ヶ月ごとに分配されるため、定期的なインカムゲイン(配当収入)を期待できます。
2 米国株投資の始め方
米国株取引は、以下の手順に沿って始めることができます。
- 証券取引口座を開設する
- 外国株式取引口座を開設する
- 為替取引で米ドルを調達する
- 購入したい銘柄を入力する
- 米国株に投資する
米国株を取り扱う証券会社で証券取引口座を開設した後、新たに外国株式取引口座を開設します。次に、日本円を取引口座に入金したら、為替取引で米ドルに両替します。そして、購入したい銘柄を入力し、米国株の購入を注文する流れとなります。
では、米国銘柄と証券会社の選び方を詳しく見ていきましょう。
2-1 銘柄の選び方
米国株には時価総額でトップの銘柄や、1万円以下で購入できる銘柄などが豊富に揃っています。時価総額は企業規模の大きさを表し、米国市場の中でも時価総額の大きい企業は、以下のように特定の業種・分野において世界規模で高いシェアを誇るケースが多くあります。
時価総額が高い銘柄
銘柄名 | 時価総額 |
---|---|
アップル(AAPL) | 2,219,473百万ドル |
マイクロソフト(MSFT) | 1,892,120百万ドル |
アマゾン・ドット・コム(AMZN) | 1,115,624百万ドル |
テスラ(TSLA) | 721,777百万ドル |
アルファベット(GOOG) | 698,375百万ドル |
(2022年6月13日時点)
時価総額の大きい銘柄の多くは、主にGAFAと呼ばれるIT企業が占めており、いずれも世界的な超有名企業なので、初心者の方でもサービスや商品のイメージがわきやすいのも特徴です。時価総額が大きい銘柄は、出来高も多く、取引が活発に行われるため、流動性リスクも低いのが特徴です。
初めての米国株投資でどの銘柄に投資するか迷ったときは、時価総額の高い銘柄をまず検討してみるのが手っ取り早いと言えます。
1万円以下で買える銘柄
投資先の候補をピックアップしたら、投資金額を決めます。少額から試しながら米国株に投資したい方は、1万円以下で購入可能な銘柄が適しています。1万円以下で購入できる世界的に有名な米国銘柄の例は、以下の通りです。
銘柄名 | 株価(ドル建て) | 株価(円建て) |
---|---|---|
コカ・コーラ(KO) | 61.41ドル | 7,983.3円 |
インテル(INTC) | 39.18ドル | 5,093.4円 |
スターバックス(SBUX) | 75.67ドル | 9,837.1円 |
ベライゾン(VZ) | 50.82ドル | 6,606.6円 |
アフラック(AFL) | 55.63ドル | 7,231.9円 |
※1ドル130円として計算(2022年6月13日現在)
成長性の見込める銘柄
時価総額と予算から投資先が決まらない場合、客観的な指標をもとに銘柄を選ぶことも可能です。投資は、将来的な成長性の高い銘柄に投資することで、大きな利益を得ることが目的の一つなので、株主資本を有効に活用して経営ができているかの判断に役立つ自己資本利益率(ROE)で将来性のある銘柄をピックアップするという手法があります。
ROEは、当期純利益÷自己資本(期中平均)×100で算出できる投資指標です。企業が継続的に高いROEを保つためには、事業の持続的な成長と自己資本を抑えるための株主還元策を長期的に行う必要があるため、過去のROEの数値が継続して高い銘柄は、将来的な成長性も高いと見込むことができます。
ROEの数値は業種によって違いがあるものの、概ね8%以上が目安の一つになります。時価総額や予算から銘柄を選ぶことができない場合、将来の成長性という観点から銘柄を選んでみましょう。
2-2 証券会社の選び方
米国株取引を行える国内の証券会社は複数あるため、以下のポイントを参考に選びましょう。
米国株の取扱銘柄数
豊富な銘柄数から投資目的に合ったものを選びたい場合、証券会社の取扱銘柄数を確認しましょう。米国株の取扱銘柄数は証券会社によって異なり、場合によっては欲しい銘柄を取り扱っていない可能性もあります。
大手ネット証券における米国株の取扱銘柄数は、以下の通りです。
証券会社 | 取扱銘柄数 |
---|---|
SBI証券 | 5,194銘柄 |
楽天証券 | 4,759銘柄 |
マネックス証券 | 4,555銘柄 |
松井証券 | 497銘柄 |
DMM株 | 1,265銘柄 |
売買手数料
日本株を取引する場合と比べて、米国株の取引コストは高くなる場合もあり、米国株の売買手数料は利用する証券会社によって異なります。
米国株の取引コストには、大きく分けて「取引手数料」「為替手数料」の2種類があります。取引手数料は売買の約定代金ごとに発生するコストです。
一方、為替手数料は日本円を米ドルに両替するたびにかかるコストです。スプレッドとも呼ばれており、例えば片道あたり0.2銭ほど取られますが、証券会社によっては無料の場合もあります。取引コストが高いほど、利益を上げてもトータルの損益で相殺されるため、なるべく低コストの証券会社を選ぶのがポイントです。
取引ツール・アプリ
取引ツールの使いやすさも確認することが大切です。米国株を取り扱う証券会社は、パソコンやスマホアプリ向けの独自ツールを用意しています。証券会社によって取引ツールの強みや使用方法は異なるため、使いやすいツールを選ぶ必要があります。
米国株投資を行える大手ネット証券は、以下のような高機能ツールを提供しています。
証券会社 | スマホアプリ、ツール |
---|---|
SBI証券 | 米国株アプリ、カストック(Kastock) |
楽天証券 | iSPEED、マーケットスピード |
マネックス証券 | トレードステーション米国株 |
松井証券 | 米国株アプリ |
DMM株 | DMM株 PRO+、DMM株STANDARD |
証券会社の中には、取引ツールのデモ体験版を提供している場合もあります。証券取引口座を開設する前に、取引ツールが使いやすいかどうかについて、事前に確認することが大切です。
3 米国株投資の注意点
米国株投資を始める際は、以下のポイントに注意することが重要です。
3-1 為替の影響を受ける
米国株投資は、米ドル建てで取引を行うので為替の影響を受けます。そのため、値上がりにより利益が出ても、為替差損が発生する可能性もあります。
例えば、1ドル120円で米国株を1,000ドル購入した場合です。1,000ドルで購入した米国株が1,200ドルになったものの、円高が加速したことで1ドル100円まで円高が進んだ場合、保有中の米国株1,000ドルをそのまま売却すると、損益の合計額は、(1,200ドル×100円)−(1,000ドル×120円)=0円となります。
投資した米国株が値上がりしたとしても、為替の変動によって損益は大きく変わります。米国株の購入するタイミングに加えて、どのタイミングで日本円を米ドルに替えるべきなのか、為替の動きを併せてチェックすることが重要です。
3-2 値幅制限がない
米国株には、日本株のストップ高やストップ安のように、1日に動く株価の値幅に制限がありません。株式市場に影響を及ぼす突発的な材料が出た際は、需給次第で株価が大きく変動する可能性があります。
一日のうちに発生する利益と損失に限りがないため、米国株投資では予想以上の大きな値動きに対応する必要があります。値幅制限において、日本株とは異なる仕組みで取引が行われる点にも注意しましょう。
3-3 配当金が二重課税になる
米国株の保有で配当金を受け取る際は、二重課税に注意する必要もあります。米国株の配当金に対する課税は、米国内で配当金に対して10%課税された後の残額に対して、日本で20.315%の税率が適用されるので、日本株投資で配当金を受け取る場合に比べて、取られる税金が高くなる場合があります。
しかし、外国で納めた税金に対しては、その年の所得税から一定額を控除できる外国税額控除という制度を利用できるので、米国株投資で配当金を受け取った場合、確定申告を忘れずに行うことが大切です。
なお、NISA口座で米国株に投資する場合、日本で20.315%の課税がないことから、二重課税として認められず、外国税額控除の対象とはならない点も併せて留意しておきましょう。
まとめ
米国株投資は、取扱いのある証券会社で外国株式取引口座を開けば、誰でも始めることができます。
初心者の方は、米国株の取扱銘柄数が多く、取引コストが安い証券会社を選ぶと、投資目的に適した銘柄を選びやすくなります。また、将来の成長性を考える場合、PERやROEなどの投資指標も銘柄選びに役立ちます。
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