株を自動売買するには?メリットや注意点、ツールを使える証券会社も

※ このページには広告・PRが含まれています

株取引の自動売買は、株の購入から売却までを自動で行ってくれるので、日中仕事をしていて時間がない人でも始めやすいのが特徴です。また、あらかじめ売買ルールを設定していれば、プログラムがルールに従って自動的に実行するので、取引に対する感情移入で失敗するリスクも軽減されます。

この記事では、株の自動売買について詳しく解説していきます。自動売買のメリット・注意点、証券会社のツールについて興味がある方は、参考にしてみてください。

※本記事は2021年9月時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. 株の自動売買とは
    1-1.指値注文
    1-2.逆指値注文
    1-3.W指値注文
    1-4.±指値注文
    1-5.Uターン注文
    1-6.リレー注文
    1-7.時間指定注文
    1-8.トレイリング注文
    1-9.バスケット(一括)注文
    1-10.IOC注文
  2. 株を自動売買するメリット
    2-1.時間が無くても運用ができる
    2-2.ルールを自由に設定できる
    2-3.感情に左右されない
  3. 株を自動売買できるツール・証券会社
    3-1.楽天証券の「MARKET SPEEDⅡ(アルゴ注文)」
    3-2.auカブコム証券の「kabuステーション(自動売買)」
    3-3.インヴァスト証券の「トライオートETF」
    3-4.IG証券の「ProRealTimeチャート(自動売買)」
    3-5.ひまわり証券の「ループ株365」
    3-6.OANDA証券の「MT4」
  4. 株を自動売買する際の注意点
  5. まとめ

1 株の自動売買とは

株の自動売買とは、事前に設定した条件をもとに、株の購入から売却まで自動で行ってくれるシステムのことを指します。自動売買はもともと機関投資家向けに開発され、取引を活発に行う機関投資家は、売買の効率化のため自動売買システムを積極的に取り入れてきました。最近は、ヘッジファンドや年金、大手金融機関の多くも自動売買を使用しており、その便利さから個人投資家にも浸透しています。

個人投資家が自動売買を使用する方法は様々ですが、よく利用されているのは証券会社の自動売買ツールです。証券会社が提供する自動売買の多くは、好みの注文設定ができ、取引ルールを自分で決められるのが特徴です。

自動売買でよく使われる設定は、「〇〇で買い」「〇〇円で利益確定」「〇〇円で損切り」などです。その他にも、様々な注文設定があり、自由度が高く、オリジナルな注文設定をすることができます。

詳しい注文方法は以下の通りです。

1-1 指値注文

「指値注文」とは、「A株を○○円以下で買いたい」「B株を○○円以上で売りたい」と値段を指定して注文する方法です。買い注文の場合、指定した価格以下の売り注文が出れば約定し、売り注文の場合、指定した価格以上の買い注文が出れば約定します。

例えば、株価が割安(または割高)の水準に達したら買いたい(または売りたい)と思っていても、値動きを監視するのには労力がかかるほか、日中仕事している人は、値動きを追うことも困難です。

一方、指値注文を活用すると、指定した価格で自動的に発注できるため、忙しい場合でも希望価格に沿った取引を行えます。

1-2 逆指値注文

「逆指値注文」とは、指定した価格に到達した時、売買が発注される注文方法です。買い注文の場合、指定した価格より株価が高くなったら買い注文が発注され、売り注文の場合、指定した価格より株価が安くなったら売り注文が発注されます。

例えば、上昇トレンド中の株価が過去の高値に接近していたとします。これを突破すると、調子よく上がり続け、上昇トレンド継続が示唆されます。そこで、高値付近の価格で逆指値注文を入れておくと、高値突破のタイミングで自動的に買い注文が発注されます。

逆にロスカットの場面では、売却タイミングが感情に左右されることもあるため、下値付近で売る設定をしておくと、ルール通りの売却が可能になります。

1-3 W指値注文

「W指値注文」とは、指値と逆指値を同時に発注する方法です。W指値注文を活用すると、値上がり時の利益確保が可能になり、値下がり時にはロスカット等の設定ができます。日中の株価をチェックできない人や、売却タイミングを細かく図りたい人向けの設定です。

1-4 ±指値注文

「±指値注文」とは、始値、終値、約定価格などの発注時点で未だ確定していない価格を基準とした注文を出せる方法です。始値から「○○円上がったら買いたい」「前日の終値から○○円下がったら売りたい」等の場合で活用できます。

±指値注文では、始値、終値、約定価格をもとに「±指値」「±逆指値」「±W指値」などの設定も可能です。また、以下の「Uターン注文」と組み合わせて活用することもできます。

1-5 Uターン注文

「Uターン注文」とは、買い注文と売り注文を同時に予約する注文方法です。Uターン注文を活用すると、「指値○○円で買い注文を入れ、それが約定すれば指値○○円の売り注文」などの発注予約を出すことができます。

1-6 リレー注文

「リレー注文」とは、最初の注文が約定すれば自動で次の注文を出せる注文方法です。例えば、A株を売却したら、自動的にB株の買付予約ができるので、忙しい人でも銘柄乗り換えが可能になります。売却代金を使って買付したい場合、銘柄乗り換えを自動化したい場合に便利な設定です。

1-7 時間指定注文

「時間指定注文」とは、「〇時〇分になったら」「〇分後になったら」といった時間を指定して発注する方法です。時間指定注文を活用すると、「〇時〇分になったら成行注文」「指値を出している注文が、発注から○○分経っても約定しなければ取り消し」「指値注文を出していて、○○分経っても約定しなければ成行注文に訂正」など、状況に応じて注文取消や訂正を予約することも可能です。

1-8 トレイリング注文

「トレイリング注文」とは、指定した価格に合わせて、逆指値をリアルタイムで自動修正してくれる注文方法です。例えば、株価が下落した際、通常通りの指定した価格で逆指値が執行され売却されます。

反対に、株価が上昇した際は、指定した売却価格を自動的に切り上げ、株価の値上がりに追随することができます。売却価格の自動切り上げは、あくまで株価が上昇している局面に対して行われるので、リスクを最小に利伸ばしすることが可能です。

1-9 バスケット(一括)注文

「バスケット(一括)注文」とは、あらかじめ注文登録した複数の注文(現物取引、信用取引、先物取引等)を一括で発注する方法です。バスケット(一括)注文を活用すると、多数の注文を一度に行えるため、取引の効率性を高めることができます。

また、バスケット注文同様に一括発注できる「リスト注文」では、逆指値、W指値、±指値など複数の注文に対応しています。ただし、現物株取引、信用取引、先物取引等をミックスした一括発注登録はできません。

1-10 IOC注文

「IOC(Immediate Or Cancel)注文」とは、指定した値段で約定、もしくは指定した値段より有利な値段で即座に約定しなければ、注文が自動でキャンセルされる方法です。IOC注文を活用すると、発注直後の注文取消等の手間が省けます。

2 株を自動売買するメリット

株の自動売買ツールを使用すると戦略の幅が大きく広がるほか、時間の節約にもなります。株を自動売買するメリットを詳しく確認してみましょう。

2-1 時間が無くても運用ができる

仕事の合間を見つけて取引に参加する場合、決められた時間内で取引チャンスを見つけるのは困難です。一方、自動売買は、売買ルールを設定すれば取引を自動化できるため、市場を監視する余裕がない場合でも、売買タイミングを逃さず取引することができます。

自動売買ツールは、このような悩みを抱えているサラリーマン投資家の問題解決にも役立ちます。

2-2 ルールを自由に設定できる

自動売買では、売買タイミング、利食い、損切りなどルールを自由に設定できます。証券会社によっては、上記の注文方法以外に移動平均線、RSI、MACD、ボリンジャーバンドなどのテクニカル分析で有名な指標を活用して売買タイミングをプログラムすることができます。

例えば、価格が「移動平均線を突破したら買い」「ボリンジャーバンドを上抜けたら買い」などのテクニカルシグナルによる自動売買が可能になるので、売買の見極めを機械化することができます。

このほか、自動売買のデモ取引ができる証券会社もあるので、お試しで検証した後、利用するかどうかを判断することもできます。

2-3 感情に左右されない

株取引では感情をコントロールすることも難しさの一つです。例えば、株価下落により、損切りするべき局面でも、損失の確定をしたくないため、保有を続けたくなる場合もあります。

一方、自動売買を活用すると、設定したプログラムを止めない限り、売買が感情に左右されることはないので、投資のギャンブル化を防ぐ効果も期待できます。

3 株を自動売買できるツール・証券会社

 
株の自動売買ツールとしては、楽天証券の「MARKET SPEEDⅡ(アルゴ注文)」、auカブコム証券の「kabuステーション」、インヴァスト証券の「トライオートETF」、IG証券の「ProRealTimeチャート」、ひまわり証券の「ループ株365」、OANDA証券の「MT4」などがあります。以下7社の自動売買ツールの特徴を詳しく見ていきましょう。

3-1 楽天証券の「MARKET SPEEDⅡ(アルゴ注文)」

 
楽天証券は、総合証券口座数で700万を突破している、楽天グループの大手ネット証券会社です。

楽天証券では、取引プラットフォーム「MARKET SPEEDⅡ」に搭載されている自動売買ツールの「アルゴ注文」を利用可能です。アルゴ注文は、売買条件をシステムにインプットさせれば、自動で注文執行を行い、パソコンの電源を落とした状態でも稼働を続けるのが特徴です。

アルゴ注文では、指値、逆指値注文、トレイリング注文のほか、1つの注文を少しずつ小分けに発注する「アイスバーグ注文」、指定価格の気配が表示されるまで待機し、表示されたときに瞬時に発注する「スナイパー注文」、日時や株価を指定して発注する「リザーブ注文」、最大10個の注文を連続して登録できる「リンク注文」などの多彩な注文タイプを活用できます。

これらの特殊注文を使用すれば利用者の様々な目的に応じた売買が可能になるほか、アイスバーグ注文、スナイパー注文に関しては、楽天証券のみが対応しています。

楽天証券は、機関投資家などしか使えなかった注文方法を個人投資家向けとして初めて導入した証券会社です。また、スマホアプリ「iSPEED」でもアルゴ注文を行えるので、外出先でも設定および稼働することができます。

なお、アルゴ注文の対象となる金融商品は国内現物株のみですが、信用取引にも対応しています。

3-2 auカブコム証券の「kabuステーション(自動売買)」

 
auカブコム証券は三菱UFJフィナンシャルグループ傘下の証券会社で、日本格付研究所からネット証券で最高の財務格付「A+」の評価を受けています。auカブコム証券の自動売買機能は、取引ツールである「kabuステーション」に搭載されています。

kabuステーションの特徴は、豊富な自動売買の発注方法です。指値注文、逆指値注文の基本的な注文方法のほか、「±指値」「リレー注文」「Uターン注文」「トレイリング注文」「時間指定注文」「バスケット注文」「リスト注文」などにも対応しています。

そのため、自由度の高い自動売買設定が可能で、例えば、時間指定注文を活用する際に「〇時〇分になったら発注」という設定のほか、指定した時間までに約定しなければ注文をキャンセル・訂正する機能もあります。

また、±指値注文を活用する際に、始値(または終値、約定価格)からプラスまたはマイナスの価格を指定する注文に加え、Uターン注文と組み合わせれば、Uターン元の注文が全て約定したとき、その約定単価からプラスまたはマイナスの価格を指定して注文できるなど、相場に順応した立ち回りも可能になります。

3-3 インヴァスト証券の「トライオートETF」

インヴァスト証券はオンラインに特化した証券会社で、投資初心者から中上級者など幅広いユーザーが利用しています。

インヴァスト証券の「トライオートETF」とは、ETF(上場投資信託)で利益を狙う自動売買サービスです。ETFは、組み入れ資産を証券化しているので、少額から分散投資できるメリットがあります。例えば、米国の代表的な株価指数である「S&P500」に連動するETFでは、アップル(AAPL)やアマゾン(AMZN)、フェイスブック(FB)などの米国を代表する企業に投資できます。

トライオートETFは、ETFをCFD取引で行う仕組みとなっており、5倍のレバレッジをかけられるので、少額資金で大きな取引を行えます。また、設定済みの自動売買プログラムを選択すれば、一から設定する手間もかかりません。設定済みの自動売買プログラムは、過去の成績を事前に確認でき、投資初心者でも手軽に利用できます。

オリジナルな自動売買設定をしたい場合、自分だけの自動売買を作れる「ビルダー機能」も利用可能です。作成した自動売買プログラムは、シミュレーションを行うことができるので、納得のいくまでバックテストを行うことができます。

このほか、既存プログラムのアレンジや既存プログラムとオリジナルのプログラムを組み合わせたポートフォリオも構成できます。取扱銘柄は29銘柄となっており、日経225やS&P500などの株価指数や新興国株やアクティブ型のファンドに投資できます。

3-4 IG証券の「ProRealTimeチャート(自動売買)

IG証券は、イギリスを拠点にグローバルに事業展開する証券会社で、取扱銘柄数が豊富なことでも知られています。

IG証券で株の自動売買を行うには、自動売買機能を搭載した取引ツールである「ProRealTimeチャート」を使います。ProRealTimeチャートでは、あらかじめ作成されたプログラム言語を導入することで自動売買取引が可能になります。

IG証券の自動売買では、CFDを通じて株を取引する仕組みなので、レバレッジをかけられます。株価指数なら10倍、個別株なら5倍のレバレッジをかけることが可能です。

自動売買の売買執行設定は、「○○円で買い、○○円で売る」などの基本的な設定のほか、移動平均線やボリンジャーバンドなどのテクニカル指標に基づいた自動売買設定も可能です。

このように、IG証券では自動売買による売買設定がシンプルにも複雑にも設定することができ、自由度の高い自動売買ツールとなっています。また、取扱銘柄も多く、先進国や新興国の株価指数など、国内外12000以上の銘柄に投資することができます。

3-5 ひまわり証券の「ループ株365」

ひまわり証券は、インターネット専業の証券会社で、個人投資家向けのCFD取引を日本で初めて提供したネット証券です。

「ループ株365」とは、ひまわり証券が提供する株価指数CFDの自動売買システムです。ループ株365では、最初にシステムを設定したあとはほったらかしで運用してくれます。具体的には、取引したい株価指数、中長期展望(売り、買い)、値幅を決めれば自動的に注文・決済を繰り返してくれます。

また、ループ株365では、相場の小さな変動を細かくトレードしていき、小さな利益を積み重ねるという運用手法で自動売買を行うのも特徴です。運用実績としてこれまでに運用されたループ株365の83.6%が利益を出しています(※2022年3月末時点)。

ループ株365で自動売買が行える株価指数は、出来高が多く、売買しやすい日本や米国、ドイツ、イギリスの主要先進国に厳選されています。さらに、「売り」からトレードすることもでき、下落相場で利益を狙うことが可能です。取引対象となる株価指数の構成銘柄に配当が発生した際には、配当相当額を受け取れるのもメリットです。

3-6 OANDA証券の「MT4」

OANDA証券は世界7カ国に拠点を構え、グローバルに展開している証券会社で、取引ツールの「MT4」を使った自動売買ができます。MT4は、CFD取引やFXで世界中のトレーダーが愛用している取引ツールで、自由度の高い自動売買設定が可能です。

MT4は便利で高機能である一方、投資初心者が扱うにはやや難しいツールです。しかし、OANDA証券では、投資初心者向けに、自動売買の選び方、運用方法などのコンテンツを提供し、中・上級者向けには、自動売買に役立つ実用的なテクニックにまつわるコンテンツを提供しているので、自動売買やMT4、テクニカル指標に関する学習をスムーズに行えます。

MT4では、自動売買システムを自作することも、購入することもできます。また、バックテストで自動売買の信用性を確認できるほか、デモ取引でフォワードテストも可能なので、充実した検証環境が整っています。

OANDAで取り扱うCFD銘柄は、日本や米国を含む先進国の株価指数やインドや中国などの新興国の株価指数もあるので、グローバルな投資が可能になります。

4 株を自動売買する際の注意点

株の自動売買は、あらかじめ売買ルールを設定すると、自分で取引判断や操作をしなくてもいいため手間もかからず、感情に左右されないメリットがある一方、注意したいポイントもあります。

例えば、売買ルールを設定するためには、様々な発注方法の有用性を正しく理解する必要があります。場合によっては検証作業が必要になることもあるので、投資初心者には難しく、慣れも必要です。

また、売買ルールを設定できても、相場状況に合わせて修正しなければならない時もあります。そのため、売買ルールの検証等にある程度時間をかけ、幅広く適用できるスキルを身に付けることも大切です。

まとめ

株の自動売買は、仕事で忙しい方やトレードの効率を上げたい時にとても便利な方法です。また、売買チャンスを逃すことなく、感情に左右されないトレードが実行できる点もメリットです。

証券会社が提供している自動売買ツールは基本的に無料で使えるため、口座開設を済ませれば、すぐに始めることが可能です。

一方、自動売買ツールを使いこなすには、多彩な注文方法に対する知識や取引作業の慣れなども必要です。株の自動売買に関心がある方は、このようなメリット・注意点をしっかり把握した上で、慎重に検討しましょう。

The following two tabs change content below.

HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チームは、株式投資に関する知識が豊富なメンバーが株式投資の基礎知識から投資のポイント、他の投資手法との客観的な比較などを初心者向けにわかりやすく解説しています。/未来がもっと楽しみになる金融・投資メディア「HEDGE GUIDE」