米国株投資への関心が高まる中、特にインカムゲインを重視する投資家に評価されているのが高配当銘柄です。高配当銘柄とは、株価に比して高い配当を行っている銘柄のことで、配当金による収益を期待できる点が大きな特徴ですが、企業の業績によっては配当金が減額されるリスクなどもあります。
そこでこの記事では、高配当米国株の特徴、利回り、業績、注意点について詳しくご紹介します。インカムゲイン重視の方、米国株に興味のある方は参考にしてみてください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※また、本記事は2022年2月28日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。
目次
- 高配当銘柄の特徴
- 高配当の米国株10選
2-1.AT&T
2-2.インターナショナル・ビジネス・マシーンズ
2-3.アルトリアグループ
2-4.スリーエム
2-5.エクソンモービル
2-6.クラフトハインツ
2-7.ダウ
2-8.ベライゾン・コミュニケーションズ
2-9.シティグループ
2-10.ファイザー - 高配当銘柄の注意点
- まとめ
1 高配当銘柄の特徴
高配当銘柄とは、高い配当を実施している企業の株式(銘柄)のことです。株を保有している場合、企業が配当を実施していれば配当金を受け取ることができ、その配当金が株価に対して高い銘柄のことを高配当銘柄と呼びます。
配当の大きさを見極める指標として、「配当利回り」があります。配当利回りは、1年間で受け取ることのできる配当金を株価で割って算出されます。例えば、株価1,000円、年間配当金30円である銘柄の配当利回りは、30円÷1,000×100=3(%)となります。
2 高配当の米国株10選
高配当銘柄に明確な基準はありません。しかし、日本株の平均利回りが2.02%(東証プライム上場の有配会社の平均、2022年2月時点。参照:JPX「株式平均利回り(2022年2月) 」)であるのに対し、投資家への還元が重要視される米国株の中には、以下のように利回り3%~8%程度の高い配当を実施している銘柄も数多くあります。
それでは、高配当米国株の利回り、業績等を詳しく確認してみましょう。
※株価や利回りについては、2022年2月25日時点の終値を基準としています。各銘柄の配当の有無や配当金の額は変わることもあります。
※記載されている配当利回りの計算では、税金や手数料などが考慮されていません。また、小数点第3位以下は記載を省略しています。
2-1 AT&T
銘柄名 | AT&T(エーティーアンドティー) |
ティッカーシンボル | T |
株価 | 23.91ドル |
1株あたり配当金(年間) | 2.08ドル |
配当利回り | 8.69% |
AT&Tは、テキサス州に本社を置く世界的通信サービス企業です。米国最大規模の電話会社や、メディア大手のワーナーグループを傘下に持つなど、通信・メディア分野に強みを持っており、配当利回りは8.69%と高水準です。
AT&Tの売上高および営業利益は以下の通りです。
項目 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 |
---|---|---|---|
売上高 | 181,193百万ドル | 171,760百万ドル | 168,864百万ドル |
営業利益 | 27,955百万ドル | 6,405百万ドル | 23,347百万ドル |
2-2 インターナショナル・ビジネス・マシーンズ
銘柄名 | インターナショナル ビジネス マシーンズ |
ティッカーシンボル | IBM |
株価 | 124.18ドル |
1株あたり配当金(年間) | 6.56ドル |
配当利回り | 5.28% |
インターナショナル・ビジネス・マシーンズは、ニューヨーク州に拠点を置くIT企業であり、IBM(International Business Machines Corp)の略称でも知られています。20世紀にコンピュータなどハードウェア分野で急成長したIBMは、コンサルティングやクラウド分野でも活躍しています。
IBMの売上高および営業利益は以下の通りです。
項目 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 |
---|---|---|---|
売上高 | 57,714百万ドル | 55,179百万ドル | 57,350百万ドル |
営業利益 | 7,206百万ドル | 2,572百万ドル | 4,838百万ドル |
2-3 アルトリアグループ
銘柄名 | アルトリア グループ |
ティッカーシンボル | MO |
株価 | 51.48ドル |
1株あたり配当金(年間) | 3.6ドル |
配当利回り | 6.99% |
アルトリアグループはバージニア州を本拠とする世界最大のタバコメーカーです。もともとの社名でもあるフィリップ・モリスは、アルトリアグループの子会社の名前になっており、タバコの製造販売を手掛けています。
日本では「マールボロ」や「ラーク」といったブランドを展開しており、最近では「IQOS(アイコス)」など加熱式タバコにも力を入れています。
アルトリアグループの売上高や経常利益は以下の通りです。
項目 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 |
---|---|---|---|
売上高 | 25,110百万ドル | 26,153百万ドル | 26,013百万ドル |
経常利益 | 766百万ドル | 6,890百万ドル | 3,824百万ドル |
2-4 スリーエム
銘柄名 | スリーエム |
ティッカーシンボル | MMM |
株価 | 150.51ドル |
1株あたり配当金(年間) | 5.96ドル |
配当利回り | 3.95% |
スリーエム(3M)は、ミネソタ州を拠点とするテクノロジー企業です。化学・電気分野に強く、医療用機器や輸送機器など様々な製品の開発・製造を行っています。身近なところでは付箋(ふせん)紙の「ポスト・イット」なども同社のブランドです。
スリーエムの売上高および営業利益は以下の通りです。
項目 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 |
---|---|---|---|
売上高 | 32,136百万ドル | 32,184百万ドル | 35,355百万ドル |
営業利益 | 6,174百万ドル | 7,151百万ドル | 7,358百万ドル |
2-5 エクソンモービル
銘柄名 | エクソンモービル |
ティッカーシンボル | XOM |
株価 | 77.84ドル |
1株あたり配当金(年間) | 3.52ドル |
配当利回り | 4.52% |
エクソンモービルは、テキサス州に本社を置くエネルギー事業会社です。原油の採掘・精製から流通・販売までを手掛けるいわゆる石油メジャーの1社となっています。日本でも「エッソ」「モービル」「ゼネラル」(「ENEOS」ブランド)など多数のガソリンスタンドを展開してきました。
エクソンモービルの売上高および営業利益は以下の通りです。
項目 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 |
---|---|---|---|
売上高 | 255,583百万ドル | 178,574百万ドル | 276,692百万ドル |
営業利益 | 11,664百万ドル | -30,653百万ドル | 23,233百万ドル |
2-6 クラフトハインツ
銘柄名 | クラフト ハインツ |
ティッカーシンボル | KHC |
株価 | 39.73ドル |
1株あたり配当金(年間) | 1.6ドル |
配当利回り | 4.02% |
クラフトハインツは、イリノイ州・ペンシルベニア州を拠点とする食品メーカーです。2015年にクラフトとハインツが合併して設立された会社で、北米を中心として世界中で同社の商品が販売されています。日本でもケチャップやチーズなどで、同社商品を目にすることができます。
クラフトハインツの売上高および営業利益は以下の通りです。
項目 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 |
---|---|---|---|
売上高 | 24,977百万ドル | 26,185百万ドル | 26,042百万ドル |
営業利益 | 3,064百万ドル | 2,109百万ドル | 3,503百万ドル |
2-7 ダウ
銘柄名 | ダウ |
ティッカーシンボル | DOW |
株価 | 59.65ドル |
1株あたり配当金(年間) | 2.8ドル |
配当利回り | 4.69% |
ダウは、ミシガン州に本拠を置く化学メーカーです。主要な子会社にはザ・ダウ・ケミカル・カンパニーなどがあります。日本でも2018年6月22日、東レと合弁でシリコーン事業会社を設立しています。
ダウの売上高および営業利益は以下の通りです。
項目 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 |
---|---|---|---|
売上高 | 42,951百万ドル | 38,542百万ドル | 54,968百万ドル |
営業利益 | -1,067百万ドル | 2,178百万ドル | 7,407百万ドル |
2-8 ベライゾン・コミュニケーションズ
銘柄名 | ベライゾン コミュニケーションズ |
ティッカーシンボル | VZ |
株価 | 54.12ドル |
1株あたり配当金(年間) | 2.56ドル |
配当利回り | 4.73% |
ベライゾン・コミュニケーションズはニューヨーク州に拠点を置く通信事業会社です。携帯電話事業分野ではアメリカの3大キャリアに数えられており、そのシェアは全米トップクラスとなっているほか、5G分野などにも強みを持ちます。
ベライゾン・コミュニケーションズの売上高および営業利益は以下の通りです。
項目 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 |
---|---|---|---|
売上高 | 131,868百万ドル | 128,292百万ドル | 133,613百万ドル |
営業利益 | 26,648百万ドル | 27,086百万ドル | 31,286百万ドル |
2-9 シティグループ
銘柄名 | シティグループ |
ティッカーシンボル | C |
株価 | 61.98ドル |
1株あたり配当金(年間) | 2.04ドル |
配当利回り | 3.29% |
シティグループは、ニューヨークに本社を置く国際金融グループです。アメリカの4大銀行の1つであり、一般的な銀行業務を行うほか、投資銀行業務も得意としています。日本でも長く業務を行っており、複数の日本法人を擁しています。
シティグループの売上高や経常利益は以下の通りです。
項目 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 |
---|---|---|---|
売上高 | 76,510百万ドル | 58,089百万ドル | 50,475百万ドル |
経常利益 | 23,901百万ドル | 13,632百万ドル | 27,469百万ドル |
2-10 ファイザー
銘柄名 | ファイザー |
ティッカーシンボル | PFE |
株価 | 47.72ドル |
1株あたり配当金(年間) | 1.6ドル |
配当利回り | 3.35% |
ファイザーは、ニューヨークを拠点とする世界的製薬会社です。ファイザーの代表的な商品としては、高脂血症治療薬のリピトールや、抗うつ薬のジェイゾロフトがあります。ファイザーの日本法人は1953年に設立されており、日本においても長い歴史を持っています。最近では新型コロナウイルスワクチンの主要供給元として広く認知されています。
ファイザーの売上高および営業利益は以下の通りです。
項目 | 2019年12月期 | 2020年12月期 | 2021年12月期 |
---|---|---|---|
売上高 | 41,172百万ドル | 41,651百万ドル | 81,288百万ドル |
営業利益 | 12,331百万ドル | 7,812百万ドル | 23,652百万ドル |
3 高配当銘柄の注意点
高配当銘柄に投資をする際、配当金の見通しについて注意が必要です。配当金は、株式を発行する企業が払うものなので、その企業の業績が悪化した場合や、配当に対する方針が変更された場合、配当金が減額されたり配当金そのものが廃止されたりする可能性があります。
株式の配当利回りは「年間の配当金÷株価」で計算されます。たとえ配当金額が変わらなくても、株価が高くなれば配当利回りは低下し、反対に株価が安くなれば配当利回りは上昇する仕組みとなっています。
そのため、各銘柄が優れた利回りであるかどうかは、ある時点における配当金と株価のみでは判断できません。株価変動の影響を受け、配当利回りが上振れ、あるいは下振れしている可能性があるため、その銘柄の過去の配当実績や、過去の株価などをさかのぼって検討してみることも大切です。
また、配当重視の投資であっても株価変動に対する備えは重要です。配当金が高くても、株価が下落すれば含み損を抱えることになります。配当金を意識した投資の場合には、中長期にわたって一定の銘柄を保有するケースも多いため、株価が下落するリスクについても丁寧に検討しましょう。
まとめ
高配当銘柄への投資は、その銘柄を保有しているだけで配当金を受け取れるため、不労所得を期待できます。特に米国株では、長い歴史を持つ世界的企業が高配当を実施していることもあるので、成長性はやや低いものの、長期的にインカムゲインを狙えるのが特徴です。
一方、高配当銘柄であっても、業績や景気によっては減配が行われたり、配当自体が停止されたりする可能性があります。また、株価下落によって損失が生じるリスクがあるほか、配当利回り自体も株価によって変動します。
このように、配当金を目的として投資を行う場合であっても、投資先企業の業績や将来性などをしっかりと検討することが大切です。
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