米マクドナルド(ティッカーシンボル:MCD)が1月27日に発表した2021年10~12月期決算は、売上高と1株当たり利益ともに市場予想を下回った(*1、2)。人件費や原材料費の増加が利益を圧迫した。なお、決算発表後には株価が下落したが、2月7日の株価は1月中旬の水準に戻している。
売上高は前年同期比13%増の60億900万ドル(約6,900億円、1ドル=115円換算)、全世界の既存店売上高は同12.3%増だった。コスト上昇に対応して値上げを実施したことが増収に寄与した。
主力の米国市場の既存店売上高は同7.5%増だった。値上げに伴う購入単価の上昇に加え、優良顧客向けのロイヤルティプログラムやプロモーションを推進したことが奏功した。新型コロナウイルスの変異株であるオミクロン株が猛威を振るうなか、クリス・ケンプチンスキーCEOは「米国内店舗の1%のみ営業時間を短縮している」と述べた。また、4分の3の店舗でダイニングルームを利用できるという。
海外事業は日本や中南米、欧州が好調だった。一方、コロナ感染再拡大の影響を受ける中国は既存店売上高が減少した。
営業費用は同14%増。労働市場がひっ迫するなか、人材を確保・維持するための賃上げなどがコスト増につながっている。「ビッグマック」や「マックナゲット」などの原材料費も上昇した。
ケビン・オザン最高財務責任者(CFO)は「目先はコモディティと人件費の上昇が続くだろう」と述べたとCNBCは報じている(*1)。同社は米国市場での原材料費と紙価が1桁台後半もしくは2桁台前半の割合で上昇すると見込む。これらのコストは2021年にはちょうど4%上昇していた。海外市場においても、米国並みではないものの原材料費と紙価が上昇する見込みだ。
一般管理費は同9%増だった。主な要因として業績が会社予想を上回ったことに伴うインセンティブが増加したことが挙げられる。
純利益は同19%増の16億3,800万ドルだった。人工知能(AI)技術開発部門「McD Tech Labs」をIT大手IBMへの売却に伴う費用などを除いた場合でも、1株当たり利益は市場予想を下回っている。
マクドナルドは22年通期に22億~24億ドルの設備投資を見込む。うち半分ほどを全世界の新規出店に、40%を米国内の店舗改装に充てる計画だ。株価に関しては、決算発表後に下落する場面が見られたが、その後は持ち直し、2月9日時点でも堅調に推移している(*4)。
【参照記事】*1 CNBC「McDonald’s earnings miss estimates as rising costs weigh on profits」
【参照記事】*2 マクドナルド「McDONALD’s REPORTS FOURTH QUARTER AND FULL YEAR 2021 RESULTS」
【参照記事】*3 Yahoo!ファイナンス「マクドナルド」
【参照記事】*4 マクドナルド「Stock Information」
HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム
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