2022年5月以降の米国・英国の金利見通しは?ファンドマネージャーが米CPIと英GDPを解説

2022年5月のゴールデンウィーク中に、米FOMCと英MPCが開催されました。どちらも利上げを決定したものの、内容は大きく異なります。

FOMCでは、賃金上昇からくるインフレ抑制に焦点が集まり、MPCでは、インフレの悪影響によるスタグフレーションを予測する中、仕方なく利上げを決定したという形です。

FRB・BOEの見通しを確認する上で大切な米CPIと英GDPについて、それぞれ詳しく解説していきます。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 米4月CPI
    1-1.前回(3月)の内容
    1-2.5月FOMCでのインフレ見通し
    1-3.今回(4月)の予想
    1-4.発表後の反応予想
  2. 英第1QGDP(速報値)
    2-1.前回(第4Q)の内容
    2-2.5月BOE政策決定会合時の経済見通し
    2-3.今回(第1Q)の予想
    2-4.発表後の反応予想

1.米4月CPI

1-1.前回(3月)の内容

3月CPIの総合は市場予想を上回る前年比+8.5%と40年ぶりの高水準となりました。コアについては前年比+6.5%と予想を下回り前月とほぼ同水準にとどまりました。このコアの部分に着目して米金利は低下したものの、中身を見ていくとまだ物価がピークを付けたとは考えにくいです。

ガソリン・食料品のインフレは深刻で、特にガソリン価格は18.3%上昇しています。雇用が強く賃金上昇を伴っているため、引き続き需要は強いにも関わらず、供給制約でモノがない状態が続いています。

またコアが落ち着いた要因は中古車価格の下落でほぼ説明できるため、果たしてこれが今後も継続するのか、また中古車以外の項目では落ち着きが見られていません。

1-2.5月FOMCでのインフレ見通し

声明文とパウエル議長の発言より、基本的に米国経済は堅調で需要も相応にあるものの、いまだに供給制約が解消できておらず、需給不均衡を反映してインフレが高進してしまっていると言えるでしょう。

労働市場の環境が改善しており、賃金上昇圧力が強すぎることが逆に物価上昇にとって問題となってきています。継続して利上げをする必要があるという判断です。

FRBとしては景気後退をさせずに物価の安定を取り戻せると考えている様子です。早期に物価を元に戻すことが最善ということから、前例のないペースでの利上げという形になっているのでしょう。

参考:ブルームバーグ「FOMC声明:米国債やMBSの保有、6月1日に減らし始めると決定

1-3.今回(4月)の予想

4月のCPI総合指数は前年比+8.1%、コア指数では前年比+6.1%となりました。どちらも先月の数字からピークアウトする予想となっています。

昨年3月までは、コロナショック後ロックダウン等による需要低迷からCPIが著しく低下していました。前年比対比で考えると、3月までは昨年度の数字が低すぎるため、ベース効果としてかなり高い数字が出てきてしまっていました。4月からはベース効果が徐々に剥落し、数字としては落ち着いてくる見方が大勢を占めています。

CPIが3月の前年比+8.5%をピークとし、今後前月比+0.5%の伸びが続いたと仮定すると、6月には前年比+5.5%まで低下する計算となります。

3月時点ではCPIは前月比+0.6%という高い伸びを示したものの、当時はエネルギー価格の急騰がありました。最近若干落ち着いてきたエネルギー価格を勘案すると前月比+0.5%という数字は楽観的過ぎということもなく、ある程度現実的な数字と言えます。

因みに前月比+0.17%の伸びが続いたと仮定すると、2022年末には前年比+3%を割り込む水準まで低下する計算となります。現実的には難しいものの、この辺りの数字をFRBが目指す水準として意識しておきましょう。

1-4.発表後の反応予想

FOMCがハト的であったにも関わらず最終的には米株は売られ、米金利も上昇しました。FOMCのスタンスがどうなろうと、市場は結局実際のインフレデータを見に行っているのでしょう。結局インフレが収まらなければ、利上げは続くだけのことであり、そういう意味でもCPIが非常に大事になってくるでしょう。

今回もし前年比+8.5%以上の数字が出てくるのであれば、6月のドットチャートの最終到達金利の大幅上方修正並びに長期均衡金利の引き上げを意識した米金利上昇・株下落・USD買いが更に進行するでしょう。

一方予想の前年比+8.1%を下回るだけでなく、前月比で+0.2%を切ってくるのであれば、FRBの想定通りに経済が動いていることになり、USD売りに反応すると予想します。

2.英第1QGDP(速報値)

2-1.前回(第4Q)の内容

予想は前期比+1.1%、前年比+6.4%に対して、それぞれ+1.0%、+6.5%とほぼ予想通りの結果となりました。当時はオミクロン株の急拡大があったものの、影響は軽微なものにとどまっていました。

2-2.5月BOE政策決定会合時の経済見通し

インフレは今年第4Qに平均10%をやや上回る水準でピークアウト(3月時点は今年4月に8%前後で)と上方修正した形となりました。多くの委員が今後数カ月である程度の一段の金融政策引き締めが依然適切とみているとのことで、タカ派の側面は打ち出しています。

一方で2023年の成長率予測を従来の+1.25%から▲0.25%と大幅に引き下げるなど、金融政策はインフレリスク増大と実質収入減少による経済活動への打撃との間の狭いパスを導く必要があります。ベイリー総裁も、政策金利をより一層、大幅に引き上げるべきとの意見には同意しないと述べています。

企業は人手不足に苦しんでいて賃金上昇圧力は掛かっています。しかしそれ以上にインフレ高進による実質所得の減少が英国の多くの人々、特に所得の低い人々に困難をもたらし、景気は減速するという予想です。

参考:ブルームバーグ「英中銀、政策金利1%に上げ-10%インフレとマイナス成長予想

2-3.今回(第1Q)の予想

前期比+1.0%と第4Qとほぼ変わらない見通しです。経済指標が急激に悪化を始めたのは4月(3月の数字)になってからで、第1Q全体としては持ちこたえているのかもしれません。しかしネガティブサプライズの可能性の方が高いと予想します。

4月から増税によりエネルギー価格が50%程度上昇するなど、景況感は更に悪化していることも予想されます。同時に発表される月次GDP(前月比)が予想▲0.1%を下回るのかどうかも要注目です。

3月の雇用統計では失業率はパンデミック前の水準である3.8%まで低下し、3か月平均の総賃金は前年比+5.4%と加速しました。一方で求人件数と雇用者数の伸びは鈍化傾向であり、堅調だった労働市場に陰りが見え始めています。

3月のCPIは燃料の高騰により住居費・交通費が上昇した結果、総合が前年比+7%、コアも前年比+5.7%と予想を大きく上振れました。4月は増税の影響でエネルギー価格が約50%上昇するため、更に大きな上昇が見込まれています。

BOEの見通しも2022年第4Qに10%のピークがくるというように変更されています。今後相当長期間に渡ってインフレが重くのしかかる中では、賃金上昇率が5%程度では足りません。既に、消費者信頼感指数は2008年のリーマンショック以来の水準に低下しています。3月小売りは2カ月連続で下振れし前月比▲1.4%、2月分も下方修正ということで消費活動停滞の兆候が表れてきています。

2-4.発表後の反応予想

5月のMPC発表後、2023年の経済見通しをマイナスに設定したことを受けて市場ではBOEは経済の悪化に耐えられず利上げも予定通りできないと予想してGBPを大きく売ってきています。従って、今回の数字が仮にポジティブサプライズだった場合、月次のGDPが前月比マイナスになっていないのであれば、一旦GBP/USDで1.2500近辺までのショートカバーが入る可能性があります。ただし、上がったところではショートメイクのチャンスでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 FXチーム

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