米国株を時間外取引できる証券会社は?手数料や始め方、投資の注意点も

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米国企業の決算発表は、日本の証券取引所が開いている立会時間以外で開示されますが、時間外取引を行うことで決算発表直後の値動きを捉えた売買が可能になるため、利益を狙うチャンスが広がります。

ただし、米国株を時間外取引できる証券会社は限られているため、各証券会社の特徴や手数料をしっかりと押さえておくことが大切です。

この記事では、米国株の時間外取引が可能な証券会社、手数料、始め方について詳しく解説します。決算後の値動きにも迅速に対応したい方、時間外取引の可能な証券会社選びで悩んでいる方は、参考にしてみてください。

※この記事は2021年11月16日時点の情報に基づき執筆しています。最新情報はご自身にてご確認頂きますようお願い致します。

目次

  1. 米国株とは
    1-1.最低単元は1株から
    1-2.値幅制限がない
    1-3.為替に影響を受ける
    1-4.株主還元に積極的
    1-5.米国株の取引時間
  2. 米国株の時間外取引とは
  3. 米国株の時間外取引が可能な証券会社
    3-1.マネックス証券
    3-2.サクソバンク証券
    3-3.インタラクティブブローカーズ証券
    3-4.時間外取引の手数料
  4. 時間外取引を始めるまでの流れ
    4-1.外国株の取引口座の開設
    4-2.外国株の取引口座に資金を入金
    4-3.外国株の時間外取引を開始
  5. 米国株の時間外取引を行う際の注意点
    5-1.狙った値段で約定しにくい
    5-2.値動きが激しい
    5-3.流動性が低い
  6. まとめ

1 米国株の特徴

米国株とは、アメリカの証券取引所に上場している株式を指します。おもにニューヨーク証券取引所(NYSE)とナスダック(NASDAQ)の2大取引所で株式の売買が行われているほか、銘柄数は5,000銘柄を超えており、世界最大規模の時価総額を誇る企業が多数上場しています。

1-1 最小購入単位は1株から

米国株は少額から投資することが可能です。例えば、日本株に投資する場合、株式の最小購入単位は100株からになっています(投資信託を除く)。そのため、少なくとも数万円から数百万円の購入資金を用意しなければならないのが特徴です。

一方、米国株の最低単元は1株からとなっているため、世界的な企業の株式でも数千円から投資することができます。

1-2 値幅制限がない

通常、日本株には現在の株価に対して1日あたりいくらまで上下に動くのかについて、ストップ安やストップ高と呼ばれる値幅制限があります。そのため、場中に株価が大きく動いたとしても、1日あたり株価変動のリスクは限定されます。

一方、米国株には1日あたりの値幅制限がありません。そのため、売り買いの需給が一致するまで、片方に大きく動く可能性もあります。

1-3 為替に影響を受ける

米国株は、基本的に円をドルに替えて株式を売買します。そのため、日本株のみを取引しているときは意識する必要のなかった米ドルの為替レートもチェックする必要があります。また、株価と為替両方の値動きによって、投資収益も左右されることになります。

1-4 株主還元に積極的

米国企業は企業価値を向上させ、株主に対して利益を還元することを重視しています。そのため、日本企業のような株主優待はないものの、自社株買いや増配には積極的です。

例えば、米国株の連続増配記録を日本と比較すると、「花王」の31年が連続増配の国内最長記録であるのに対し、米国株では50年を超える企業が何十社もあります。このように米国株を保有しておくと、毎年配当金が増える恩恵を受けられる可能性が広がります。

1-5 米国株の取引時間

米国株の立会時間は米国時間の9時30分〜16時までの合計6時間30分となっており、日本株の立会時間のような1時間の昼休み休憩はありません。また、3月の第2日曜日から11月の第1日曜日まではサマータイムと呼ばれ、取引の開始時刻が1時間早まります。

日本から米国株を取引する場合、以下のようになります。

項目 標準時間 サマータイム
米国時間 9:30-16:00 9:30-16:00
日本時間 23:30-6:00 22:30-5:00

米国株を取引する際は、現時点の日付がサマータイム期間かどうかについて確認することが大切です。

2 米国株の時間外取引とは

米国株の時間外取引とは、取引所が開いている立会時間の前後で行う取引のことを指します。立会時間前の時間帯はプレマーケット、立会時間後の時間帯はアフターマーケットと呼ばれています。プレマーケットの時間帯は8時〜9時30分までの90分、アフターマーケットの時間帯は16時〜20時までの4時間となっています。

項目 プレマーケット 立会時間 アフターマーケット
米国時間 8:00-9:30 9:30-16:00 16:00-20:00
日本時間 22:00-23:30 23:30-6:00 6:00-10:00

(標準時間の場合)

米国企業の多くは決算発表を立会時間以外に行います。決算発表の結果は、プレマーケットやアフターマーケットに値動きという形で現れるため、決算発表でサプライズがあったとしても、時間外取引を活用すれば迅速にポジションを調整できるのが大きな特徴です。

3 米国株の時間外取引が可能な証券会社

日本の居住者が米国株の時間外取引を利用するためには、時間外取引に対応している国内の証券会社に口座を開設するか、現地アメリカの証券会社に口座を開設するか、いずれかの方法をとる必要があります。

なお、米国株を取り扱っている国内証券会社は多くありますが、時間外取引に対応している証券会社の数は限られています。また、現地アメリカで口座を開設する場合、時間外取引に対応しているものの、日本の非居住者であることや本人確認の際に、現地の社会保障番号が求められるため、口座開設の負担や手順が増えます。

日本の居住者が米国株の時間外取引を行う場合、以下の証券会社で口座を開設することができます。

3-1 マネックス証券

マネックス証券は、国内の証券会社としては唯一、米国株の時間外取引が可能な証券会社で、プレマーケットとアフターマーケットの両方に対応しています。

米国株の取り扱い銘柄数は約4,000銘柄と、国内のインターネット証券では最多です。また、外国株の取引であっても特定口座に対応しているため、確定申告時の手間を省けるのも特徴です。

3-2 サクソバンク証券

サクソバンク証券は、デンマークのオンライン銀行であるサクソバンク銀行の日本法人です。米国株の時間外取引は、8時〜9時30分までのプレマーケットのみ対応しています。日本の居住者向けのサービスでありながら、米国株の取り扱い銘柄数は約6,000銘柄と豊富です。

入出金に海外送金をすることはなく、国内のインターネット証券と同じようにクイック入金や通常入金が使えます。また、口座維持管理手数料はかかりません。また、2021年10月より特定口座に対応しているため、確定申告の手間がかかりません。

サクソバンク証券の100%親会社であるサクソバンクA/S(Saxo Bank A/S)が、S&P グローバル・レーティングよりBBBの格付けを取得しています。また、格付見通しについて「ポジティブ」を付与されています。

3-3 インタラクティブブローカーズ証券

インタラクティブブローカーズ証券(IB証券)は、アメリカの証券会社であるインタラクティブブローカーズLLCの日本法人です。インタラクティブブローカーズ証券では、口座開設の際に国内口座と現地アメリカの海外口座の両方を開設することが可能です。日本の居住者でありながら、アメリカに証券口座を持てるため、米国株の時間外取引に対応しています。

インタラクティブブローカーズ証券では、ニューヨーク証券取引所(NYSE)やナスダック(NASDAQ)だけでなく、米国全土の証券取引所に上場している株式の売買が可能です。そのため、国内のインターネット証券のような取引銘柄に制限がありません。

注意点としては、アメリカの海外口座であるため、入出金には海外送金が必要なことや、口座維持管理手数料がかかる場合があります。また、特定口座に対応していないため、確定申告時の手間がかかります。

3-4 時間外取引の手数料比較

米国株の時間外取引が可能な証券会社の手数料は、以下の通りです(税込表記)。

項目 最低手数料 取引手数料 最大手数料
マネックス証券 0米ドル 約定代金の0.495% 22米ドル
IB証券 1米ドル 1株0.005米ドル 約定代金の1.0%
サクソバンク証券 なし 約定代金の0.33% 19.80米ドル

時間外取引の手数料は、基本的に1注文あたりの約定代金から算出されますが、約定代金がどんなに大きくなっても最大手数料を超えることはありません。

なお、1注文あたりの約定代金に加えて、株式の売却時に「SEC Fee」と呼ばれる米国現地証券取引所手数料がかかります。手数料は、0.0000051米ドルに約定代金を乗じた金額で算出されます。

例えば、マネックス証券で株価30米ドルの米国株を時間外取引で100株売却した場合、手数料は、(100株×30米ドル)×0.495%+(100株×30米ドル)×0.0000051米ドル=14米ドルとなります。

4 時間外取引を始めるまでの流れ

米国株の時間外取引を始めるまでの流れは、以下の手順で行います。

4-1 外国株の取引口座の開設

米国株を取引するには、外国株取引口座を開設する必要があります。マネックス証券の場合、証券総合取引口座を開設後、新たに外国株が取引可能な外国株取引口座を開設します。

インタラクティブブローカーズ証券の場合、米国口座であるIBLLC口座を開設し、サクソバンク証券の場合は、ベーシックコース、外国株コース、アドバンスコースの中から好きなサービスを選択します。

4-2 外国株の取引口座に資金を入金

口座開設が完了したあとは、開設した口座に資金を入れます。日本円を米ドルに交換するか、日本円をそのまま入金します。

4-3 米国株の時間外取引を開始

入金した資金で米国株を買います。円貨決済に対応している場合、日本円のまま米国株を購入することができるので、為替両替の手間を省けます。

5 米国株の時間外取引を行う際の注意点

米国株の時間外取引を行う際には、以下のポイントに注意することも大切です。

5-1 狙った値段で約定しにくい

時間外取引は、立会時間に比べて市場参加者が少なくなります。市場参加者が少なくなると、買い注文や売り注文が減るので、買値と売値の価格差が広がります。

自分が買いたい値段や、売りたい値段で約定させることが難しいため、利益を減らしたり損失を広げたりする可能性もあります。

5-2 値動きが激しい

米国株の時間外取引では、決算発表のような企業にとって重要な情報が発表されます。開示情報が発表されると、その情報をもとに取引されるため、買値と売値の価格差が広がりやすく、通常の立会時間には見られないような極端な値段を付けることもあります。

慌てて注文を出すことで、思わぬ値段で約定することがあるため、取引する際には注意が必要です。

5-3 流動性が低い

時間外取引は、立会時間に比べると、市場に出される注文が少なくなります。そのため、まとまった資金で株式を買い集めようとしても、思うような金額を買えるだけの売り注文が出ないことがあります。同様に、まとまった保有株を売却しようとしても、買い注文が少なく、売れなくなるリスクがあります。

時間外取引で、ある程度まとまった金額の売買をするときには、市場に流通している株式が少ないため、思うような売買ができない可能性があります。

まとめ

米国株の時間外取引は、プレマーケットの90分間と、アフターマーケットの4時間で行うことが可能です。時間外取引は決算発表後の値動きに迅速に対応できるものの、狙った値段で約定しにくく、値動きが激しいなどの注意点もあります。

米国株の時間外取引に興味のある方は、メリット・デメリットをしっかりと把握した上で、口座開設をする証券会社を検討してみてください。

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