5期以上連続増配の米国株銘柄は?10社の配当利回り・株価・業績推移を比較

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株主還元に積極的な米国では、連続増配を記録している銘柄も数多くあります。米国株投資で投資先を上手く選定できれば、長期的な資産形成を狙えるため、注目している方もいるのではないでしょうか。

この記事では、5期以上にわたり連続増配を実施している米国株10銘柄をご紹介します。株価や業績、今後の展望についても詳しく解説するので、米国株の連続増配銘柄に興味のある方は、参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・銘柄への投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
※また、本記事は2022年1月19日時点の情報をもとに執筆されています。最新の情報については、ご自身でもよくお調べの上、ご利用ください。

目次

  1. 連続増配銘柄の特徴
  2. 5期以上連続増配の米国株10選
    2-1.ジョンソン・アンド・ジョンソン
    2-2.プロクター・アンド・ギャンブル
    2-3.コカ・コーラ
    2-4.エマソン・エレクトリック
    2-5.スリーエム
    2-6.アメリカン・ステイツ・ウォーター
    2-7.ノースウェスト・ナチュラル・ガス
    2-8.AT&T
    2-9.エクソン・モービル
    2-10.ウォルマート・ストアズ
  3. 連続増配株の注意点
    3-1.短期的な利益を上げにくい
    3-2.減配リスクがある
  4. まとめ

1 連続増配銘柄の特徴

連続増配銘柄は決算期を追うごとに連続して配当金が増加している銘柄を指します。増配率は業績や配当性向によって毎期異なりますが、年度が更新されるごとに1株当たり配当額が増えているため、今後も同様に推移すれば、企業の成長に合わせて長期的な資産形成を期待しやすいのが特徴です。

また、連続増配を継続できる企業は、株主還元に積極的であることに加え、企業が持続的に業績を伸ばし続けていることを意味するため、投資先として適した企業である可能性も高くなります。

このように、連続増配期間の長い銘柄を選ぶことで、結果として優良企業を選択しやすくなるのもメリットです。

2 5期以上連続増配の米国株10選

5期以上連続して増配している米国株の中からピックアップした10銘柄の詳細は以下の通りです(※株価等の情報はいずれも1月14日時点の終値です)。

2-1 ジョンソン・アンド・ジョンソン(JNJ)

株価 連続増配年数 予想配当利回り 予想1株配当
167.84ドル 59年 2.47% 4.16ドル

ジョンソン・アンド・ジョンソン(JNJ)は、医薬品や医療機器などヘルスケア分野において様々な製品を開発・販売する持株会社です。連続増配年数は59年と長く、予想配当利回りは2.47%、1株当たり配当(年間)は4.16ドルと示されています。

最近の株価は1株170ドル前後、月足チャートは年々右肩上がりで推移しています。また、直近の業績推移として、売上高は過去最高の更新を続けているものの、営業利益が年々減少していることに伴い、利益率は低下しています。そのため、21年1月期の営業利益率は19.97%と、20%を下回っています。

21年通期の予想売上高は941億ドルから946億ドルと、治療薬やワクチンの売上高が牽引する形で引きあがっており、今後の業績の伸びに期待が持てる銘柄です。

2-2 プロクター・アンド・ギャンブル(PG)

株価 連続増配年数 予想配当利回り 予想1株配当
159.81ドル 65年 2.18% 3.48ドル

プロクター・アンド・ギャンブル(PG)は、洗剤や化粧品などの製品を消費者に提供する世界最大級の一般消費財メーカーです。日本でもP&G(ピーアンドジー)というブランド名で広く親しまれており、連続増配年数は65年と長年にわたり増配を継続している数少ない銘柄の一つです。

直近の株価は1株160ドル前後の上場来高値付近で推移しています。業績推移は好調であり、通期の売上高は過去最高を更新中です。19年6月期における営業利益は落ち込んだものの、その後は同様に過去最高の更新を続けています。

また、四半期ごとに支払われる1株配当は0.87ドルであり、前期と比べて10%の増配です。今後も成長を続けることで、受け取れる1株配当は増えていくことが予想されます。

2-3 コカ・コーラ(KO)

株価 連続増配年数 予想配当利回り 予想1株配当
61.39ドル 59年 2.72% 1.67ドル

コカ・コーラ(KO)は、「コカ・コーラ」をはじめとする飲料水を製造販売する会社です。50年を超える連続増配銘柄であると同時に、アメリカを代表する企業で構成されるダウ工業株30種平均の一角となります。

株価は上昇を続けており、1株60ドル台と上場来高値を更新する動きとなっています。業績推移として、売上高と営業利益ともに横ばいですが、1株配当は前期比で2.5%増えています。今後の成長性は定かではありませんが、コカ・コーラという強力なブランド力によって59年に及ぶ増配記録は更新を続けることも予想されます。

2-4 エマソン・エレクトリック(EMR)

株価 連続増配年数 予想配当利回り 予想1株配当
97.47ドル 64年 2.14% 2.08ドル

エマソン・エレクトリック(EMR)は、電子機器の製造や産業分野・住宅市場向けに、様々なサービスを提供する複合企業です。主に5つの事業分野からなり、マネジメント事業やソリューション事業から構成されています。連続増配年数は64年と、長期的に増配が行われている数少ない銘柄の一つです。

直近の株価の動きは、1株100ドルを抜けた後、95ドル前後で推移しており最高値圏にあります。また、通期の売上高も特に落ちることなく、21年9月期の経常利益は過去最高を更新しています。なお、増配幅は毎年変わりますが、前期は1%の増配率となっています。

2-5 スリーエム(MMM)

株価 連続増配年数 予想配当利回り 予想1株配当
178.74ドル 63年 3.29% 5.88ドル

スリーエム(MMM)は、化学や電気素材を製造販売するテクノロジー企業です。主に4つのセグメントで事業を展開しており、ヘルスケア事業やコンシューマー事業など様々な製品を消費者に提供しています。連続増配年数は63年と長く、50年を超える数少ない銘柄の一つです。

直近の株価は、2018年1月に上場来高値259.77ドルを付けた後に下落が続いており、180ドル前後で推移しています。また、通期の売上高は18年12月をピークに頭打ちとなっていますが、1株配当は継続して増えています。なお、今期の予想1株配当は5.88ドルで、前期と比べて2%の増配率です。

通期の業績にかかわらず増配は行われているため、今後も1株配当は増えていく可能性があります。

2-6 アメリカン・ステイツ・ウォーター(AWR)

株価 連続増配年数 予想配当利回り 予想1株配当
93.97ドル 67年 1.51% 1.42ドル

アメリカン・ステイツ・ウォーター(AWR)は、子会社を通じて水の生産から流通、販売及び電力の配給サービスを行う米国カリフォルニア州の会社です。連続増配年数は67年であり、執筆時点では米国株における増配年数が最も長い会社となっています。

株価は右肩上がりを続けており、直近の値動きは1株100ドルを付けた後、90ドル前後で推移しています。通期の業績は好調で、売上高と営業利益はともに過去最高を更新しています。それに伴い、1株配当も増える形で前期比9.3%の増配率です。

水道という必要不可欠なインフラサービスを提供していることから、今後も継続した成長及び増配が期待できます。

2-7 ノースウェスト・ナチュラル・ガス(NWN)

株価 連続増配年数 配当利回り 1株配当(予想)
49.82ドル 65年 3.85% 1.92ドル

ノースウェスト・ナチュラル・ガス(NWN)は、天然ガスサービスの配給や販売を行う会社です。主にオレゴン州やカリフォルニア州でサービスを展開しており、天然ガスの供給に加え、ガス機器の設置や点検、貯蔵なども行っています。

株価は20年2月に1株77.26ドルの過去最高値を付けた後、下落に転じ、最近は50ドルを割り込む値動きとなっています。売上高は堅調に推移しており、1株当たり配当は少しずつではあるものの、毎年着実に増配を実施中です。

ノースウェスト・ナチュラル・ガスは、公共事業株であることから今後も連続増配年数の更新を期待できます。

2-8 AT&T(T)

株価 連続増配年数 配当利回り 1株配当(予想)
27.18ドル 36年 7.67% 2.08ドル

AT&T(T)は、米国テキサス州ダラスに本社を置く、アメリカの大手通信会社です。電気通信や広告、技術サービスをグローバルに展開しており、映画やテレビ、ゲームなどのコンテンツ製作や配信なども行っています。連続増配年数は36年、配当利回りは7%台後半と高い水準です。

株価は冴えない動きが続いており、1999年1月に1株59.94ドルの上場来高値を付けて以降、高値を更新しておらず、最近は30ドルを割り込んで推移しています。

通期の売上高は堅調に推移しているものの、20年12月期の営業利益は大きく減少し、経常利益と最終利益は赤字に転落しています。契約者数の減少が続いていたテレビ事業で巨額の減損損失を計上したことが主な理由です。

今後はワーナーメディアを分割し、本業の通信業に経営資源を集中するとしており、減配が行われるかどうかなど、今後の展望を追いかけたい銘柄の一つです。

2-9 エクソン・モービル(XOM)

株価 連続増配年数 配当利回り 1株配当(予想)
71.87ドル 38年 4.86% 3.49ドル

エクソン・モービル(XOM)は、世界各地で石油事業を展開する石油化学会社です。事業セグメントは上流と下流からなり、原油と天然ガスの探鉱と生産から石油製品の製造と販売まで行っています。連続増配年数は30年を超えており長い実績を持ちます。

株価は2014年7月に104.76ドルを付けて以来、高値を更新しておらず、最近は原油高の影響を受けて70ドルを超える水準まで反発しています。また、20年12月通期の売上高が減少したことで、経常利益や最終利益は赤字に転落しており、1株配当の増配率は減少しています。

今後はESG(環境・社会・ガバナンス)重視の流れを受けて、脱化石燃料の動きが加速するため長期的なリスクは大きくなります。そのため、30年以上の連続増配が途切れる可能性を考えておく必要もあります。

2-10 ウォルマート・ストアズ(WMT)

株価 連続増配年数 配当利回り 1株配当(予想)
145.06ドル 48年 1.52% 2.20ドル

ウォルマート・ストアズ(WMT)は、米国アーカンソー州に本部を置く、世界最大級のスーパーマーケットを展開する会社です。様々な商品やサービスを低価格で提供しており、eコマースやウェブサイトなども運営しています。連続増配年数は48年と長い実績があります。

株価は時間の経過とともに右肩上がりで、最近は1株140ドル前後で推移しています。業績は好調であり、通期の売上高は過去最高を更新中です。豊富な品揃えと低価格により業界での競争力は高いので、業績の拡大は今後も続くものと期待されます。

3 連続増配株の注意点

連続増配株に投資する際には、以下のポイントにも注意しましょう。

3-1 短期的な利益を上げにくい

連続増配株で短期的に大きな利益を上げることは基本的にはできません。増配は、企業の成長が時間をかけて少しずつ続くことで実施されるので、配当金の増え方や株価の変動は緩やかなものになるためです。

連続増配株への投資は時間をかけた資産形成に役立つ一方、短期的な利益を上げたい場合は値上がり益を狙った投資なども検討しましょう。

3-2 減配リスクがある

連続増配株の中には、50年以上の長期間にわたり増配を続けている会社があります。そのため、今後も変わらず増配を続けそうにも見えますが、配当金は企業の利益を原資としているので、配当金が減配となるリスクにも注意が必要です。

配当金が減配されれば、1株配当が減るだけでなく、株価自体が値下がりすることで含み損を抱える可能性があります。

まとめ

5期以上連続増配している銘柄を選ぶことで、長期的な資産形成を狙いやすくなります。一方、連続増配株に投資する場合、減配リスクがあるほか、短期的な利益を狙いにくいなどの特徴もあるので、企業の業績推移と景気に左右されにくい業種であるかどうかなどをしっかり確認した上で購入を検討しましょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 株式投資チーム

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