株式投資の出来高をトレードに活かすには?チャートの見方やテクニカル分析方法も

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株式のトレードをする際に重要となる指標の一つに「出来高」があります。

株式投資は外国為替市場と違い、単一の株式市場で行われる売買のため、投資家は明確な出来高を把握することができます。

今回は、株式投資において重要な出来高の意味とトレードへの活かし方について解説します。

目次

  1. 株式投資の出来高に関する基本事項
    1-1.出来高とは?
    1-2.出来高が意味するもの
    1-3.出来高とトレードとの関係
  2. 出来高の解釈の仕方
    2-1.出来高の増減が意味すること
    2-2.高値圏での出来高の増加
    2-3.安値圏での出来高の増加
  3. 出来高をトレードに活かす方法
    3-1.出来高が急増した銘柄をチェック
    3-2.出来高を売買サインとして捉える
    3-3.価格帯別出来高を参考にする
  4. まとめ

1.株式投資の出来高に関する基本事項

まずは株式投資の出来高に関する基本事項について解説します。

1-1.出来高とは?

出来高とは、「売買が成立した株式数」の事です。これはあくまで「株式」の数であり、取引の成立した数と勘違いをしないようにしましょう。

例えば、1日の株式市場がオープンしている時間に行われた売買で1,000万株の取引が成立している場合、1日の出来高は1,000万となります。仮に10件の取引しかない場合でも、1件平均が100万株であれば1日の出来高は1,000万となります。

また、 出来高の中に買い注文と売り注文の区別はありませんが、「信用買い残」と「信用売り残」についてはそれぞれ別々にグラフとして表示されます。

1-2.出来高が意味するもの

この出来高は株式投資のトレーダーにとってどのような意味を持つのでしょうか。

出来高の多さは、「市場の注目度」と捉えることができます。出来高としてカウントされる数値は売買の成立数であるため、売り手の数だけ買い手がいなければ取引は成立しません。つまり、出来高が増えるということは売り手も買い手もどちらも多い状態であるということになります。

上記の背景から、出来高とチャートを組み合わせることにより、株式をトレードする上での大きなヒントを得ることができます。

1-3.出来高とトレードとの関係

出来高とチャートの状態から今後の価格の行方を推測することが可能となります。

出来高が増えている銘柄は価格の変動が大きくなる傾向にあり、出来高が減少もしくは相対的に低い所に落ち着いている銘柄の価格変動はあまり起こらない傾向があります。

出来高の変化の背景には必ず理由があります。どのような出来事が出来高の変化に繋がるかという点に関しては後述しますが、株式投資においては特に出来高が増加しているタイミングがトレードのチャンスとなります。

2.出来高の解釈の仕方

具体的に出来高のチャートの解釈の仕方(見方)について解説します。

2-1.出来高の増減が意味すること

出来高のグラフは通常チャートの下に表示されます。この出来高のグラフとチャートの動きを照らし合わせる事で、その銘柄の価格変動を予想することができます。

特に注目すべき点としては、 出来高が大きく増えている時です。株式投資において出来高が大きく増える要因には以下のようなことが考えられます。

①当該企業の成長性に関わる材料が出た時

これは、新事業や新製品または資本業務提携など、今後その企業にとっての成長材料となるニュースが出た時などのことです。 また、当該企業の業績に関連する法律の変更なども出来高の増加要因となります。

②業績関連の材料が出た時

四半期ごとの決算や業績の修正が行われたタイミングで、予想よりも実際の数値に大きな違いがあればあるほど出来高は大きくなる傾向となります。

③当該企業にとってマイナスの材料が出た時

事件や事故などの企業のイメージや業績を悪化させるニュースが出たタイミングも出来高が増加しやすいタイミングです。

逆に出来高が減少してきた時は、その銘柄の注目度が下がり、流動性が低下している状態と言えるため、取引が成立しない可能性が高くなるリスクがあります。

2-2.高値圏での出来高の増加

株価が高値圏にある際に出来高が増加している場合は、上昇トレンドになった株価がピークをつける可能性が大きいと解釈します。

特に大型株の株価が高値圏にある時に出来高が急増した場合は、利益確定売りが多く結果的にそこが天井となる可能性が高いため、基本的には売りのサインと解釈されることが多い傾向です。

特に日足で長い上髭を形成している際などは、その可能性が高くなると見てよいでしょう。

2-3.安値圏での出来高の増加

株価が安値圏にある際に出来高が増加している場合は、買いのサインとなります。これは、今まで人気がなかったために株価の動きがなかった銘柄が注目され、その株を購入したい人が増加した可能性を意味するからです。また一旦売却したい人が売り切ったことを示しており、短期的な売り圧力がなくなったと捉えることもできます。

その後の上昇がいつまで続くかは材料の強さ次第ではあるものの、ある程度の上昇を期待することはできます。

3.出来高をトレードに活かす方法

次に出来高の情報を株式投資に活かす方法について解説します。

3-1.出来高が急増した銘柄をチェック

株価が安値圏にあり出来高が急上昇した銘柄を見つけ、押し目買いをする順張りエントリーを行い、その後の上昇の利益を狙うための方法です。

「出来高が急増した」の定義については、 過去25週の平均出来高の5倍以上の出来高急増となった銘柄を目安に選択すると良いでしょう。株価の分析ツールにはそのような銘柄を選出する機能がついたものもあるため、参考にするのも良いでしょう。

また、今後ある法案が可決された際に出来高上昇が見込まれるセクターでの低位株をウォッチリストに入れておくなども検討すると良いでしょう。

3-2.出来高を売買サインとして捉える

高値圏での出来高急増を売りサイン、安値圏での出来高急増を買いサインとしてトレードする方法がこの手法です。ただし、高値圏での出来高急増を売りサインとするのは大型株に限り、かつ日足で長い上髭のあるローソク足を確認してから、戻り売りのスタンスでトレードをすると良いでしょう。またエントリーに関しては、他のインジケーターを利用してポイントを探します。

安値圏での出来高急増を買いサインとしてトレードする方法は、前述した内容と同じであるため解説は省略します。

3-3.価格帯別出来高を参考にする

取引ツールによっては、価格帯別の出来高をチャートの右側に表示してくれるツールもあります。

価格帯別の出来高は、出来高の多い価格帯で多くの人が買ったということを意味します。仮に株価が低迷しているところから、出来高の多い価格水準まで上昇してくると、含み損を一掃するために売りが出やすくなります。逆に株価が高騰しているところからその水準まで下降してくると、買いが入りやすくなります。

つまり、出来高の大きな価格帯は相場の反転ポイントになる確率が高い、という認識のもとにトレードをする事ができるのです。

これはエントリーの際の目安となるだけではなく、高値でショートポジションを保有している際や、安値でロングエントリーをしている際の決済の目安とする事もできます。

まとめ

株式投資における出来高の見方自体はさほど難しいものではありませんが、実際にトレードする際は、出来高の変化だけでトレードするのではなく、出来高の背景となったファンダメンタルズの分析や他のテクニカル手法のインジケーターと併用して使用することをおすすめします。

また価格帯別の出来高表示に関しては、無料チャートツールであるトレーディングビューなどでも利用できるため、参考にしてみると良いでしょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12