株式投資のデイトレードにおいて、有効なインジケーターの一つが「RCI」(アール・シー・アイ)です。今回は、株式投資におけるRCIの使い方について、チャートから具体例を用いて解説します。
目次
- RCIの概要
1-1.RCIの算出方法 - RCIの売買サイン
2-1.RCIの向きに注目する
2-2.RCIの範囲に注目する
2-3.長期RCIと短期RCIを活用する
2-4.売買サインを見極める際の注意点 - デイトレードを前提としたRCIの利用法
3-1.具体的なトレードの手順 - まとめ
1.RCIの概要
RCIは「Rank Correlation Index」の略で、日本語では「順位相関指数」と訳され、相場の「買われ過ぎ」や「売られ過ぎ」を見極める際に利用される、オシレーター系のインジケーターです。
インジケーターはそのほとんどが、相場における上昇率や下落率、上下の変動幅などを利用して計算されていますが、RCIはある期間における日付の順位と価格の順位をつけ、両者にどれだけの相関関係があるのかを計算し、数値化した比較的ユニークなインジケーターとなっています。
RCIはこのような性質から、相場の転換点を見極めて「逆張り」として活用することが可能なほか、トレンド系の一面も持ち合わせているため、「順張り」としても活用可能な、使い勝手の良いインジケーターと言えるでしょう。
なお、RCIと似ているインジケーターとしてよく引き合いに出されるものに「RSI(相対力指数)」がありますが、RCIはある期間において、直近の相場は何番目の強さや影響力があるのかを表し、RSIはある期間において、上昇と下落において比率にどれだけの差が生じたのかを表す指標です。
1-1.RCIの算出方法
RCIの算出方法は、下記の通りです。
RCI =(1-(6d÷(n×(n×n-1))))×100
※d = 日付の順位と株価の順位の差を2乗し、合計した数値
※n = 期間
なお、パラメータ値である「n」は一般的に「9(日足)」と設定することが多くなっていますが、相場の動きなどは銘柄ごとに異なるため、それぞれにマッチしたパラメータ値を研究することが大切になってきます。
2.RCIの売買サイン
RCIを用いた売買サインを解説します。
2-1.RCIの向きに注目する
RCIは、相場の動きに伴って推移する性質があるため、RCIが底値圏において上昇し始めた場合は「買いサイン」と見なすことができ、反対に、天井圏において下落し始めた場合は「売りサイン」と考えることが可能です。
2-2.RCIの範囲に注目する
RCIを利用してトレンドの転換点を見極めるためには「±80%」の線が重要となっており、「±80%」を越えた際は、相場がかなり加熱している状態にあると言えるため、同時に反発の確率も高まります。
RCIでは、「-90%」や「-80%」あたりを越えた際には「買いサイン」と見なすことができます。
この方法では、RCIが底打ちした際に買いサインと見なすのではなく、トレンドが比較的はっきり見えてから買うことになるため、より信頼性の高いジャッジが可能になります。
また反対に、「売りサイン」を見極める際も同じように、天井を打ったことを確認してから売りに出るのではなく、RCIが「80%」や「90%」を越えてから「売りサイン」であると見なすことも可能です。
2-3.長期RCIと短期RCIを活用する
RCIは本来1本だけで使用することを想定して作り出されたインジケーターですが、異なる期間のRCIを2本以上用いることによってまた違った見方が可能となり、両者の示す位置関係から取引手法を決定することができます。
なお、この際は長期のラインを短期のラインが下から上に抜ける「ゴールデンクロス」や、長期のラインを短期のラインが上から下に抜ける「デッドクロス」といった現象がたびたび起こるため、「だまし」となる確率が一定数あり注意が必要です。
そのため、基本的にはゴールデンクロスやデッドクロスが起こっているかどうかを見るのではなく、それがどの位置で起こったかに注目することが大切です。
具体的には、両者が「-100%」に近い位置でゴールデンクロスを起こした際は、「買いサイン」と見なすことができます。
また一方で、両者が「100%」に近い位置でデッドクロスを起こした際は、「売りサイン」と考えることが可能となります。
2-4.売買サインを見極める際の注意点
RCIの売買サインを見極める際の注意点として、相場の上昇もしくは下降がある程度の期間続くなど、比較的強い勢いのトレンドが発生している際には、RCIの線は「+100%」または「-100%」の付近に張りついて横ばいになるという現象が起こります。
そのため、ラインが「+100%」や「-100%」に達したことを確認して逆張りを行ったとしても、トレンドが転換することなくそのまま続いていき、損失を被る可能性が高いという懸念があります。
このように、相場に対して勢いの強いトレンドを示している状況では、RCIの売買サインが「だまし」となって機能しづらくなることがあるため、十分な注意が必要です。
一般的に、相場の強いトレンドが発生している際には、RCIは順張りの指標として用いることが推奨されています。
3.デイトレードを前提としたRCIの利用法
ここではANAホールディングス(9202)のチャートを用いて、デイトレードにおけるRCIの使い方を説明します。
1時間足のチャートを使用します。チャートを開き、RCIを表示します。今回例として用いているトレーディングビューでは、「RCI 3line」を選択します。ここでは最も短期の線が赤線で表示され、中期が青、長期が緑で表示されます。
3lineを使用する理由は、基本的にRCIはひとつの線でも売買サインとできますが、ゴールデンクロス・デッドクロスも取り入れることでトレードの成功率を高めることができるからです。
ここでは、環境認識として下落トレンドにあるとも見立てた上で、売りでエントリーする場合を例に解説をします。
3-1.具体的なトレードの手順
売りでエントリーしたい場合は、RCIの短期線が 80%のラインを超えるのを待ちます。下の図の黄色の丸で囲っている部分が、RCIの指標が80%を超えたラインです。
RCIが80%を超えたからといってすぐにエントリーするわけではありません。次に赤の線が長期の線(緑)を上から下にクロスする「デッドクロス」を待ちます。
今回の例においては、 赤い丸で囲んでいる部分でデッドクロスが発生しており、ここがエントリーのタイミングとなります。
RCI が-80%に到達したタイミング、または、 水平になったタイミングで決済します。
今回の例では-80%付近まで下落するものの、下落する前に水平に移動したため、そのタイミングで利益確定をします。
今回の例では、市場クローズの1時間前にエントリーしたため、決済は翌日に持ち越す形となりましたが、エントリーからクローズまで約3時間という短いトレードが実現しています。
結果的にこのトレードでは、2,515円でエントリーをして2,491円で利益確定しているため、1株当たり16円の利益が出せたことになります。
まとめ
RCIを利用した株式トレードは、初心者の方でも簡単に始められるトレード手法の一つです。数あるインジケーターの中から何を使っていいか迷っている方は、RCIを利用したデイトレードから学んでみるのも良いでしょう。
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中島 翔
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