投資や資産運用では、投資方針やスタイルに合った証券会社を選ぶのも重要なポイントの一つです。特に大手の店舗型証券会社は、手数料こそ高めなものの、取扱商品は豊富で充実した対面サービスを受けられるのが大きな特徴です。
そこでこの記事では、店頭証券大手5社と呼ばれる証券会社の手数料、取扱商品、ポイント、ツール等を紹介しながら比較していきます。口座選びで迷っている方や、店頭証券会社の特徴について詳しく知りたい方は、参考にしてみてください。
目次
- 店頭証券大手5社とは
1-1.野村證券
1-2.SMBC日興証券
1-3.大和証券
1-4.みずほ証券
1-5.三菱UFJモルガン・スタンレー証券 - 店頭証券大手5社のサービス内容を徹底比較
2-1.店頭証券5社の手数料
2-2.店頭証券5社の取扱商品の種類
2-3.店頭証券5社のポイントサービス
2-4.店頭証券5社のツール - まとめ
1 店頭証券大手5社とは
店舗を構える大手の証券会社としては、「野村證券」「SMBC日興証券」「大和証券」「みずほ証券」「三菱UFJモルガン・スタンレー証券」が代表的です。各社の特徴や強みは以下の通りです。
1-1 野村證券
野村證券は、野村グループの証券業務の中核を担う証券会社です。野村グループの持株会社である野村ホールディングスの100%子会社にあたり、旧野村證券から事業を引継ぎ、2001年5月に設立されました。その際、旧野村證券が野村ホールディングスとなり、現在の野村證券の完全親会社になっています。
旧野村證券の創業は1925年までさかのぼります。旧野村證券時代を含めると、野村證券の歴史は100年以上あり、創業後、オイルショックをきっかけに多数の外国株ファンドを立ち上げて、アメリカやヨーロッパにも事業を展開していきました。
2008年のリーマンショックの際には、破綻したリーマンブラザーズのインドのITサービス関連会社を買収し、また、リーマンブラザーズのアジア・パシフィック、ヨーロッパ、中東地域部門の雇用承継も行っています。
野村證券は、IPOの主幹事案件数が他の証券会社よりも多いのが特徴です。主幹事案件数が多いと抽選確率も高くなるため、IPO取引をする人には適した店舗証券となっています。
1-2 SMBC日興証券
SMBC日興証券は、三井住友フィナンシャルグループに属する証券会社です。親会社であったシティグループが三井住友フィナンシャルグループへ事業譲渡をした際、2009年に設立されました。その後、2016年に三井住友フィナンシャルグループの直接出資子会社となっています。
SMBC日興証券の前身にあたる川島屋商店の創業は1918年なので、前身時代の事業歴を含めると、SMBC日興証券の歴史も100年以上に及びます。
SMBC日興証券は、投資家にメリットのある商品やサービスの提供や、重要な情報をわかりやすく提供するなどして、投資家の資産形成と企業への資金供給による経済成長の促進の役割を果たしています。
1-3 大和証券
大和証券は、大和証券グループ本社の傘下にある証券会社です。1999年に持株会社へ移行された際に設立されました。それまでは、大和証券グループ本社が証券業務を行っており、同社の持株会社への移行に伴って大和証券グループ本社から業務を承継し、証券サービスの提供を開始しました。
大和証券は、前身の会社を含めると110年を超える歴史があります。国内には、170以上の店舗があり、業務も幅広く展開しています。さらに、世界20カ所の国や地域に拠点を有し、確かなグローバルネットワークを持っているのも特徴です。
インターネット上の証券サービスの先駆的な存在でもあり、利用実績数も300万人以上にのぼります。
1-4 みずほ証券
みずほ証券は、みずほフィナンシャルグループに属している証券会社です。2009年に旧新光証券が旧みずほ証券を吸収合併した後、社名をみずほ証券に変更して現在に至ります。2013年には、みずほインベスターズ証券を吸収合併し、みずほフィナンシャルグループ内の証券部門が統一されました。
みずほ証券は、国内242拠点、国外20拠点のネットワークがあるため、広範囲でサービスを受けられるのが特徴です。また、最近はビジネス構造改革にも着手しており、コンサルティング力、グローバルネットワーク、データやAIを活用したサービスの提供に取り組んでいます。
1-5 三菱UFJモルガン・スタンレー証券
三菱UFJモルガン・スタンレー証券は、三菱UFJフィナンシャルグループ内の証券事業の中核を担う証券会社です。2009年に旧三菱UFJ証券が持株会社に移行し、その子会社として設立されています。2010年には、モルガン・スタンレーMUFG証券株式会社のインベストメントバンキング業務を統合して、社名も三菱UFJモルガン・スタンレー証券になりました。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、国内有数とされるアナリストのリサーチ力が強みで、資産運用だけではなく、資産承継も含めた総合的な金融サービスを受けられます。このほか、利用者に合った取引コースを選択できるため、初めての方でも無理なく投資を始められるのが特徴です。
2 店頭証券大手5社のサービス内容を徹底比較
店頭証券大手5社のサービス内容のうち、「手数料」「取扱商品」「ポイント」「ツール」の項目で比較すると、次の通りです(※いずれも2021年2月7日時点の情報です)。
2-1 店頭証券5社の手数料
国内株式(現物取引)の税込手数料は以下の通りです。
項目 | 約定金額100万円の場合 | ||
---|---|---|---|
対面取引(基本手数料) | 電話取引 | ネット取引 | |
野村證券 | 12,188円 | 4,505円 | 1,048円 |
SMBC日興証券 | 12,650円 | 10,753円 | 880円 |
大和証券 | 12,650円 | 8,855円 | 3,795円 |
みずほ証券 | 11,550円 | 9,240円 | 3,465円 |
三菱UFJモルガン・スタンレー証券 | 12,210円 | 7,326円 | 3,663円 |
野村證券の手数料
野村證券の手数料は、取引口座の種類によって金額が異なります。野村證券の取引口座には、「本・支店口座」と「野村ネット&コール口座」の2種類あります。本・支店口座は、店頭で取引を行える口座で、野村ネット&コール口座は電話やオンライン上で取引をする口座になります。
100万円の国内株式(現物取引)を取引する場合、基本手数料は12,188円(0.9460%+2,728円)です。一方、オンライン取引の場合は1,048円です(オンライン専用支店の場合)。電話での取引は4,505円となります。
SMBC日興証券の手数料
SMBC日興証券の手数料は、ダイレクトコースで取引するほうが総合コースで取引するよりも安くなります。ダイレクトコースはネット上で直接取引できるコースで、総合コースは店頭で担当者からアドバイスを受けながら取引するコースです。
100万円の国内株式(現物取引)を取引する場合、基本手数料は1.265%(12,650円)です。なお、総合コースでもオンライン取引は可能ですが、0.8855%(8,850円)かかります。
一方、ネット取引であるダイレクトコースの場合、880円です。電話によるオペレーターを使用すると10,753円となります。
大和証券の手数料
大和証券の手数料は、選択したコースおよび取引方法によって異なります。国内株式の現物取引をする場合、対面取引の対象コースである「ダイワ・コンサルティング」のほうが、オンライン上での直接取引の対象コースである「ダイワ・ダイレクト」よりも高くなります。
100万円の国内株式(現物取引)を取引する場合、基本手数料は12,650円です(ダイワ・コンサルティングコースの場合)。一方、ダイワ・ダイレクトコースでインターネット取引を行う場合、手数料は3,795円です。
みずほ証券の手数料
みずほ証券には、オンラインや電話で取引ができる「ダイレクトコース」とオンラインや電話だけではなく店頭でも取引ができる「3サポートコース」の2つのコースが設けられています。そして、手数料の金額は、上記2つのコースや取引方法によって異なります。
100万円の国内株式(現物取引)を取引する場合、基本手数料は11,550円です(3サポートコースの場合)。一方、インターネット取引の場合、3,465円となります(ダイレクトコースの場合)。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の手数料
三菱UFJモルガン・スタンレー証券の手数料は、国内株式取引の場合、取引コースと取引方法に応じて金額が決定します。
100万円の国内株式(現物取引)を取引する場合、基本手数料は12,210円(1.012%+2,090円)です。
これをオンライン取引で行う場合、3,663円になります(ダイレクト取引コース、MUFGテラス・コースの場合)。電話取引の場合は7,326円です(ダイレクト取引コース、MUFGテラス・コースの場合)。
また、同じ店頭取引であっても「MUFGテラス・コース」を選択している場合、手数料が安くなります。MUFGテラス・コースでは、投資の相談しながら取引できて、なおかつ通常より手数料が抑えられます。
2-2 店頭証券5社の取扱商品の種類
店頭証券大手5社の取扱商品の種類は、共通している部分が多くあります。例えば、国内外株式、投資信託、債券、IPO・PO、年金・保険は、大手5社のいずれも取り扱っています。
投資家に代わって証券会社側が資産を運用したり、管理したりする「ファンドラップ」については、店頭証券大手のうち、三菱UFJモルガン・スタンレー証券以外の4社でサービスを提供しています。
このほか、店頭証券大手5社の中には、証券担保ローンを取り扱っているところもあります。証券担保ローンとは、保有している金融商品を担保にして融資を受けられるサービスで、提供しているのは、野村證券、SMBC日興証券、大和証券です。
2-3 店頭証券5社のポイントサービス
大手5社の中には、ポイントサービスを提供していない証券会社があります。大和証券のポイントサービスのうち、新規のポイント付与は2020年3月末で終了し、ポイントプログラムサービスも2021年3月に終了予定です。またみずほ証券のポイントサービスは2020年5月29日で終了しており、三菱UFJモルガン・スタンレー証券ではポイントサービスを提供していません。
一方、野村證券とSMBC日興証券では、ポイントサービスを提供しており、その内容は以下の通りです。
野村證券のポイントサービス
野村證券で口座を開設し、オンラインサービス契約をしている方は、ポイントサービスの特典を受けられます。「野村のおトクワールド」というサイトでショッピングをすると、「野村ポイント」が貯まります。野村ポイントは、航空系のマイレージ、他社のポイント、ギフト券、電子マネーなどと交換可能です。
SMBC日興証券のポイントサービス
SMBC日興証券で現物取引や投資つみたてプランで取引をすると、dポイントが貯まります。キンカブの取引をする場合、dポイントが貯まるだけではなく、同社が提供する「日興フロッギー+ docomo」というサービスでは、SMBC日興証券の証券口座とドコモのdアカウントを連携させると、銘柄を購入する際にdポイントを使用することも可能です。
2-4 店頭証券5社のツール
店頭証券大手5社は、それぞれ投資する際に便利なツール等を提供しています。
野村證券のツール
野村證券では、「お気に入り銘柄」「銘柄スクリーニング」等のツールを提供しています。お気に入り銘柄とは、利用者のお気に入り銘柄を200個まで登録できるツールです。銘柄スクリーニングは、過去に銘柄を検索した条件を3つまで保存できるツールとなっています。
SMBC日興証券のツール
SMBC日興証券が提供するツールには、「AI株式ポートフォリオ診断」「AI株価見守りサービス」などがあります。AI株式ポートフォリオ診断とは、利用者の投資のリスクを考慮しながら最適なポートフォリオをAIで提案してくれるツールです。
AI株価見守りサービスは、保有銘柄をリアルタイムで監視して、売却のタイミングを通知してくれるAIのシステムです。
大和証券のツール
大和証券では、「高機能トレーディングツールのトレボ」「スマートフォンアプリの株Walk」等のツールを提供しています。トレボは、登録した銘柄リストから直接注文、約定画面に移動して取引できるツールです。株Walkは、マーケット情報や銘柄の株価を確認しながら国内株式の取引ができるスマートフォンアプリになります。
みずほ証券のツール
みずほ証券で提供しているツール等には、株式取引で使用する株価ボートやリアルチャートがあります。また、実際の株式取引で役立つテクニカル分析や日柄値幅分析の提供も行っています。
三菱UFJモルガン・スタンレー証券のツール
三菱UFJモルガン・スタンレー証券では、多機能チャート、スクリーニング、個別銘柄情報などのツール等を提供しており、利用者をサポートしています。また、国内情報だけではなく、海外市況の詳細を把握できるツールもあります。
まとめ
店頭証券大手5社には創業してから数十年以上の歴史があるため、証券サービスの豊富なノウハウを有しています。株式、債券、投資信託など主要な金融商品を取り扱っている点も共通しています。
また、店頭証券でありながら、ネット上でのサービスにも力を入れているのが特徴です。ネット専業証券より手数料は高めになるものの、専門家による貴重なアドバイスを受けながら投資判断を行えるのは大きなメリットです。このほか、様々な特典があるポイントサービスや、便利な取引ツールなど、各社は独自のサービスを展開しています。
証券会社を選ぶ際は、手数料の安さなども重要ですが、サービス面なども考慮して総合的に判断することが大切です。
- 外国株(米国株など)が買えるネット証券会社
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