米7月CPIが下振れるとドル円は130円へ?FXで儲けるための注目ポイントを解説

2022年7月25日からの相場は、ドル売りが先行したのち、ドル買いに戻りました。FOMCおよびその後のパウエル議長の会見が市場予想ほどタカではなかったこと、そして第2Qの米GDPが予想外のマイナス成長だったことがドル売りに繋がりました。

参考:ブルームバーグ「FOMC、2会合連続の75bp利上げ-パウエル氏は景気後退否定

しかし、その後中国PMIの悪化、ペロシ米下院議長の台湾訪問をめぐる米中の緊張の高まりなどにより市場心理が大幅に悪化しドル買いに転じると、米ISM非製造業景気指数の予想外の改善と文句なしの米雇用統計によりドル買いが強まり、結局行って来いの展開となりました。

ドル円は137円台から130円台前半まで急落したのち135円近辺でクローズ、ユーロドルは1.0100-1.0300レンジ内で振幅しました。

この記事では、2022年7月下旬の振り返りと、8月中旬に向けての動向を解説します。

※本記事は8月8日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 2022年6月上旬のマーケット振り返り
    1-1.米国
    1-2.中国
    1-3.欧州
    1-4.英国
    1-5.オーストラリア
    1-6.カナダ
  2. 注目材料
    2-1.米CPIと米ミシガン大消費者信頼感指数

1.直近の振り返り

1-1.米国

7月カンファレンスボード消費者信頼感数は予想を下回る95.7となりました。雇用が十分との回答は50.1%と過去一年で最低となり、徐々にインフレのダメージが雇用にも波及してきています。

7月FOMCでは予想通り0.75%の利上げが決定されました。前回0.75%利上げ時に0.5%の利上げを主張したジョージ総裁は、今回は0.75%利上げに賛成し全会一致となりました。

9月の利上げに関しては0.75%利上げの可能性は残しつつも、0.75%利上げは「unusual」であるとし、データ次第であることを強調しました。市場の織り込みも0.5%程度で落ち着いています。今回の利上げで中立金利の2.5%に到達したことから、これからの利上げについては徐々に成長リスクに配慮するようになっていくかもしれません。

成長鈍化の兆候を認め、パウエル議長も需給調整にある程度の進展があったと発言しています。今回は質疑応答では、堅調な雇用を踏まえると現在はリセッションではないという認識を示したことから、今後雇用関連指標に注目が集まりそうです。しかし、6月FOMCで発表した利上げ予想が現時点でも最良だとしていることからすると、市場の織り込みは若干不足気味です。

参考:ブルームバーグ「FOMC、2会合連続の75bp利上げ-パウエル氏は景気後退否定

第2QのGDP速報値は前期比▲0.9%と予想の+0.4%を大幅に下回りました。家計支出の減速に加え、企業の投資や政府支出、住宅投資が減少しました。

一方で貿易赤字の縮小はプラス要因となりました。これで2期連続となり、数字だけで判断するならテクニカルリセッションとみなされるものの、正式に認定する全米経済研究所(NBER)がどのように判断するのか注目が集まります。

7月のISM製造業指数は、市場予想を上回る52.8となりました。新規受注が悪化しているにもかかわらず在庫指数は1984年以来の高水準となり、景気悪化を意識した形となっています。

一方で、入荷遅延指数は小幅に低下しました。仕入れ価格は大幅に低下とインフレは落ち着く兆しが見えてきています。

7月ISM非製造業指数は56.7と前回の55.3から上昇し、市場予想の53.5も上回りました。新規受注も4カ月ぶりの高水準と製造業に比べて格段に強い内容です。消費者マインドは低下しているものの、雇用が堅調なこともあり、実際の家計の消費支出は力強さを温存している可能性があります。

7月の雇用統計は前月比+52.8万人と予想を大幅に上回りました。失業率もコロナ前の水準である3.5%に低下しました。時間当たり賃金は、前年比+5.1%と徐々に伸びが鈍化しているものの、総賃金指数(雇用者数×週平均労働時間×時間当たり給与)は前年比+9.7%と、インフレの上昇率を上回っており、米国の個人消費の底堅さを物語っています。

1-2.中国

中国の7月製造業PMIは49と50を下回り、財新製造業PMIも50.4と市場予想を下回りました。

ペロシ下院議長が台湾を訪問することに中国当局は強く反発し、一時的に緊張感が高まりリスクオフの展開となりました。しかし無事にペロシ議長が乗った飛行機が台湾に到着すると一気に巻き戻されました。翌日以降中国は台湾に対して貿易の制裁を課し、軍事演習を実施しましたが、相場への反応はありませんでした。

1-3.欧州

ロシアからのガス量がピークの20%に削減される中、EU加盟国はガスの使用量15%削減に合意してロシア依存脱却方針を明確にしました。

7月のユーロ圏景況感指数は99と前月の103.5から低下しました。消費者や企業はエネルギー不足を懸念しており、加えてECBの利上げによって景気後退に陥るとの不安が強まっています。

デギンドスECB副総裁が為替レートはECBが注視する重要な指標であり、ユーロ相場の下落は高インフレの背景となる要素があるため、先日の会合でも為替レートが考慮されたと、異例の為替に関する突っ込んだ発言をしました。

参考:ロイター「今月のECB利上げ、ユーロ安も考慮=副総裁

1-4.英国

8月BOE金融政策会合は8対1の賛成多数で政策金利を0.5%引き上げ1.75%にすることを決定しました。0.25%の利上げを主張した参加者もいたものの、将来的に必要とあれば0.5%という見方でした。大きく意見が乖離しているわけではなさそうです。

エネルギー価格の高騰によるインフレが、個人消費にダメージを与えGDP成長率も2022年第4Qから2023年末まで5四半期連続でマイナスになるという予想です。将来の景気後退を予測しているにもかかわらず、0.5%の利上げを実施するということは、米国同様上げられるうちに上げて将来利下げの余地を作っている可能性があります。従って、CPIがピークをつけないのであれば、次回も0.5%の利上げの可能性が出てきます。

市場では9月に0.25%もしくは0.5%の利上げ、11月に0.25%の利上げをして、最終的に政策金利が2.25-2.5%に達したところで今回の利上げサイクルが終了するとの観測が高まっています。しかし、それでもBOEが見ているターミナルレートが2023年中に2.9%ですから、織り込みが不足しています。

1-5.オーストラリア

第2QのCPIが発表され、前年比+6.1%、RBAが注目しているトリム平均値は前年比+4.9%に上昇しました。牽引したのは、エネルギーと食料品ということで他国と同じであるものの、相対的に穏やかな上昇にとどまっています。

8月のRBA金融政策決定会合は予想通り0.5%金利を引き上げ1.875%となりました。0.5%利上げは予想通りです。

声明も大きな違和感はないものの、今後について、さらなる措置を示唆しつつ、データと物価・雇用の見通し次第と表明し、あらかじめ設定された軌道上にあるわけではないという文言を付け加えました。今後の利上げ幅縮小の可能性が意識されました。

インフレは2022年末に7.75%、2023年4%強、2024年が約3%と、今年後半にピークに達し、その後再び低下するという見通しです。政策金利は現行の1.85%から12月までに3%に上昇し、2024年末までにやや低下すると想定しています。ほぼ市場の織り込みと一致しています。

1-6.カナダ

7月カナダ雇用統計は強弱まちまちの結果でした。雇用者数は3.06万人減と市場予想1.5万人増からは予想外の減少でしたが、失業率は4.9%と前回の水準を維持しつつ市場予想5.0%を下回りました。

2.今後の注目材料

2-1.米7月CPI・8月ミシガン大消費者信頼感指数

6月の0.75%利上げ時に、CPIとミシガン大消費者信頼感指数が上昇しました。大幅利上げに踏み切ったとの発言があったものの、7月FOMCでもパウエル議長は9月の利上げ幅についてはデータ次第と述べていることから、CPIとミシガン大消費者信頼感指数の数字が注目されています。

参考:ブルームバーグ「FOMC、2会合連続の75bp利上げ-パウエル氏は景気後退否定

既に雇用統計は好結果となりました。次回9月のFOMCにて0.75%の利上げが70%程度織り込まれた状態です。水曜日に発表されるCPIが予想を上回るなら、0.75%利上げがほぼ織り込まれる展開となり、米金利とドルが上昇しそうです。

しかし、その後金曜日に出てくるミシガン大消費者信頼感指数の特に1年先の期待インフレが大幅に低下しているのであれば、利上げ織り込みのレベルが0.5%利上げまで低下する可能性があります。既に5-10年先の期待インフレは前回でも2.8%まで低下しており、短期見通しに波及するかどうかに注目です。

雇用統計が良かったことから0.5%と0.75%利上げの幅の範囲内で、指標やFOMCメンバーの発言によって振幅する展開となるなか、米ドルもレンジでの推移を予想します。

7月に入ってNY原油価格の上昇が一服したことでエネルギー価格の伸びが抑えられるとの見通しが今回のCPI予想には織り込まれています。ガソリンの小売価格は6月に週平均で付けた1ガロン当たり5ドル超え(全米・全種平均/米EIA調査)から、直近で4.1ドル台まで落ちています。

月平均でみると6月の4.929ドルから7月は4.559ドルと約7.5%の低下となっているため、サプライズがあるとするならCPIの下振れでしょう。その場合、利上げ織り込みは0.25%の方向に移行する中、ドル円なら再び130円台に向けて下落する可能性があります。

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HEDGE GUIDE 編集部 FXチーム

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