2022年9月現在、ドル円は140円を突破しました。市場では、150円突破説も出始めています。どこまで上昇するのか気になっている方も多いのではないでしょうか?
一方でプロトレーダーである筆者は、ドル円の上昇は長続きしない可能性が高いと考えています。今回は、今後のドル円の相場を考える上でのポイントを解説していきます。
※本記事は9月5日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- ドル円のポイントを2つ紹介
1-1.年内の利上げ予測の織り込みと来年の利下げ期待の修正
1-2.日銀緩和政策継続見通しの強まり - ドル円の上昇は長続きしない可能性が高い?
- ドル円ショートを保有する場合の注意点2つ
3-1.スワップポイントがマイナス
3-2.米国の利上げ見通しの高まり - LINE FXの使い方
- まとめ
1.ドル円のポイントを2つ紹介
2022年9月16日現在、ドル円は130円台を突破し140円台に乗せています。ドル円の値動きは、米国FRBのタカ派の金融政策と、日本の金融緩和継続スタンスで説明できます。
1-1.年内の利上げ予測の織り込みと来年の利下げ期待の修正
年内の利上げ織り込みと来年の利上げについての、市場参加者による予測の変化が、一つ目のポイントです。
まずは、2022年8月の相場を振り返ってみましょう。8月上旬、予想を大幅に上回る雇用統計の結果で、一時利上げムードが強まりました。
その後のCPIは予想を下回りました。9月の利上げ幅が0.75%の市場予想が0.50%まで低下し、来年の利下げを織り込みました。
FRB高官からは、インフレ抑制のため、FF金利の更なる引き上げが必要との発言が相次ぎました。市場参加者の見通しを牽制する狙いでしょう。
8月下旬に注目されたジャクソンホールでは、パウエル議長の会見が行われました。インフレ抑制への厳格な姿勢を示し、市場参加者はFRBの予想以上のタカ派姿勢を再認識するきっかけとなりました。発言を受け、株式市場は急落しました。
参考:ブルームバーグ「パウエルFRB議長のタカ派姿勢、政府・日銀に再び円安警戒迫る
市場参加者が予測する9月の利上げ幅も、再度メインシナリオが0.75%に変化しています。来年の利下げ見通しも、弱まる動きになっています。
将来におけるFF金利が引き上がる最高水準も、ジャクソンホール前は3.4%だったものの、ジャクソンホール後には3.8%まで予測が引き上がりました。
全体的にFRBのタカ派姿勢が確認されています。投資家の見通しの修正が、足元でドル円が上昇している理由の一つです。
1-2.日銀緩和政策継続見通しの強まり
2022年9月現在、多くの各国中銀は、世界的な物価上昇の高騰から政策運営も利上げ方向で対応しています。一方で、日本は物価上昇が緩やかであることから、緩和政策を継続するスタンスを継続しています。金融政策の違いが、円安の背景です。
ジャクソンホールにて黒田総裁は、「緩和政策は継続する」とコメントしています。黒田総裁の発言を受けて、投資家はさらに日本円を売りやすくなりました。
参考:ブルームバーグ「黒田総裁、日銀は金融緩和策を維持する以外ない-ジャクソンホール
2.ドル円の上昇は長続きしない可能性が高い?
プロトレーダーである筆者は、ドル円の上昇は長続きしない可能性が高いと考えています。すぐに円高になるということではなく、ドル円はある程度高止まりするシナリオです。
今後一層のドル高に進むためには、2つの材料が必要になるでしょう。米国利上げの更なる強まりと、物価上昇率の高止まりの継続です。
既に市場では年内に1.25%の利上げが織り込まれています。また、来年の利下げシナリオは、既に修正されています。現在の米ドルの強さに、プライスインされているのです。
今後米ドルが上昇するには、年内に1.25%以上の利上げをするシナリオが必要です。物価上昇率が高止まりすれば、実現するでしょう。
2022年9月現在、アメリカのCPIの寄与度で大きな割合を占めているのは、エネルギー価格です。コモディティ価格が下落し始めると、アメリカのCPIが低下する材料になるということです。
原油や天然ガス等コモディティ価格の大幅な上昇により、物価上昇が続いていたものの、足元は高値から若干調整する動きが出始めています。CPIが低下した場合は、インフレが抑制されているとFRBは判断するでしょう。更なる利上げは不要になります。
通常、政策金利の引き上げは景気が良好な場合に、経済を過熱させないために行うものです。2022年9月現在は、スタグフレーションの環境下です。
物価上昇が与える悪影響の方が大きいことから、FRBは景気を冷やしてでも、インフレ抑制を最優先課題として行っています。実際は利上げを行なって経済を冷やしたくはないのが本音でしょう。
コモディティ価格とエネルギー価格が、ここから更に上昇しない限り、米金利の一段の引き上げは考えにくいと考えています。筆者は、ドル円はショートで保有しています。
3.ドル円ショートを保有する場合の注意点2つ
今後、ドル円は上がらないと予測した場合、ドル円のショートポジションは、FX戦略の選択肢の一つになるでしょう。そこで、注意点を2つ紹介します。
3-1.スワップポイントがマイナス
まず、スワップポイントがマイナスである点です。日々スワップポイントを支払う必要があることに、注意してください。FRBが利上げを行なっている間は、スワップポイントも高くなります。スワップポイントの支払い負担が大きくなると、知っておきましょう。
3-2.米国の利上げ見通しの高まり
また、米国の利上げ見通しが現在織り込まれている水準よりも、更に利上げ方向に動き始めた場合には、ポジションを再検討してみましょう。
利上げ見通しの変化をチェックするツールには、Fed Watchがあります。FOMC毎に、金利先物市場から導目標が変更される可能性を計算し、数値化しています。
インターネットで検索すると、直ぐに見つけられます。気になる方は、今後の利上げ織り込みをチェックしてみてください。
4.LINE FXの使い方
LINE FXでは、相場の変動情報や経済指標を、リアルタイムにLINEで受け取れる機能があります。
多くのFX会社では、相場の情報はメールやプッシュ通知で配信されています。LINE FXを利用すれば、LINEで受け取れるため、慣れているツールを使えます。既にFX口座を持っている方にとっても、メリットがあります。
LINEFX proを利用すれば、パソコンからもトレードができます。スワップポイントも高水準です。ドル円のスプレッドは0.2銭※であり、競争力があります。
※2023年10月30日現在。スプレッドは原則固定(例外あり)。
5.まとめ
ここではドル円が上昇する中、今後の見通しについて、プロトレーダーである筆者が解説し、最後にLINE FXについてのポイントをまとめました。
ドル円の更なる上昇には、米国の利上げ見通しが一段と高まる必要があります。今後出て来る材料に、注目してみてください。
中島 翔
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