重要指標の発表でドルはどうなる?主要国のCPI・GDP・雇用統計も解説

2022年10月現在、英国の財政・金融政策の行方とFRBの金融政策の行方が相場の中心材料となっていました。

英国ではトラス政権がクワーデング財務相を解任し減税案を縮小し、GBPのボラティリティーは落ち着きました。

一方米国では、粘り強く高止まりするCPIが発表され、ミシガン大消費者信頼感指数では期待インフレが上昇するなど、どちらもUSD買いトレンドを加速させる動きとなりました。しかし、市場ではある程度USDロングは出来ているのか、値幅は限定的となりました。

今後は米国以外の国の重要指標の発表が控えています。USD以外の他通貨主導で相場が動く可能性があります。そこで今回は、米国以外の国の重要指標について詳しく解説していきます。

※本記事は10月17日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. ニュージーランドCPI
    1-1.前回2QのニュージーランドCPI
    1-2.今回3QのニュージーランドCPI予想
    1-3.発表後の反応予想
  2. 中国GDP
    2-1.前回2Qの中国GDP
    2-2.今回3Qの中国GDP予想
    2-3.発表後の反応予想
  3. 英CPI
    3-1.前回8月英CPI
    3-2.今回9月の英CPI予想
    3-3.発表後の反応予想
  4. カナダCPI
    4-1.前回8月のカナダCPI
    4-2.今回9月のカナダCPI予想
    4-3.発表後の反応予想
  5. オーストラリア雇用統計
    5-1.前回8月のオーストラリア雇用統計
    5-2.今回9月のオーストラリア雇用統計予想
    5-3.発表後の反応予想

1.ニュージーランドCPI

1-1.前回2QのニュージーランドCPI

第2QのCPIは、前年比+7.3%と32年ぶりの高水準となりました。住宅関連コストの上昇が要因です。

1-2.今回3QのニュージーランドCPI予想

引き締めの影響で住宅関連コストは、徐々に落ち着きつつあるため、前期比+6.5%と多少減速する予想となっています。

1-3.発表後の反応予想

10月のRBNZ金融政策決定会合は、6会合連続となる0.5%の利上げを実施し3.5%になりました。声明文には0.5%と0.75%で議論されたと書かれており、市場予想よりタカ派な姿勢であったことが分かりました。

今回のCPIが予想を上回った場合、RBNZのタカ派姿勢を追認することになります。NZD買いの反応の方が大きいと思います。

ただ米国との金利差は少なく、直近ハト派利上げを決定したオーストラリアと米国との金利差と比較し、AUD/NZDの下落の反応に繋がると予想します。

2.中国GDP

2-1.前回2Qの中国GDP

第2QのGDPは前年同期比+0.4%となりました。第1Q(前年同期比+4.8%)を大幅に下回っています。

ゼロコロナ政策によるロックダウンが産業活動や個人消費へ悪影響を及ぼしました。9四半期ぶりのマイナス成長です。

小売りなど一部底を打ったように見える項目もあるものの、不動産市場の減速が続いています。ゼロコロナ政策による行動規制のダメージも加わり、金融セクターや家計にストレスがかかった状態となっています。

2-2.今回3Qの中国GDP予想

前期比+3.4%に回復する予想となっています。引き続きゼロコロナ政策は続いています。しかし成長率目標である年率5.5%を達成するため、また低迷する不動産市場を救済するため、金融・財政両面から手を打っており、緩やかながらも回復は見られています。

中国は、諸外国と比べて物価が落ち着いていて、適切な財政政策が打てることが強みとなっています。

2-3.発表後の反応予想

GDPなどの数字以上に、10/16以降発表となる、新主席及び役員の顔ぶれと、経済対策の方針に注目が集まります。

3月の全国人民代表大会(全人代)では、積極的な財政政策を打ち出すものの、パフォーマンスを向上させるため、持続可能なものにするとの基本方針が決定されました。慎重に流動性の供給は続けながらも、極端な財政出動は控えられています。

住宅市場救済策として、利下げを実施しても小幅なものに留めました。住宅バブル再膨張を避けつつ景気を下支えする意向が見て取れます。

今後、経済対策の行方に注目です。経済対策を強化しても、ゼロコロナ政策を止めない限り、回復スピードは緩やかなものとなるでしょう。USD買いのトレンドを変える材料にはならないと思われます。ただし、一時的にUSDロングの調整を引き起こす材料にはなるでしょう。

3.英CPI

3-1.前回8月英CPI

8月のCPIは前年比+9.9%に上昇しました。ガソリンが値下がりしたため、伸び率は11カ月ぶりに若干低下しました。

トラス政権の光熱費抑制策が施行されれば、総合指数は下がる可能性は高いでしょう。エネルギー価格以外は食料品含め全般的に上昇しているため、BOEの引き締めは続きそうです。

3-2.今回9月の英CPI予想

総合CPIが前年比+10.0%、コアCPIが前年比+6.4%と8月から伸びが加速する予想となっています。

3-3.発表後の反応予想

GBPは、これまでと反応が真逆となっています。仮にCPIが強かった場合、BOEは引き締めを強化せざるを得ないため、通常であれば英金利上昇と共にGBP買いとなるはずです。

しかし、トラス政権の巨額の財政出動案が残っているうちは債券市場の需給バランスが崩れていることが嫌気されるでしょう。英資産売りの反応を示す可能性があります。

一方予想を下回れば、BOEの利上げペースが緩やかになるでしょう。英債券市場の需給バランスが持続可能になる期待感が生まれるため、GBP買いで反応すると思います。

4.カナダCPI

4-1.前回8月のカナダCPI

前年比+7.0%に上昇しました。前月の+7.6%から伸び率は鈍化しました。前月比でも▲0.3%となっています。

BOCが物価指標として注目しているCPIコア総合・CPIコア中央値・CPIコアトリムの3つの指標の前年比平均は+5.2%と7月の+5.4%から低下しました。

減速の主因は、他国同様にガソリン価格です。しかし、食料品価格は上昇しています。ただ、旅行向け宿泊費が鈍化、住居費も伸びが鈍化など、着実にBOCの引き締めの効果が出てきている可能性があります。

4-2.今回9月のカナダCPI予想

エネルギー価格の下落により、総合CPIは前回から更に伸びが鈍化し、前年比で+6.8%予想となっています。BOCが注目している3つのコア指数の平均値の予想は、前年比+5.2%と横ばいとなっています。

4-3.発表後の反応予想

BOCは前回9月に1%のサプライズ利上げを実施しました。マクレムBOC総裁は、前回のCPI発表後もインフレ圧力は緩和の兆候が見られないとして、更なる利下げが正当化されるとの認識を示しています。

予想を上回った場合は、10/26に控えている次回BOC金融政策決定会合にて、予想の0.5%を上回る0.75%の利上げを織り込みに行く可能性が高いでしょう。CAD買いで反応すると予想します。

ただ、米国も既に強いCPIを受けて11月は0.75%の利上げ予想となっています。両国の金利差は変わらないため、反応は限定的となるでしょう。CADの場合は金利差よりは、相場全体のリスクオンオフの雰囲気の方により反応しやすいでしょう。

5.オーストラリア雇用統計

5-1.前回8月のオーストラリア雇用統計

失業率が3.4%から3.5%に10か月ぶりに悪化しました。就業者数は前月比+3.35万人でした。

月間労働時間も前月比+0.8%となりました。7月が学校の休みや洪水の影響で下がり過ぎていたため、8月に多くの労働者が戻ってきた反動が出たとの指摘もあります。実際、労働参加率は66.4%から66.6%に上がっています。

5-2.今回9月のオーストラリア雇用統計予想

労働参加率66.6%・失業率3.5%は8月から横ばい、就業者数は+2.5万人となる予想です。引き続き堅調な労働市場の維持が期待されています。

5-3.発表後の反応予想

10月のRBA金融政策決定会合では、0.50%利上げ予想が大半のところ0.25%の利上げに留まるというハト派サプライズとなりました。今回声明文から、RBAとしては個人の消費動向が読みにくいため、一旦利上げのペースを落として様子見をしたいとの印象を受けました。

オーストラリアは、インフレに対して賃金上昇率の伸びが緩やかです。直近の利上げが住宅市場に与える影響を精査したいのでしょう。

従って、仮に今回の数字が予想通り堅調なもので今後の賃金上昇が予測できるようであれば、再び0.5%の利上げ幅に戻すことも十分に考えられます。直近下がり過ぎたAUDの買い戻しに繋がると思います。

ただ米国との金利差を考えた場合、米国ほどの利上げスピードにはなりそうもないため値幅は限定的になりそうです。一方、RBAの利上げが中止となる可能性は低いものの、弱かった際には、米国との金利差が拡大し、緩やかにUSD買いAUD売りが進行すると予想します。

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HEDGE GUIDE 編集部 FXチーム

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