ドル円は転換点?今後のトレードのポイントや注目通貨ペアも【2022年11月】

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2022年11月現在、アメリカの政策スタンスに変更の可能性が出てきています。

今回はプロトレーダーである筆者が、ドル高相場が終わった後の相場展開を考えていく上で、押さえておきたいポイントを解説します。また、2022年11月現在のドル円相場についても解説します。参考にしてみてください。

※本記事は11月7日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 2022年10月、ドル円は乱高下
  2. 今後のFX市場の動向と注目通貨ペアは?
    2-1.ドル円は天井をつけて下落?
    2-2.注目通貨ペアを2つ紹介
  3. 今後は株式相場の下落に注目
  4. まとめ

1.2022年10月、ドル円は乱高下

2022年10月に、ドル円は一時151円を突破して152円手前まで上昇しました。しかし日本政府の介入により、一気に145円台まで下落しました。その後は再度149円台まで反発し、再度の介入により145円台まで下落するなど乱高下が続いています。

直近では149円台から下落してきているものの、日本政府の介入はありませんでした。円買い要因ではなく、ドル売り要因による下落です。(興味のある方はドル円は前回の為替介入水準を突破をご覧ください。)

ドル売り要因が発生した背景の一つとして、ウォール・ストリートジャーナルが、FRBは12月に利上げ幅を0.5%程度に抑える議論をする可能性があると報道したことが挙げられます。タカ派スタンスへの変更を示唆するサプライズとなりました。

【参照】ブルームバーグ「FRB利上げ幅の織り込み、短期金融市場で強まる-一部報道受け

マーケットは11月の0.75%利上げ、12月の0.75%利上げを織り込んでいたものの、一気にタカ派スタンスを警戒し始めました。ドル買いのポジションを保有していた投資家による、ポジションの一部解約や清算の動きが出たため、ドル売りが進みました。

ドル円はドル売りから145円台まで下落したものの、その後押し目買いが入り、147円台まで上昇しました。

2.今後のFX市場の動向と注目通貨ペアは?

2-1.ドル円は天井をつけて下落?

今後のFX戦略として、ドル円の天井を152円と予想し、ドル円のショートポジションを積んでいきたいと考える方もいるでしょう。プロトレーダーである筆者から、ポジションを取る前に知っておきたい注意点をお伝えします。

アメリカは金融政策のスタンスを変更し、ドルは下落圧力が掛かる可能性があります。しかし下落圧力が「新規の売りフロー」なのか「ドルロングの決済のフロー」なのかを考える必要があります。

相場は保有しているポジションを決済する際に、大きく動く場合があります。ドルロングのポジションを保有しているFX投資家は多く、短期的には決済が集中するタイミングで、相場が大きく動くでしょう。

ドル円は145円まで下落したタイミングで、既に多くの投資家が決済したという見方もあります。FX会社が公表している投資家動向をチェックすると、ドル円のロングポジションは多く、またIMM先物ポジションでも円ショートがまだ積み上がっています。今後、多くのFX投資家がドル円のロングポジションを解消する余地は、まだ残されています。

米国の利上げが止まりかけているとの予想は多く出ているものの、利下げを行うとは限りません。日本とアメリカの金利差が縮小するまでには、まだ時間が掛かるでしょう。

ドル円は、一旦ドルロングの解消のフローが出た後、高止まりする可能性があります。ドル円の上昇余地は小さくなったものの、ドル円は高止まりする可能性を想定する必要があります。相場のトレンドは、波打ちながら変化するので、焦りは禁物です。

プロトレーダーである筆者としては、日銀の金融政策の変更の可能性が出た場合が、ドル円をショートで攻めるタイミングと見ています。円安の根本的な原因である、日本の緩和政策の継続が崩れるため、クロス円は円高方向で推移する可能性があります。

2-2.注目通貨ペアを2つ紹介

アメリカの利上げペースが早かったことや他国が追随できなかったことが、米ドル一強体制という動きに繋がりました。米国の利上げペースが低下すると仮定すると、AUD/USDやEUR/USD等これまで対ドルで下落していた通貨ペアに注目するのも、選択肢の一つです。

ユーロは現在の水準では、過度に安く、長続きしないと考えられる水準となっています。

また豪ドルは資源国通貨であり、インフレ環境下ではコモディティ価格の上昇の恩恵を受けやすい特徴があります。資源を保有していない国と比較し、強い地合いになる可能性があります。

今後世界景気が後退した場合、オーストラリアは他国の影響を受けて連れ安となる可能性はあります。しかし、相対的に下落幅は小さくなるでしょう。

豪ドルのリスクシナリオは、中国が習近平の一強体制を発端とした、経済の混乱です。習近平は側近で要人を固めており、反対意見が出にくい状況です。

中国はオーストラリア最大の貿易国です。中国経済が落ち込むと、オーストラリアの貿易量も低下します。豪ドルに投資する場合は、中国の株価も合わせてチェックしましょう。

3.今後は株式相場の下落に注目

これからの相場を考える上で、株式相場の下落に注目してみてください。来年後半から、アメリカの利下げ開始が予想されています。過去のデータを見ると、利下げ局面で株式市場は下落しています。米ドルは短期的には上昇するものの、他国と比較して米ドルが強くなるかは見極める必要性があるでしょう。

FRBの政策スタンスには、引き続き注目が集まりそうです。

4.まとめ

ここではドル高円安相場が転換する可能性と、予想される今後のシナリオや注目通貨ペアを解説しました。

FX取引に興味を持った方は、初めてのFX、取引会社を選ぶポイントとおすすめのFX会社は?を参考にしてみてください。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12