ナンピン戦略とは、平均単価を引き下げるために、価格が下落時に買い増す、価格上昇時にショートポジションを増加させる戦略です。
FX初心者が利用しやすい戦略である一方で、コントロールが難しい戦略でもあります。今回はナンピンについての戦略と誤解、そして使い方について解説していきます。
※本記事は8月15日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- ナンピン戦略とは
- ナンピン戦略で利用できる「レンジ相場」
- ナンピン戦略の注意点
3-1.初心者はナンピン戦略を使うべきではない?
3-2.ナンピン戦略はリスクを増加させる - プロトレーダーのナンピントレード
- まとめ
1.ナンピン戦略とは
ナンピン戦略とはFXだけではなくトレードを行う場合に利用する戦略です。平均単価を引き下げるために、価格下落時に買い増す、価格上昇時にショートポジションを増加させる戦略です。
例えばドル円を120円で1lot購入し、その後115円で1lot購入、110円で1lot購入すると合計ポジションは3lotで平均購入単価は115円になります。損益分岐点が引き下がるため、心理的な負担が低下するメリットがあります。ナンピン戦略は自動売買でも多く利用されています。
初心者にとって理解しやすい一方で、メンタルコントロールが難しい戦略でもあります。最終的に損切りや、ロスカットに追い込まれることが多い手法です。
2.ナンピン戦略で利用できる「レンジ相場」
ナンピン戦略は「レンジ相場」で有効です。レンジ相場とはある一定の範囲内で相場が上下に変動する相場展開のことです。レンジ相場の場合はある一定のところまで下落すると反転して上昇します。一方で、ある程度上昇すると反転下落するという動きになりやすい相場です。
レンジの下限あたりからロングポジションを取り始め、下落する過程でロングポジションを積み上げていき、レンジの上限あたりで利益確定を行いつつ、ショートポジションを積み上げていくことで上下どちらに変動しても利益が出るようになります。
レンジ相場が終了するのか継続するのか見極めるのは難しいものです。レンジ相場が終了しても対応できるよう、リスク管理を行いましょう。
3.ナンピン戦略の注意点
3-1.初心者はナンピン戦略を使うべきではない?
平均購入単価を引き下げるためにナンピンを利用してトレードしましょう、と言ったアドバイスが散見されますが、プロトレーダーの筆者としては、FX初心者にとって注意点の多いアドバイスだと思います。
FX初心者にとって計画的にリスク管理をしながらナンピンを行うと言うことは難しいものです。まずは相場の方向性をしっかりと把握してエントリーと損切のタイミングを見極めるところから始めましょう。
3-2.ナンピン戦略はリスクを増加させる
ナンピン戦略は平均購入単価が引き下がるためリスクが低下する、と誤解している方も多いのではないでしょうか。
ポジションを増加させることから、リスクは増えていきます。ナンピンを行った後は、行う前よりも大きい金額が変動します。
ナンピン戦略はリスクが大きくなることを知っておきましょう。
4.プロトレーダーのナンピントレード
プロトレーダーである筆者の、実際のナンピントレードをドル円のチャートで説明します。
以下が筆者が実際に保有しているポジションです。
※図はTradingViewより筆者作成
2022年8月現在、ドル高円安トレンドからが継続しています。一方で7月のFOMCでリセッション懸念から米ドルが反転する可能性もあります。
筆者は、日米金利差が拡大し、円安基調は継続する。しかしドル円は120円-125円あたりの位置まで調整すると予想し、トレードしています。
相場の反転を予想しているものの、円安が止まるタイミングまでは分かりません。そこで、ナンピン戦略を利用します。
ナンピン戦略では、まず損益分岐点を考えます。筆者は138円台後半を最終的な損益分岐点として設定しました。140円を超えたら損切するとルールを定め、エントリーしました。
全資産を利用して計算した場合の損失は140円から損益分岐点の138円台後半です。1円超が想定した損失シナリオということです。
結果として、1回目のエントリーで全ての資金を利用してエントリーした場合よりも多くの利益がでました。エントリーを分けて行うことにより、実際の想定損失を一定にしながら、利益が期待できると言えます。
5.まとめ
ここではナンピン戦略の誤解や活用事例を解説しました。
ナンピンを無計画に行えば、リスクが高まります。エントリーポイントを見極めることで心理的な負担を軽減させ、想定損失を一定に抑えたトレードが行えます。自分に合ったトレード方法を見つけてください。
中島 翔
最新記事 by 中島 翔 (全て見る)
- 脱炭素に向けた補助金制度ー東京都・大阪府・千葉県の事例 - 2024年10月22日
- 韓国のカーボンニュートラル政策を解説 2050年に向けた取り組みとは? - 2024年10月7日
- NCCXの特徴と利用方法|ジャスミーが手掛けるカーボンクレジット取引所とは? - 2024年10月4日
- Xpansiv(エクスパンシブ)とは?世界最大の環境価値取引所の特徴と最新動向 - 2024年9月27日
- VCMIが発表したScope 3 Flexibility Claimとは?柔軟なカーボンクレジット活用法を解説 - 2024年9月27日