FRBの0.75%上げは確定?FXで利益を出すための注目ポイントを解説

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2022年9月現在、世界中の中銀は多少の経済への痛みを伴ってでも利上げを継続しています。政策決定会合で利上げを決定しても、市場の反応は限定的です。

むしろ、前段階として経済指標の方へ注目が移っています。経済指標を通じて、利上げのペースが減速する国を確認し、売り通貨にしようとする動きが見えます。

予定されていたBOE会合は1週間延期されたため、今回は、米CPIとミシガン大消費者信頼感指数と、豪雇用統計について解説します。

※本記事は9月13日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. BOE政策決定会合
  2. 米CPIと米ミシガン大消費者信頼感指数
    2-1.前回7月米CPIと8月米ミシガン大消費者信頼感指数
    2-2.今回8月米CPIと9月米ミシガン大消費者信頼感指数の予想
    2-3.発表後の反応予想
  3. 豪雇用統計
    3-1.前回7月豪雇用統計
    3-2.次回8月豪雇用統計
    3-3.発表後の反応予想

1.BOE政策決定会合

9/15に予定されていた会合はエリザベス女王の死去を受けて喪に服すため、9/22に1週間延期されました。

2.米CPIと米ミシガン大消費者信頼感指数

2-1.前回7月米CPIと8月米ミシガン大消費者信頼感指数

7月CPIは前年比+8.5%となりました。約40年ぶりの伸びとなった6月の+9.1%からピークアウトする兆しが見えました。ガソリンなどエネルギー価格の急低下が主因です。

また、エネルギーと食品を除くコア指数は+5.9%と前月から横ばいとなりました。事前予想では、総合指数は+8.7%、コア指数は堅調な雇用市場により需要が底堅いことから+6.1%に加速すると見られていました。いずれも予想を下回りました。

しかし、全体としては高水準が維持されており、前月比で見るとまだ横ばいです。金融引き締めの効果が出ていると判断することは難しい状況です。前年との比較で低下した様に見えるものの、前月から物価水準は変わっていないということは、国民の感覚からしても物価が落ち着いた様には感じられないでしょう。

8月のミシガン大消費者信頼感指数(以後ミシガン)の確報値は58.2でした。速報値の55.1から更に上方修正されました。7月の51.5から2カ月連続の上昇となります。

期待インフレは、パウエルFRB議長よりCPIとミシガンのインフレ期待の数値に注目しているとの発言があったことから注目度が高まっています。1年先の期待インフレは5.2%から4.8%に低下、5年先の期待インフレも2.9%と横ばいとなりました。ガソリン価格が低下する中、期待インフレが落ち着き、米消費者のセンチメントの悪化に一服感が出ているようです。

参考:ブルームバーグ「FRB、総合価格指数に一段の重点か-インフレ退治の金融政策決定で

2-2.今回8月米CPIと9月米ミシガン大消費者信頼感指数の予想

総合CPIは前年比で+8.1%まで低下する一方で、コアCPIは+6.1%と前月から上昇する予想になっています。

ただ、7月にピークアウトの兆しが見えて以降、総合CPIに与える影響が大きいエネルギー価格が下がり続けています。予想を下回る可能性の方が高いでしょう。

実際、米エネルギー情報局調査によると、8月のガソリン価格は今年2月以来の低水準となる1ガロン当たり4.087ドルと、7月の4.668ドルから12.4%の下落となっています。直近発表されたベージュブックでも物価の伸びについて鈍化の兆候が見られると指摘されています。

一方でコアCPIは、求人が豊富にあり、雇用者数の伸びが続いています。総賃金指数(雇用者数×平均時給×週平均労働時間)の上昇率は、総合CPIをも上回っており、まだ下がり始めるには時期尚早でしょう。

ミシガンは、59.2と前月から更に上昇する予想となっています。1年先の期待インフレはエネルギー価格の低下を受けて下落、5年先の期待インフレも、市場の10年期待インフレが2.5%近辺を上限にほぼ動きがなくなってきています。2.5%に向けて収束してくるのではないかと予想します。

2-3.発表後の反応予想

パウエル議長が先月のジャクソンホール会議にて、約40年ぶりの水準となっている物価高を抑制するために、やり遂げたと確認するまでは多少景気に痛みが伴っても利上げを続けるという姿勢を表明しました。市場は9月FOMCの0.75%利上げはほぼ織り込んでいます。

参考:ブルームバーグ「パウエル議長、高金利維持する可能性高いと示唆-転換期待裏切る

9月13日現在、ブラックアウト期間に突入し要人発言はなくなっています。ウォールストリートジャーナルでは、9月会合は0.75%の利上げとなる観測記事が出ています。CPIやミシガンの数字に関係なく、9月のFOMCで0.75%の利上げ実施は揺るがない可能性があります。

参考:ウォールストリートジャーナル「FRB、0.75ポイント再利上げへ インフレ封じ必死

ただ、数字次第では3か月ごとに発表されるFOMCメンバーによる金利予想(以後DOTS)の最終到達金利に影響してくることが考えられます。市場にも波及するでしょう。

ミシガンの期待インフレは、仮に下がったとしても1年も5年もFRBのターゲットの2%からは程遠く、重要視されないかもしれません。市場とFRBが確認したいのは、利上げの効果です。最低でもCPIの前月比の数字がマイナスにならなければ、FRBが引き締めの効果を実感できないでしょう。

今回市場の予想通り、総合CPIが前月比マイナスで、コアCPIは前月比プラスであれば、まだ引き締る必要があります。最終到達金利は3.75%から4.0%以上に引きあがるでしょう。

既に、市場は来年4%に到達後2023年中は据え置かれることが織り込まれた状態です。コアCPIの前月比がプラスにならない限り、USD買いは限定的でしょう。

一方、直近の雇用統計では、女性や若年層の参入により労働参加率が大きく改善しています。この動きが継続するのであれば、総雇用者数が増加し賃金の伸びは鈍化してくることになります。いずれインフレの落ち着きに繋がっていく可能性があります。

市場にはインフレが落ち着く期待感が出てきています。今回もし総合CPIとコアCPIの両方共前月比マイナスとなれば、最終到達金利が据え置かれる可能性が出てきます。大きなUSDロングの調整が入りそうです。

3.豪雇用統計

3-1.前回7月豪雇用統計

7月の雇用統計は、雇用者数が▲4.09万人と予想外のマイナスに転じました。労働参加率も減少し、一見雇用市場が崩れているように見えます。一方で労働参加率の66%台は歴史的に見ると高水準であり、失業率の3.4%は1978年に月次統計を開始して以来の最低記録を更新しています。

失業者数は49万3,900人ではあるものの、最新の5月の求人は480,100人です。失業者数よりも求人が多い状況となっており、豪雇用市場は悪化しているわけではなさそうです。

3-2.次回8月豪雇用統計

7月に雇用者数がマイナスとなった反動で、今回の予想は+3.50万人となっています。労働参加率が66.5%と前回から僅かに改善し、失業率は3.4%と横ばいの予想です。堅調な雇用統計が予想されています。

3-3.発表後の反応予想

ロウ総裁は、金融政策の効果にはタイムラグがあり、他の条件が全て同じなら、政策金利の水準が上昇するにつれて、利上げペースを緩める根拠が強まると、大幅利上げ終了の可能性を示唆しました。労働参加率の上昇を伴わないまま失業率の悪化や、2カ月連続で雇用者数が減少するようなら、RBAが利上げペースを落とす思惑が強まるでしょう。織り込まれ過ぎた利上げ予想の剥落と共にAUDは売られそうです。

ただ、米CPIの発表が火曜日にあります。仮にCPIが落ち着いた数字となった場合、ドル売りの地合いが醸成される可能性があります。予想通り堅調な雇用市場が示されれば、相場全体の雰囲気として行き過ぎたリスクオフの巻き戻しが強まり、短期的に0.7000を超えるAUD買いとなるでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 FXチーム

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