豪CPIで豪ドルはどうなる?カナダ・欧州の政策決定会合と米GDPも解説

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2022年10月現在の相場は、米経済指標を受けたFRBの金融政策動向を材料としたUSDの値動きが中心となっています。10月24日からの週は米国の経済指標以外の重要な材料も出てきます。

そこで今回は、豪CPI、BOC・ECB金融政策決定会合、米GDP速報値について詳しく解説していきます。

※本記事は10月24日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 豪CPI
    1-1.前回2Qの豪CPI
    1-2.3Q豪CPIの予想
    1-3.発表後の反応予想
  2. BOC政策決定会合
    2-1.前回9月BOC政策決定会合
    2-2.直近の経済状況
    2-3.10月BOC政策決定会合の予想
    2-4.発表後の反応予想
  3. ECB政策決定会合
    3-1.前回9月ECB政策決定会合
    3-2.直近の経済状況
    3-3.10月ECB政策決定会合の予想
    3-4.発表後の反応予想
  4. 米GDP(速報値)
    4-1.前回2Q米GDP
    4-2.3Q米GDPの予想
    4-3.発表後の反応予想

1.豪CPI

1-1.前回2Qの豪CPI

前回2Qの豪CPIは、前年比+6.1%となりました。21年ぶりの高い上昇幅となりました。RBAが注目しているトリム平均値も前年比+4.9%に上昇しました。

牽引した2大項目はエネルギーと住宅で、続いて食料品となりました。内訳は概ね他国と同じであるものの、他国と比べると比較的穏やかな上昇にとどまっています。

1-2.3Q豪CPIの予想

第2Qから更に加速し前年比+7.0%の予想となっています。7月が+7.0%、8月が+6.8%でした。

8月は7月からガソリン価格の下落により減速しています。9月にかけても多少減速が見られるようだと、第3Qは予想の7%を下回る可能性があります。

1-3.発表後の反応予想

10月のRBA金融政策決定会合では、0.50%利上げとなる予想が大半のところ、0.25%の利上げに留まり、ハト派サプライズとなりました。AUDは売られています。

RBAは年末のインフレ率を7.75%と予想していました。今回の数字が予想通りか多少下回るのであれば、RBAの予想以上に引き締めの効果が出ているということになり、AUDは売られるでしょう。

しかしRBAのインフレターゲットを大幅に上回っている状況で、利上げが休止となる可能性は限りなく低いため、AUDの売りは限定的になると予想します。一方予想を大幅に上回れば、年末の7.75%を実現するために、再び利上げペースを加速させるとの思惑が高まり、AUDの買戻しが強まると考えます。

直近でニュージーランドのCPIが上振れたので、可能性として考えておく必要はあります。

2.BOC政策決定会合

2-1.前回9月BOC政策決定会合

予想通り0.75%の利上げを決定しました。中立金利の2~3%を上回る水準の3.25%まで政策金利を引き上げました。

経済が需要超過の状態であり、労働市場も堅調です。先行きについても追加利上げの方針を示しました。

2-2.直近の経済状況

9月雇用統計は+2.11万人と予想を上回る増加を示しました。失業率も8月の5.4%から5.2%と予想よりも低下しました。

BOCは追加利上げのスタンスを維持しているため、そのスタンスを追認する内容となりました。その後、マクレム総裁の講演でも、経済にはまだ明白に過剰需要が存在しているため追加利上げの可能性があると言及していました。

ビジネスアウトルックサーベイが発表されました。景気後退の可能性を30%以下と予想している楽観的な企業は21%に限られるなど、今後12カ月の景気後退の見込みが広がっています。短期的なインフレ期待はBOCよりも高めに見ている企業が多く、賃金上昇率は高水準から軟化し、需要の伸びが緩やかになると見ているようです。

【参照】カナダ中央銀行「事業見通し調査:2022年第3四半期

9月のCPIは、前年比+6.9%と市場予想を若干上回りました。BOCが注目している3つのコアCPIは、コア総合が6.0%・コア中央値が+4.7%・コアトリムが+5.2%となりました。いずれも前月と変わらず高水準を維持しました。

6月のCPIは+8.1%をピークとし、緩やかに伸び率は低下しています。しかし基調インフレの低下を示す明確な証拠は得られていません。

2-3.10月BOC政策決定会合の予想

7月の会合ではインフレがピークを付ける中でサプライズとなる1%の利上げを実施しました。その後若干落ち着きを見せる中、前回9月は0.75%の利上げに留まっています。

今回もインフレの伸びはやや減速しています。3.25%から3.75%へ、0.5%引き上げられると予想されています。

2-4.発表後の反応予想

予想通り0.5%の利上げとなれば、CADの値動きは限定的になると予想します。0.75%のポジティブサプライズの可能性はあるものの、米国との利上げスピードには差はありません。USD以外の通貨に対しては、CAD買いは選択肢の一つとなるでしょう。

3.ECB政策決定会合

3-1.前回9月ECB政策決定会合

予想通り全会一致で0.75%の利上げを決定しました。今回の利上げは正常化の前倒しと位置づけ、今後数回の追加利上げを想定していると予告しました。バランスシートの縮小については短期的には行わないことを示しました。

9月のスタッフ見通しは、インフレ見通しは2022年が+8.1%、2023年が+5.5%、2024年が+2.3%に大幅上方修正、成長率は2022年が+3.1%に上方修正されました。2023年と2024年はそれぞれ+0.9%・+1.9%に下方修正されました。しかし、成長率は下方修正されたとはいえ、BOEとは違い、プラスを維持しています。

9月のECB会合議事要旨が発表となりました。当初一部当局者から0.5%の利上げを主張する意見が出ていたものの、最終的に075%に合意しています。また最近のEUR安がインフレ圧力の高まりに繋がったとの認識を示しました。

3-2.直近の経済状況

ドイツ連銀ナーゲル総裁が、ECBのバランスシートは2023年に縮小するという見通しを示しました。ナーゲル氏はタカ派です。直近の英国債券市場の動きを見る限り、バランスシートを縮小しながらエネルギーなど経済支援を続けるのは無理があると考えたのでしょう。

【参照】ブルームバーグ「ECBのバランスシート縮小、来年開始も-ナーゲル独連銀総裁

レーンチーフエコノミストが今後複数回にわたり利上げが必要で、クリスマスまでに中立金利に達する可能性があるとの認識を示しました。

【参照】ロイター「ECB10月に大幅利上げ必要、年内に中立金利達成も=フィンランド中銀総裁

ECBは中立金利を明らかにしていないものの、現時点だと2.0-2.25と予想されています。

9月のユーロ圏消費者物価指数(HICP)の速報値が発表になりました。総合指数は前年比で10.0%と2桁に乗せ、ユーロ発足以来の高水準に上昇しています。

天然ガスのパイプラインであるノルドストリームが、ガス漏れなど深刻な損傷を受けたとして供給がストップしました。更にガスプロムがイタリア向けガスの供給を停止するなど、再び欧州のガス価格が上昇しています。

ドイツはエネルギー高騰から企業や個人を守るために、2000億EURの追加の財政支援策を発表しました。

3-3.10月ECB政策決定会合の予想

0.75%の利上げが実施され、預金金利は1.5%になると予想されています。今回の会合から議論がスタートするバランスシート縮小(QT)の開始時期は、レーンチーフエコノミストの予想通り、2023年の前半まで待たなければならないと予想します。

3-4.発表後の反応予想

ECBのメンバー内では出来るだけ早く中立金利まで引き上げたいと、意見は一致しています。肝心の中立金利の水準がバラバラであるため、利上げのスピードや政策金利の最終到達点が予測しにくい状況となっています。

またQT開始は、各国でエネルギー価格を補助するために財政出動をせざるを得ない中では先延ばしになることは仕方ないでしょう。むしろ、先延ばしにしないと、英国債券市場のように混乱が起きてしまう可能性が高まります。角度は異なるものの、2兆ユーロの利用実績があるTLTROの一部を早期償還であれば、可能性はあるでしょう。

4.米GDP(速報値)

4-1.前回2Q米GDP

第2QのGDP速報値は前期比▲0.6%と2期連続でマイナスとなりました。利上げによる住宅ローン金利の上昇から住宅投資が大幅に減少や、コロナ関連支出が収まったことで政府支出が減少したことが主因です。一方で貿易赤字の縮小はプラス要因となりました。

4-2.3Q米GDPの予想

前期比+2.3%と2四半期連続マイナス成長からの脱却が見込まれています。引き締めの影響から、個人消費や住宅投資は厳しくなりそうです。

しかし前期ほどの下落幅にはならず、むしろ前回プラス要因となった貿易収支に関しては赤字が更に縮小している可能性が高いでしょう。全体としてはプラスの予想となっています。

4-3.発表後の反応予想

ウォールストリートジャーナル(WSJ)のFRBウォッチャーのニック氏が11月FOMCでの0.75%の利上げの後、12月以降は利上げ幅を縮めていくことをいかに織り込ませるか議論する見通しとの記事を発表しました。強かったCPIとミシガン大消費者信頼感指数以降織り込まれていた12月の0.75%利上げ織り込みが50%強まで低下しています。

【参照】ロイター「FRB利上げ幅の織り込み、短期金融市場で強まる-一部報道受け

この流れで予想を下回ると、12月の0.75%利上げがゼロになるくらいまで一気に織り込みが剥落し、USDロングの調整が一段と進行すると思います。逆に予想を上回ったとしてもWSJの記事の思惑が強く残っているため、0.75%利上げの織り込みはさほど進まず、USD買いは限定的になると予想します。

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HEDGE GUIDE 編集部 FXチーム

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