昨日ユーロ圏のHICP速報値が発表され、対前年比で予想+9.0%に対して、結果+9.1%となり、ユーロ圏のインフレが収まる気配がないことが確認される数字となった。また、コアCPIに関しても前年比+4.3%となっており、前月の+4.1%から更に加速する数字となっている。
HICPを受けてユーロは上昇し、ECB総裁のホルツマン氏は「インフレに甘い顔を見せてはいけない」とコメントしており、次回のECB政策会合(9月8日)で公に0.75%の利上げを支持する姿勢を示した。
ドイツ連銀のナーゲル総裁も次回のECB政策会合で強い利上げを支持しており、その後の政策会合でも断続的な利上げを支持していることから、ECBの政策スタンスが足元大きくタカ派に傾いてきている様子。
ジャクソンホールでは各国中央銀行総裁等が話し合いを行い、インフレに対しては徹底した姿勢で対応するということで合意しており、ジャクソンホールあたりからECBの高官のスタンスが変化していると筆者は考えている。
米国では2年債金利が年初来の最高値を更新し、3.49%付近まで上昇している中米ドル高で推移していたものの、ユーロドルは1.00台半ばまで回復している。
足元はユーロの強さが目立っている動きから、9月8日まではユーロのショートカバーが入りやすいと考えているため、ユーロドルは一旦短期的に1.01台を目指す動きとなり、ユーロ円も140円台を定着させてECB政策会合に突入するのではないかと予想している。
ユーロドルに関しての注意点は米ドルの強さによって左右されるという点であり、米ドルも強い地合いは変わっていないことから、トレードを行うならユーロドルではなくユーロ円の方が取引しやすいだろう。
ターゲットとしてはフィボナッチで見た140円台後半が視野に入ってきている。本日も欧州時間に欧州圏の各国でPMIが発表されるため、ここの数字で強い数字が出れば更にユーロは短期的に上を目指すことになるだろう。
【参照記事】Bloomberg「ECBホルツマン氏、インフレとの闘いで「甘い顔」見せてはならない」
中島 翔
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