ジャクソンホール会議を受けて米ドルはどうなる?FXで利益を出すための注目ポイントを解説

ジャクソンホール会議にて、パウエル議長は景気に痛みを伴ったとしても、インフレが収まるまで利上げを継続する決意を表明しました。スピードや最終到達点は指標次第とのことです。一方で、景気の痛みは既に指標に表れています。

参考:ブルームバーグ「パウエル議長、高金利維持する可能性高いと示唆-転換期待裏切る

今回は、景気の痛みの程度を確認できる米消費者信頼感指数と、次回9月FOMCの利上げ幅を予想する上で鍵を握る指標の一つである、米雇用統計について詳しく解説していきます。

※本記事は8月29日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 8月米カンファレンスボード消費者信頼感指数
    1-1.米カンファレンスボード消費者信頼感指数の概要
    1-2.前回7月米カンファレンスボード消費者信頼感指数
    1-3.直近8月のミシガン大消費者信頼感指数
    1-4.今回8月米カンファレンスボード消費者信頼感指数の予想
    1-5.指標発表後の反応予想
  2. 8月米雇用統計
    2-1.前回7月米雇用統計
    2-2.FRBの景気認識
    2-3.今回8月米雇用統計の予想
    2-4.指標発表後の反応予想

1.米カンファレンスボード消費者信頼感指数

1-1.米カンファレンスボード消費者信頼感指数の概要

米カンファレンスボード消費者信頼感指数とは、消費者の観点から米国経済の健全性を図る指標です。個人消費の先行指標です。消費者心理を反映していると言われています。

カンファレンス・ボードとは、米国の民間調査会社です。毎月5000世帯を対象にアンケートを実施しています。アンケートは毎月行われ、現在の景気・雇用情勢や6ヵ月後の景気・雇用情勢・家計所得の見通しについて調査しています。1985年を100として指数化しています。

米国の消費者マインドを探ることのできる代表的指標として本指数以外にミシガン大消費者信頼感指数が挙げられます。サンプル数が異なり、ミシガンが速報値300なのに対して、カンファレンスボードは5000です。またミシガンはサンプル数が少ない分発表の時期が早いため、カンファレンスボードよりも先行指標として注目されます。

1-2.前回7月米カンファレンスボード消費者信頼感指数

95.7と前月から2.7ポイント低下しました。低下は3カ月連続でインフレと金利上昇への懸念が根強い中、第3Qの経済成長にも暗雲が漂っています。

現況指数は141.3と6月の147.2から低下、期待指数も65.8から65.3に低下しました。雇用が「十分にある」との回答比率は50%強と、過去1年で最低となり、職を得るのが困難との回答も増えました。

インフレに対する懸念、特にガソリンと食品の価格上昇は、引き続き消費者の重荷になっている様子で、このような状況はまだ当面続く可能性が高そうです。

1-3.直近8月のミシガン大消費者信頼感指数

参考として、直近のミシガン大学消費者信頼感指数を確認しておきます。58.2と速報値の55.1から上方修正され、7月の51.5から改善しました。

1年先の期待インフレ率は4.8%とガソリン価格の低下を反映し前月の5.2%から低下しました。8カ月ぶりの低水準となりました。5年先の期待インフレ率は2.9%と横ばいとなっています。 

期待指数の全ての構成要素が改善し、特にインフレの影響を大きく受ける低・中所得者層で改善しています。長期的なインフレに対する不確実性はやや後退しているものの、インフレが生活水準を低下させると嘆く消費者の割合は50%以下にとどまっています。カンファレンスボードから先行して底入れの兆しが見えてきています。

1-4.今回8月米カンファレンスボード消費者信頼感指数の予想

ミシガン大の数字は回復していることから、8月の予想も前回から若干回復し97.7となっています。しかし、その他の景況感系の経済指標は崩れているため予想のレンジは97.7を中心に上下2分されています。どちらにもブレる可能性があります。

1-5.指標発表後の反応予想

パウエル議長がジャクソンホール会議にて米経済のソフトランディング(軟着陸)は困難との認識を示しました。インフレ抑制のための利上げが景気減速を招くことは、織り込まれつつあります。

参考:ブルームバーグ「パウエル議長、高金利維持する可能性高いと示唆-転換期待裏切る

強い結果となれば、FRBとしては躊躇なく利上げが出来るということで米金利の上昇に伴いUSD買いとなるでしょう。ただ、週末に雇用統計を控えていることから、一方的なトレンドにはならないと予想します。

反対に弱い結果となった時に反応は難しくなりそうです。パウエル議長を中心としたタカ派発言があるにもかかわらず、金利市場では2023年後半の利下げをまだ織り込んだ状態です。数字が弱かった場合、市場の見方が優勢となり、為替市場で進行しているUSDロングに対して、雇用統計前に大きめの調整が入るかもしれません。

2.米雇用統計

2-1.前回7月米雇用統計

前回7月分は市場予想の前月比+25.0万人をはるかに超える+52.8万人と強い結果となりました。失業率もコロナ前の水準である3.5%に低下しました。

時間当たり賃金は、前年比+5.2%と徐々に伸びが鈍化したものの、総賃金指数(雇用者数×週平均労働時間×時間当たり給与)は前年比+9.7%と、インフレの上昇率を上回りました。GDPが第1Q、第2Qと2期連続でのマイナス成長となり、テクニカルリセッション入りしたことで警戒感が広がっていたものの、米国の個人消費の底堅さを物語っています。

中身を見ていくと、ヘルスケアは7万人増でした。レジャー&ホスピタリティ部門は+9.6万人増、うち大半が飲食部門です。コロナ禍で一時大きく雇用を減らしたものの、順調な回復を見せています。

2-2.FRBの景気認識

週間ベースの新規失業保険申請件数は雇用統計の基準日の12日を含み調査機関が重なる週の比較をすると、7月が26.1万件、8月は25万件と、8月の方が好結果となっています。

ジャクソンホール会議でパウエル議長は成長鈍化などの痛みを伴ったとしてもインフレが抑制されるまで当面金融引き締めが必要という見解を示しました。市場が期待していた米経済は強いというような発言はなく、リセッションについての言及もなく、雇用市場の需給バランスが崩れ始めたという認識を示し、利上げにより雇用市場が崩れていくことがインフレを抑える鍵になると見ているようです。言い換えれば、緩やかに雇用市場が減退していくことをFRBは望んでいるということです。

参考:ブルームバーグ「パウエル議長、高金利維持する可能性高いと示唆-転換期待裏切る

2-3.今回8月米雇用統計予想

非農業部門雇用者数は前月比+29.0万人となっています。予想通りの伸びにとどまると、昨年4月分の+26.3万人以来、約1年4カ月ぶりの低い伸びとなります。

ただ、パンデミック直前の2020年2月の雇用者数が1億5250万人なのに対して、前回7月が1億5254万人と、既にパンデミック前の雇用者数を超えています。今後はコロナ禍で雇用が減った分の穴埋めというステージから脱却し、純増の世界に入ってきます。パンデミック前の状況で29万人増はかなり強い数字です。

失業率もパンデミック直前の水準に並んだ前回と同水準の3.5%が見込まれています。6月のFOMCで示されたFOMC参加メンバーによる経済見通しで、今年年末時点での失業率見通しは3.7%となっています。今後の景気鈍化が見込まれる中で、失業率も悪化していく可能性が意識されているものの、今のところ好水準を維持する見通しです。

2-4.発表後の反応予想

FRBにとって最重要経済指標はCPIであり、雇用統計は良くても悪くてもFRBの方針にはあまり影響を及ぼさない可能性があります。

ただ、どちらかというと雇用の堅調な数字の方が大幅利上げに対してのハードルは下がることになるため、USD買いは強まるでしょう。9月5日は米国祝日であることに、注意してください。雇用統計が余程強くない限りは、週末のUSDロングの調整が入りやすい日柄と言えるでしょう。

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HEDGE GUIDE 編集部 FXチーム

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