RBAがハト派なら豪ドルは売られる?FXで利益を出すための注目ポイントを解説

世界各国の中銀が高インフレ抑制のため引き締め姿勢を明らかにしています。一方で、急激な金融引き締めにより、景気後退に繋がる可能性が高まっています。利上げにあたり、各国の中央銀行は、経済事情を勘案する必要が出てきています。

今回は、オーストラリア、カナダ、欧州の金融政策決定会合について、詳しく解説していきます。

※本記事は9月6日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. RBA政策決定会合
    1-1.前回8月のRBA政策決定会合
    1-2.直近の経済状況
    1-3.今回9月のRBA政策決定会合の予想
    1-4.指標発表後の反応予想
  2. BOC政策決定会合
    2-1.前回7月BOC政策決定会合
    2-2.直近の経済状況
    2-3.今回9月BOC政策決定会合の予想
    2-4.指標発表後の反応予想
  3. ECB政策決定会合
    3-1.前回7月ECB政策決定会合
    3-2.直近の経済状況
    3-3.今回9月ECB政策決定会合の予想
    3-4.指標発表後の反応予想

1.RBA政策決定会合

1-1.前回8月のRBA政策決定会合

8月のRBA金融政策決定会合は予想通り0.5%金利を引き上げ1.875%となりました。しかし、声明文については、今後さらなる引き締めを示唆しつつ、データと物価・雇用の見通し次第と表明しています。あらかじめ設定された軌道上にあるわけではないという文言が付け加えられました。

フォワードガイダンスではなく、データ次第で柔軟に対応していくことになります。場合によっては、今後の利上げ幅縮小の可能性が意識される形となりました。

インフレは2022年末に7.75%、2023年4%強、2024年が約3%と、今年後半にピークに達した後再び低下するという見通しです。政策金利は現行の1.85%から12月までに3%に上昇し、2024年末までにやや低下すると想定しているとのことでした。

1-2.直近の経済状況

第2QのCPIが発表され、前年比+6.1%、RBAが注目しているトリム平均値は前年比+4.9%に上昇しました。牽引したのは、エネルギーと食料品であり、他国と同じです。相対的に穏やかな上昇にとどまっています。

第2Qの賃金指数が発表されました。前年比+2.6%と予想の+2.7%を下回る結果となりました。第1Q対比では+0.7%と賃金の堅調な伸びは継続しています。2022年7月1日から最低賃金が引き上げられたため、今後の伸びが期待されます。

7月の雇用統計は、雇用者数が▲4.09万人と予想外のマイナスに転じました。一方で、労働参加率は減少したとはいえ、それでも66%台は歴史的高水準となりました。

失業率が3.4%と1978年に月次統計を開始して以来の最低記録を更新しました。失業者数の474,000人に対し、最新の5月の求人は480,100人となりました。失業者数よりも求人が多いことから、労働市場は悪化しているわけではなさそうです。

1-3.今回9月のRBA政策決定会合の予想

ほぼ0.5%利上げが織り込まれています。前回8月会合では声明文の中に利上げに関して「あらかじめ決まった道筋はない」という一文が加わったことが材料視され、豪ドルは売られました。今回も声明文に注目が集まっています。

1-4.発表後の反応予想

世界の中銀の引き締めによる景気減速が織り込まれる形で、資源価格は上値が重くなってきています。一方でオーストラリアの債券市場では、米国FRBと同程度の引き締めが既に織り込まれているだけでなく、長期金利は米国より高くなっています。

最近のUSD買いトレンドの中でもAUDは比較的持ちこたえています。今回もし声明文がハト的になるようでしたら、豪金利の低下と共にAUDの売りが強まりそうです。

2.BOC政策決定会合

2-1.前回7月BOC政策決定会合

BOCは0.75%の利上げ予想に対してサプライズとなる1.00%の利上げを実施し、政策金利を2.5%に引き上げました。カナダの場合は、供給障害というよりは、過剰需要による国内価格圧力が顕著になっており、BOCは引き締めを急いだと思われます。

労働力不足による賃金上昇圧力により消費が堅調で、2022年のインフレは8%近辺で推移することが予想されるため、追加利上げが必要としています。内需がインフレのメインドライバーになっているという認識を示し、政策金利を早期に上限まで引き上げる方針を表明しました。BOCは成長見通しを2022年:3.5%、2023年:1.75%、2024年:2.5%と予想しています。

2-2.直近の経済状況

7月カナダ雇用統計は強弱まちまちの結果でした。雇用者数は▲3.06万人と予想外の減少となりました。一方で、失業率は4.9%と前回の水準を維持しつつ、市場予想5.0%を下回りました。

7月CPIは前年比+7.6%と急上昇しました。BOCが重視しているコア指数は、+5.5%と過去最大の伸びとなっています。

第2QのGDPは前期比+3.3%と堅調だったものの、予想の+4.4%からは大幅に下回りました。成長はほぼ期序盤の加速を反映したもので、急速に減速する住宅市場が原因で、6月月次GDPは僅か+0.1%増となっています。このペースでは、第3Qの成長率はBOCの見通しの+2%に到達する可能性は低いでしょう。

米国がマイナス成長であることを勘案すると比較的堅調だとの見方もできます。一方で、金利を大幅に引き上げる必要性は徐々に薄らいでいます。

2-3.今回9月BOC政策決定会合の予想

0.75%の利上げ予想となっています。BOCの目標は何よりもインフレ抑制です。直近の物価水準を勘案すると、当面は物価上昇圧力で景気が減速していても利上げを急ぐ方針だと思われます。

2-4.発表後の反応予想

米国同様ヘッドラインのCPIはエネルギーと食料品価格の下落により落ち着くと思われます。声明文から、インフレと成長見通しを確認し今後の方針を見極める必要がありそうです。カナダは比較的経済指標が堅調であったことから、ハト的な姿勢が見られると、もう一段のCAD売りに繋がりそうです。

3.ECB政策決定会合

3-1.前回7月ECB政策決定会合

予想通り主要政策金利を0%から0.5%に、預金金利も▲0.5%から0%に引き上げることを決定し、マイナス金利から脱却しました。利上げは11年ぶりとなり、0.5%幅の利上げとなると22年ぶりとなります。

また、併せて欧州の分断化対策としてTPI(Transmission Protection Instrument)を発表しました。TPIはドイツとその他周辺国の金利差が拡大し過ぎないように導入されたツールで、全てのユーロ圏の残存期間1年から10年の公的債及び社債も購入対象で買入額は無制限となっています。

しかし、買い入れ対象となる国は、EUの財政フレームワークの順守や健全なマクロ政策などの条件がつけられました。これらの条件を満たせる国はそもそも、債券の売りの対象にならない可能性があり、スキームが本当に発動かには、疑問が残ります。

フォワードガイダンスでは、次回以降はデータ次第で決定と米国同様後追い状態であることを認めました。指標次第では0.25%の利上げの可能性もできるように自由度を高めた形となっています。

ラガルド総裁は、政策金利の最終到達点は変わっていないという認識を示していました。

参考:ブルームバーグ「ECBが0.5ポイント利上げ、引き締め急ぐ-分断化阻止ツール発表

議事録では、リセッションリスクが高まったもののインフレ定着に対する懸念を強めたことが示唆されました。一部のメンバーは0.25%の利上げを支持しました。多くのメンバーが高騰する物価への対応を重視し0.5%の利上げが適切だとの見方を示しました。

3-2.直近の経済状況

基調インフレの殆どの主要項目は上昇を続けています。9月ECB理事会でのスタッフ見通しでは、インフレ見通しは大きく上方修正されると思われます。賃金上昇率も高止まりしています。

7月のユーロ圏景況感指数は99と前月の103.5から低下しました。消費者や企業はエネルギー不足を懸念しており、加えてECBの利上げによって景気後退に陥るとの不安が強まっています。

欧州圏8月のPMIは更に不況領域に入り込み総合指数は49.9から49.2に低下しました。生活費増加の懸念に伴いサービス業の活動が停滞している模様です。

8月のユーロ圏HCPIは前年比+9.1%と予想の9.0%を上回り、過去最高水準を更新しました。エネルギー価格上昇はやや一服したものの、食料品価格の高騰が全体を引き上げました。公共交通機関の格安料金など政府の支援策が押し下げる状況ですが、電力市場への介入など含めて、政府支援策に注目です。

ECBメンバーの、クノット・オランダ中銀総裁など一部のメンバーから、9月の次回の政策委員会で最大0.75%の利上げ決定を支持するような発言がありました。

参考:ブルームバーグ「ECB9月政策委、最大75bpの利上げ決定を支持-オランダ中銀総裁

またジャクソンホール会議では、シュナーベル専務理事がラガルド総裁の代役で講演しました。成長率の低下や失業率の上昇のリスクを伴ってでもインフレに対しては力強く対応すると述べました。

参考:ロイター「世界の中銀は景気後退恐れず強力なインフレ対応を=ECB専務理事

しかし、レーンチーフエコノミストは、通常より大きな利上げには慎重姿勢を示しています。

参考:ブルームバーグ「ECBレーン理事、大幅利上げの議論けん制-タカ派の主張押し戻す

3-3.今回9月ECB政策決定会合の予想

利上げ幅については0.5%と0.75%が半々です。ただ仮に0.5%の利上げになったとしても、バランスシート縮小(QT)など利上げ以外の引き締め策が出てくる可能性があります。

実際、数名のメンバーが年内にQTの議論を開始したいと考えているようです。その他、TLTROの早期償還やAPPの再投資に関する文言の修正も材料に上がってきています。

※TLTRO…長期資金供給オペレーション。超低金利で期間4年の資金を、過去1年間に融資を増やした銀行に対して貸し出す。2014年9月から実施。

また、前回7月時点ではラガルド総裁は、金利の最終到達点は変わっていないという認識を示していました。考えに変化があるのかにも注目です。

参考:ブルームバーグ「ECBが0.5ポイント利上げ、引き締め急ぐ-分断化阻止ツール発表

3-4.発表後の反応予想

ECBの使命は、物価の抑制です。直近高騰するCPIの数字からすると、恐らく0.75%で決まるでしょう。ただ、会一致で決まる可能性は低く、市場予想も割れています。どちらかというと0.75%利上げが優勢であるため、0.5%の利上げに留まった場合の反応の方が大きいでしょう。

また0.75%の利上げとなった場合は、中期インフレのスタッフ予想がどの程度変化しているかに注目です。仮にGDP見通しがプラスを維持しつつ、2024年のインフレが+2.1%から上方修正された場合、ECBの更なる利上げ幅を残すメッセージとも捉えられます。EURの買いが強まりそうです。

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