2020年7月から、REITの新しい指標として「日経ESG-REIT指数」と「日経高利回りREIT指数」が登場しました。国内外の多くの投資家が注目するESGへの取り組み要素を反映した時価総額型のインデックスと、利回りの高い銘柄を選んで算出したものです。
ここでは、日経ESG-REIT指数と日経高利回りREIT指数の特徴や代表的構成銘柄、投資できるネット証券について解説します。
目次
- 日経ESG-REIT指数と日経高利回りREIT指数とは
1-1.日経ESG-REIT指数とは
1-2.日経高利回りREIT指数とは - 日経ESG-REIT指数の代表的な対象ファンド
- 日経ESG-REITへ投資できるネット証券
- 日経高利回りREIT指数の代表的な対象ファンド
- 日経高利回りREIT銘柄へ投資できるネット証券
- まとめ
1.日経ESG-REIT指数と日経高利回りREIT指数とは
日経ESG-REIT指数と日経高利回りREIT指数は、日本経済新聞社が2020年7月20日から算出・公表を始めた新指数のことです。どちらも新しい投資戦略の参考指数として期待されています。
ここでは、日経ESG-REIT指数と日経高利回りREIT指数の内容について確認していきましょう。
1-1.日経ESG-REIT指数とは
日経ESG-REIT指数とは、東京証券取引所に上場するREITを対象として時価総額にESG評価をかけ合わせて算出した新指数のことです。この指数の算出ポイントや特徴は以下4点です。
- 算出対象は東証REITから流動性の低いものを除外
- ESG評価を行うGRESBのスコアを利用
- 算出は時価総額型
- 時価総額が大きいほどESGの評価も高い傾向
日経ESG-REIT指数は、東証上場のREITを対象としていますが、上場後2ヶ月未満や整理銘柄に指定されているREITは対象とはなりません。また、毎年11月末に定期見直しが実施され、基準日時点で時価総額200億円以上で直近1年の1日平均売買代金が5,000万円以上の銘柄は、新たに対象になります。
近年、ESGに配慮した取り組みに力を入れる投資家が増えているため、ESG評価を行うオランダの評価機関GRESBのスコアを利用し、新たにこの指数が生まれています。ESGとは、以下の3要素のことです。
- E:環境
- S:社会
- G:ガバナンス
GRESBは、これらの要素を80近い項目の採点データをもとに5段階評価したもので、新指数では5段階評価を算出に役立て、時価総額×ESG係数ウェート方式で計算しています。2016年11月末が起点(1,000ポイント)です。算出は時価総額型で、時価総額が大きいほどESGの評価も高い傾向があります。
このように、東証に上場するREITを対象として、GRESBのESG評価をもとにしたESG係数を適用した時価総額×ESG 係数ウエート方式の指数が、日経ESG-REIT指数です。投資家にも注目されているESGの概念を取り入れることで、現在のトレンドに合った投資戦略に役立つ新指数として期待されています。
1-2.日経高利回りREIT指数とは
日経高利回りREIT指数は、東証に上場するREIT63銘柄から、利回りの高い35銘柄を選出して計算をします。算出方法は時価総額×利回りで、日経ESG-REIT指数と同じく時価総額型です。2014年5月末を起点(1,000ポイント)としており、年1回5月末に定期見直しが行われます。
2020年11月時点においては東証REIT指数よりもパフォーマンスが良い傾向があり、日経ESG-REIT指数同様、新たな投資戦略に役立つ新指数として注目されています。
2.日経ESG-REIT指数の代表的な対象ファンド
日経ESG-REIT指数を構成するのは時価総額や流動性が高い銘柄です。代表的な構成銘柄(銘柄名・社名)は、次の通りです。
- サンケイRE(2972):サンケイリアルエステート投資法人
- 森ヒルズR(3234):森ヒルズリート投資法人
- 産業ファンド(3249):産業ファンド投資法人
- ケネディレジ(3278):ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人
- 星野Rリート(3287):星野リゾート・リート投資法人
- 積水ハウスR(3309):積水ハウス・リート投資法人
- 野村マスター(3462):野村不動産マスターファンド投資法人
- 三井不ロジ(3471):三井不動産ロジスティクスパーク投資法人
- 伊藤忠アドL(3493):伊藤忠アドバンス・ロジスティクス投資法人
- ハウスリート(8984):大和ハウスリート投資法人
- 大和証券リビ(8986):大和証券リビング投資法人
他にも、多くのファンドが日経ESG-REIT指数の構成銘柄に指定されています。
3.日経ESG-REITへ投資できるネット証券
国内大手資産運用会社の日興アセットマネジメントが運用するETF(上場投資信託)、上場インデックスファンド日経ESGリート(2566)は全国の証券会社を通じて投資が可能です。信託報酬は0.15%で決算は年4回、純資産は約53億円です(2020年10月26日時点)。
日経ESG-REITは登場してまだ間もないため、今後、新たな金融商品も生まれてくると考えられます。
4.日経高利回りREIT指数の代表的な対象ファンド
日経高利回りREIT指数は、東証に上場する利回りの高い35銘柄の時価総額×利回りで算出しています。毎年5月末に構成銘柄の定期見直しが実施され、流動性の低い銘柄は除外され、上場2ヶ月未満や整理銘柄に指定されている銘柄は対象外になります。
日経高利回りREIT指数を構成する代表的ファンドは、次の通りです。
- ケネディレジ(3278):ケネディクス・レジデンシャル・ネクスト投資法人
- イオンリート(3292):イオンリート投資法人
- 日本リート(3296):日本リート投資法人
- 森ヒルズR(3234):森ヒルズリート投資法人
- ハウスリート(8984):大和ハウスリート投資法人
- 積水ハウスR(3309):積水ハウス・リート投資法人
- 大和証券リビ(8986):大和証券リビング投資法人
- オリックスF(8954):オリックス不動産投資法人
- 星野Rリート(3287):星野リゾート・リート投資法人
- ミッドシティ(3227):MCUBS MidCity投資法人
- 東急RE(8957):東急リアル・エステート投資法人
多くの構成銘柄は、日経ESG-REIT指数の構成銘柄と同じです。
5.日経高利回りREIT指数銘柄へ投資できるネット証券
日経高利回りREITの動きに連動させることを目指すファンドとして、ダイワ高利回りJ-REITオープン(毎月分配型)があります。純資産額は約3,101億円で、決算頻度は年12回、運営は大和アセットマネジメントが行っています。
こちらは2020年11月12日現在、三菱UFJ信託銀行で取引が可能となっています。ネット証券での取り扱いはありませんが、今後は利用できるようになる可能性も考えられます。
まとめ
ここでは、日経ESG-REIT指数と日経高利回りREIT指数の特徴や代表的構成銘柄、投資できる金融機関について紹介しました。
日経ESG-REIT指数と日経高利回りREIT指数は、どちらも現在のトレンドに合った投資戦略に役立つ新指数として期待されています。これから、さらに多くのネット証券等でもこれらの指数に投資ができるようになるでしょう。
他のREIT関連指数同様、日経ESG-REIT指数と日経高利回りREIT指数についても注視し、投資の参考にしてみてください。
HEDGE GUIDE 編集部 投資信託チーム
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