2022年は円安ドル高となり、利益を出したFX投資家は多いのではないでしょうか。
2022年もあと1ヶ月弱となりました。2023年に向けて、FXだけでなく、投資戦略全般を見直す時期です。
そこで今回はプロトレーダーである筆者が、FXと他の商品の関係性に触れながら、2023年のポートフォリオをどのように考えていくべきなのかを解説していきます。
※本記事は11月21日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 現状の市場環境
- 年末から来年にかけての市場動向
2-1.ドル円の上値は重くなる可能性も
2-2.米国株は長期的には上昇する見込み
2-3.米ドルが下落すれば、ゴールドが上昇する可能性も - 今年から来年にかけての資産運用方法
- まとめ
1.2022年の市場環境
2022年11月現在、市場では1年間で積み上げられたポジションの巻き戻しが起きています。多くの投資家がポジションを解消するタイミングを図っています。
アメリカの利上げペースが鈍化する兆しが見えてきたため、ドルロングの巻き戻しが発生しています。米ドルは、ここ数週間は対主要通貨に対して下落する動きとなっています。ドル円も11月のCPIショックと呼ばれる急落から、上値が重い地合いが続いています。
ポイントは、アメリカのFRBによるインフレを抑えるための急速な利上げスタンスが鈍化した点です。ハト派に転じたわけではないため、注意しましょう。
これまで継続していた、0.75%ずつの強気の利上げ姿勢が緩和される可能性があるだけです。今後も、利上げを継続する可能性はあります。
FRBの方針転換は、米ドルや株価に影響します。
まず短期的なスパンでは、これまでの強気なタカ派姿勢が後退したことで、ドル安・株高の動きになります。既にここ数週間の市場の動向は一致しています。予想しやすい動きではあるものの、現状ではこの流れが一巡しています。
※図はTradingViewより筆者作成
上記は年初からのドル円とS&P500指数のチャートです。10月から反転していると分かります。
2022年は年初から保有していたポジションの巻き戻しが入りました。11月は、相場が急落しています。夏場にエントリーした、コストの悪いポジションが投げ売りされたと考えられるでしょう。
2.2022年末から2023年にかけての市場動向
2-1.ドル円の上値は重くなる可能性も
アメリカのインフレ動向が落ち着きを見せています。そのため、米ドルは強い地合いにはなりにくく、ドル円の上値は重くなるでしょう。
筆者は、ドル円は150円を再度超えないと考えています。ドル円は、戻り売りをする戦略です。
日銀は、10年国債の金利を0.25%に抑え込む介入を行っています。10年国債の保有量は、日銀が100%保有しています。
国債市場の機能不全とも言える状況です。緩和政策の継続のためではあるものの、0.25%の上限金利の引き上げなど、何かしらの政策変更を行う可能性があります。
日銀の政策が変更された場合、政策金利の引き上げ観測に繋がります。現在積み上がっている円ショートの巻き戻しが発生し、円高方向に振れる可能性があります。
2023年3月に黒田総裁が退任します。新しい日銀総裁が誕生するため、人事面でも変更の可能性があります。
2-2.米国株は長期的には上昇する見込み
米国株は、売りポジションで攻めていた投資家による、ショートカバーから巻き戻しのフローが一気に入っています。上昇する地合いです。
長期的には、米国株は底をつけたと判断していいでしょう。しかしインフレがまだ高水準で推移している中で、株価がこのまま一本調子に上昇するという可能性は低いでしょう。
アメリカ国民は株式の保有比率が高く、株価が上昇すると資産価値が増加します。消費を促す方向に圧力が掛かり、インフレ鈍化に繋がりません。
FRBのシナリオでは、一旦はインフレを鈍化させた後に、株価を回復させると考えられます。2022年11月時点では、調整のフローが一旦入っていると筆者は見ています。
足元の株式市場の急騰を受け、FRB高官からはタカ派的な発言が相次いでいます。株式市場に安心感を与えないコメントを出している点がポイントです。
参考:ブルームバーグ「【米国市況】株反落、小売売上高とFRB高官発言で-ドル139円台」
相場には、「中央銀行には逆らうな」と言う格言があります。あくまでインフレのピークが過ぎただけであり、完全に退治できてはいません。株価は年末に掛けて、調整する可能性があるでしょう。
24日にはアメリカで感謝祭もあり、この日を境に投資家は休暇を取得し始めます。上昇は、12月24日あたりまでではないかと考えています。
2-3.米ドルが下落すれば、ゴールドが上昇する可能性も
次にゴールドについて解説します。ゴールドはドルインデックスと逆相関です。
※図はTradingViewより筆者作成
上記はゴールドとドルインデックスのチャートです。綺麗に逆相関の関係になっていると分かります。
2023年後半には利下げが金利の先物市場では織り込まれています。2022年から2023年に掛けては、ドルが下落する可能性が高いと考えられます。
米ドルが下落する局面ではゴールドが強い地合いが続く可能性があります。2023年は、ポートフォリオにゴールドも選択肢の一つでしょう。
2023年半ばになってもアメリカのインフレ率が低下しない場合は、利下げ織り込みは先送りになります。ゴールドは、インフレ動向を確認しながら、徐々に増やしていきましょう。
3.2022年から2023年に掛けての資産運用方法
2022年から2023年に掛けての投資アイディアを紹介します。
2022年11月時点では、多くの機関投資家は、米国株のポートフォリオでの割合を大きく落としています。再び現金が株式市場に流れてくる地合いは、強いと想定されます。
一方でドルロングを保有している投資家も多くいます。資金の流れとしては、2023年は、ポートフォリオの割合をドルロングから米国株に移していく戦略も、選択肢の一つでしょう。
米国債金利も大きく上昇してきています。金利リスクから考えると、債券は投資家にとって買いやすい水準になっています。ポートフォリオの米ドルロングの一部を、債券に移していく戦略も考えられます。
ゴールドは、1年を通じてゆっくりとポートフォリオでの割合を増やせば、大きくはありませんが利回りが期待できます。
2022年の年末までの短期的なスパンで見ると、米ドルのロングを解消して米国株ショートに振り向ける選択肢もあります。ただし、短期目線での取引となります。リスク管理を忘れずに行いましょう。
長期的な資産運用としては、米国株の下落を待ち、押し目買いを狙ってもいいでしょう。
4.まとめ
本記事では、2022年の年末から2023年に掛けての投資戦略を、プロトレーダーである筆者が解説しました。
市況を見ながらトレードを行うと、様々な指数に投資をする機会がありますが、IG証券では今回紹介した米株やゴールドにも投資できます。既にFX口座を持っている方にとっても、メリットがあります。
興味を持った方は、IG証券ノックアウトオプションの活用方法は?も参考にしてみてください。
中島 翔
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