FOMCと雇用統計でドル円はどうなる?2月の相場動向も解説【2023年】

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2023年2月現在、アメリカのFOMCと雇用統計の結果を受け、市場は大きく動いています。特に雇用統計では、予想を大きく上回る強い数字が出ました。雇用統計の結果は、今後の利上げ見通しにも影響を与えています。

この記事では、為替の値動きの背景や今後の動向を、プロトレーダーである筆者が解説します。

※本記事は2023年2月11日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. FOMCと雇用統計の結果
    1-1.次回FOMCはインフレ動向を左右する数字を要チェック
    1-2.雇用統計は予想を大きく上回る
  2. 2月の相場動向のポイント
  3. まとめ

1.FOMCと雇用統計の結果

1-1.次回FOMCはインフレ動向を左右する数字を要チェック

2月のFOMCでは、利上げ幅を0.50%から0.25%まで縮小しました。市場の予想通りの結果となりました。

パウエル議長は会見で、FRBはインフレの鈍化を明確に認識していると示し、市場の注目が集まりました。「ディスインフレ」という言葉を何度も繰り返し、利上げ回数を後2回と考えていると示したことも、サプライズとなりました。

参考:ブルームバーグ「FOMC、0.25ポイントに利上げ減速-さらなる引き上げが適切に

市場では1月からの米国株の大幅上昇を、インフレ鈍化を妨げる動きと捉えていました。パウエル議長はタカ派的な発言を行うと予想しており、株式市場では下落方向での予想が強くなっていました。

しかしパウエル議長は発言で、現在の考えを素直に伝えるに留まり、特段タカ派的な発言はありませんでした。マーケットでは短期的なショートカバーが発生し、株式市場は上昇しています。

次回3月のFOMCでの利上げは、データ次第との発言がありました。0.25%の利上げは想定されるものの、0.25%以上の利上げも予想され始めています。CPI等インフレ動向を左右する数字は注意してチェックしておきましょう。

マーケットではFOMCはハト派的な発言だったという解説もあります。しかしプロトレーダーの筆者としては、そこまでハト派というわけではなく、前回とほぼ変わらない内容を話したと考えています。マーケットの動きは、ポジションの整理だと理解できるでしょう。

1-2.雇用統計は予想を大きく上回る

雇用統計は、市場を大きく驚かせる数字が発表されました。市場の雰囲気が一気に変わりました。

非農業部門雇用者数が+51.7万人となり、予想の+19.0万人から大幅に乖離する数字となりました。失業率も3.4%で予想の3.6%よりも低下しました。平均時給も対前年比で4.4%と予想の4.3%から上昇する動きとなりました。

総じてかなり強い数字となり、インフレが沈静化のトレンドが継続すると信じていた、従来の市場予想を覆す内容となりました。

平均時給は対前年比で見ると、トレンドとしては低下しています。労働参加率は上昇し、雇用者数の増加に寄与した割合としてパートタイマーの増加が大きかったことがポイントです。

この点はインフレ鈍化の予想を支える数字となります。強い内容だけでなく、上記のような細かな点も把握しておくと違った見え方ができるでしょう。

強い雇用統計の数字は通常、アメリカ経済にプラスです。株式市場が上昇し金利も上昇で反応するはずです。しかし現在は、インフレが経済の鈍化を進めています。景気後退懸念が薄らいでいる場合、強い雇用統計の数字はマイナス材料となります。

金曜日以降、株式市場の上値も重くなっており、市場が予想するFRBの利上げ見通しにも変化が表れました。

元々市場では、利上げは4.75%までに留まると予想されていました。しかし現在は、5.00%までの利上げがメインシナリオとなっています。

また為替市場でも1月の株高、ドル安の動きが偏っていたこともあり、一旦米ドルが反発する地合いが続いています。短期的に続いていたトレンドが明確に反転する可能性があるため、市場は14日発表のCPIの重要性が高まっています。

2.2月の相場動向のポイント

2月の為替相場は、雇用統計まで続いていたドル安が一旦止まった状況です。2023年2月現在、ドルショートが積まれている状況であり、再度ドルショートで攻めるには材料が必要です。

ユーロ圏では、ECBやイギリスのBOEの金融政策のスタンスがこれまでのタカ派から若干変化が出てき始めています。ユーロドルは昨年の安値から1,500pips程度上昇してきています。ユーロロングが先物市場でも積み上がっており、一旦利益が出ている投資家の売りは出やすい環境です。

ポンドに関しても強い地合いとなっていました。しかしイギリス経済の状況は芳しくなく、EUと比較してもさらに経済状況は悪化しています。

ECBとBOEともに3月まで利上げは行うものの、その後はデータ次第ということで利上げ停止の可能性に含みを持たせました。つまり米欧の中銀のスタンスに変化が出てきているということです。

そのため2月は米ドルが強い地合いになると考えており、一方でユーロやポンドは一旦下落しやすいでしょう。ポンドはすでに先物市場でショートに傾いており、ユーロの方が下落幅としては大きくなる可能性があるでしょう。

株式市場ではFRBの政策スタンスが一旦ハト派スタンスに変化すると思いきや、FRBがこれまでマーケットに伝えていたように年内の利下げがない方向に、市場もセンチメントが傾いてきました。

ハト派を意識して株式市場をロングにしていた投資家に黄色信号が灯ったと考えられます。ある程度利益が出ている投資家は一旦ポジションを外す可能性があります。

長期的には株式市場は上昇方向に転じると想定されます。しかし短期的には、一旦調整ムードとなるシナリオが描けるでしょう。

2023年2月14日に発表されるCPIで、雇用統計を正当化する強い数字が出てくれば、株式市場が更に下落する可能性が出てきます。14日の数字をまずは確認し、上方向よりは下方向の値幅を気にする時間帯となりそうです。

また2月には日銀総裁人事が発表される予定です。総裁人事次第では日銀の金融政策が変更される可能性が高まります。14日は重要な日となるでしょう。

ドル円が下落した場合は日経にはマイナス方向で寄与するものの、現在本命の雨宮氏が総裁となった場合は、一旦クロス円は上昇するでしょう。日本株は下落しにくい地合いとなることが想定されます。

3.まとめ

2月の相場は、1月の相場のトレンドが短期的に変化する可能性がある月になりそうです。

相場が大きく動くタイミングこそ、リスク管理が大切になります。大きな資産をまとめて一つの投資対象に投資するのではなく、複数に分けて投資を行いましょう。

プロトレーダーの筆者は商品の分散の他に、時間の分散も重要視しています。底や天井の価格を当てられる人はいません。買ってすぐに上昇する相場も有り得えません。相場についていくイメージで投資をしてみてください。

値動きが大きい相場では、投資額を減らす等工夫が必要になります。自分なりのリスク管理の方法を色々試し、負けないトレードを目指してみてください。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12