コモディティの変動要因は?通貨との関係性や取引のリスク、注意点も

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世の中にある代表的な資産は株、債券、不動産、商品(コモディティ)、通貨の5つです。この中で通貨だけは特徴が異なり、自国通貨や外国通貨を資産として保有するという目的以外に、他の4つの資産を取得する際に為替という形で関係してくることがあります。

例えば、日本人が外国にある株・債券・不動産や、米ドル建てで取引される商品(コモディティ)を購入する場合、円からその国の通貨に交換(為替)をしなければなりません。今回は、コモディティと通貨の関連性に絞って、詳しく解説していきます。

目次

  1. 為替相場の変動要因は?
  2. コモディティの変動要因は?
    2-1.コモディティとは?
    2-2.需給要因
  3. コモディティと通貨の関連性は?
    3-1.USD
    3-1.AUD・CAD・MXN・NOK
  4. まとめ

1.為替相場の変動要因は?

為替相場の変動要因として、下記が挙げられます。直接二国間で資金の移動を伴う要因もあれば、直接資金のフローが発生しなくても、雰囲気によって変動する要因もあります。つまり為替相場は美人投票の要素が強く、多くの人が動くイメージが共有できていると、結果としてそのように動くことがあります。

  • 金融政策の方向性(元になる経済指標)
  • 財政政策の方向性
  • 政治要因(国同士の利害関係上、一方的な上昇・下降とはなりにくい)
  • 紛争
  • 金利
  • M&Aフロー
  • 貿易為替のフロー
  • 商品(コモディティ)相場

今回取り上げるのは、直接資金の移動も伴いつつ、二国間とは直接関係ない理由でも為替相場に影響する、商品(コモディティ)相場の特徴です。特にコモディティの場合、紛争や株の影響も受けることから、通貨との関連性が複雑に見えることがあります。

2.コモディティの変動要因は?

2-1.コモディティとは?

コモディティは、世界中で用いられる共通の資源です。原油から作られる石油製品は先進国でも新興国でも世界中ほとんどの国で使用されます。銅やアルミニウムなどの産業用金属も、住宅・電線・道路などのインフラ、穀物・農産物はまさに我々人間が生きるために必要不可欠な食品です。

一部の農産品では形を変えてエネルギーとして用いられることもあります。このように、世界中のどこであっても人が生活していれば、大小の差はあれども、コモディティの需要が発生しているといっても過言ではありません。

つまり、コモディティ需要というのは景気の先行きを占うものでもあります。しかも、コモディティ市場は、他市場と比べると取引規模が大きくないため、変化の兆候が表れやすく、多くの市場参加者が注目しています。

2-2.需給要因

コモディティの価格変動要因は多岐に亘り、供給制約、保管コスト、需要や供給の季節性、在庫、投機的取引の存在などがあります。下記に主な例を挙げます。

実際に需給が絡むケース

  • OPECプラスが協調減産をすると原油価格が上昇する。
  • 中東で紛争が発生し、産油国の供給が滞ると原油価格が上昇する。
  • 米国のシェールオイル掘削の為のリグカウント数が増加すると、供給過剰懸念から原油価格が下落する。
  • 毎週発表される原油在庫が増加すると、需要が少ないと連想され原油価格は下落する。
  • 米中貿易交渉にて中国の大豆の大量購入が決定したことで、大豆価格が上昇する。
  • 干ばつなど天候要因により収穫量が激減すると、穀物価格は下落する。
  • 米ドルが上昇すると、米ドルで取引されている商品価格が下落する。

実際の資金の流れが来る前に投機筋の思惑で変動するケース

  • 景気が悪化すると、原油の需要が減少するのではないかという思惑が強まり、投機筋が原油や銅などを売ることで下落する。
  • リスクセンチメントが悪化すると、安全資産とされている金が買われる。
  • 中東圏以外のエリアで戦争が発生すると需要増により原油価格が上昇する。
  • 米国のドライブシーズンと言われている6月末くらいから、ガソリンの消費量が増えるという思惑が強まり、原油価格が上昇する。
  • 寒波など、例年よりも冬場の暖房需要が高まると想像されれば原油価格が上昇する。

3.コモディティと通貨の関係性は?

3-1.USD

コモディティは「物」であり、通貨の価値が下がれば相対的に上がります。コモディティの場合、世界の基軸通貨USDで取引されますので、USDベースで見る国際コモディティ価格は、コモディティ価格が上がればUSD安、コモディティ価格が下がればUSD高となる関係にあります。つまり、コモディティ価格とUSDは逆相関の傾向が強いことになります。

ここで、コモディティの中でも趣が異なる金について解説します。

金は、美しい光沢と色、そして加工のしやすさから、歴史的に世界中で高い価値を認められてきました。そして今日、金は投資家にとっても重視され、マーケットの中でもある種特別の位置にあります。

金はあらゆる他の資産から独立し、それ自体で価値を有していることから、マーケットが不確実性リスクにより混乱する時にも、安定して価値を保ち続ける傾向があり、最も安全な資産として認められています。つまり、リスクオフになると、世界の基軸通貨として認められているUSDと共に投資資金の退避先として買われる傾向にあります。

また、最近では新たに緩和時代におけるUSDと金の関連性が生まれました。FRBの金融緩和により大量に刷られたUSDの行き場として、株式・債券・コモディティ、と全ての資産を買うという動きのことです。このケースの場合、株が上昇するリスクオンにもかかわらず金も上昇するので、USDが売られながら金は上昇するパターンになります。

一方で、平常時であれば、金はUSDで価格が決定されていることから、基本的に、金とUSDは、互いに対して逆の値動きをする逆相関関係になります。

3-2.AUD・CAD・MXN・NOK

AUDと鉄鉱石価格・銅価格

オーストラリアの主要輸出品目は、鉄鉱石や石炭などの鉱物となっています。したがって、景気が良くなると、これらの需要が増えるという連想の元、AUDは買われることが多いです。

CAD・MXN・NOKと原油価格

産油国であるCAD・MXN・NOK(ノルウェークローネ)・RUB(ロシアルーブル)は原油価格と連動して動くことが多く見られます。経済が堅調で原油が上昇しているのであれば、原油だけでなく他の貴金属も上昇することから、AUDも買われる場合があります。

また、CADとMXNは、アメリカ経済と密接に絡み合っていることから、アメリカの景気が回復する兆候が見られるのであれば、原油の消費量増加が連想されて、他の産油国と比較して特別に買われることがあります。

一方で、世界景気減速により原油価格が下がるのであれば、MXNのような高金利の新興国通貨が激しく売られます。

4.まとめ

これまで、主なコモディティと通貨の関連性について解説してきましたが、基本的には、通貨との関連という意味では、そのコモディティ価格が上がる場合、輸出している国が買われ、輸入している国が売られることになります。

しかし、コモディティが通貨に影響を及ぼす前、景気の良し悪しの段階で既にコモディティは思惑で動きだし、それにつられて通貨も動いてしまいます。つまり、実際に通貨の移動(為替)は伴っていないにもかかわらず、通貨は変動します。

2020年、コロナショック後の回復相場のなかで、新たなゴルディロックス相場の展開として、金と株が上昇して、USDが売られるという新たな関連性が誕生しました。将来的には、化石燃料からクリーンエネルギーとなればまた新たな通貨との関連性が生まれるかもしれませんので、時代に合わせた柔軟な対応が必要になってきます。

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