筆者は前職で3メガ系証券会社で外国為替のスポット、フォワードトレーディング、そしてEM通貨建(トルコリラ、南アフリカランド、インドルピー、ブラジルレアル等々)クレジットトレーディングを行っており、マーケットサイドで長年携わってきました。トレーディングの視点も盛り込みながら、仮想通貨自体の特徴を踏まえて解説していきます。
目次
- ビットコインとXRPには大きな違いがある
- 仮想通貨の種類・特徴
2-1. 「決済型」仮想通貨の特徴
2-2. 「アプリケーション開発・プラットフォーム型」仮想通貨の特徴
2-3. 「送金型」仮想通貨の特徴 - ビットコインとXRPの違いは?
3-1. トランザクションの仕組みの比較
3-2. 発行上限枚数の比較
3-3. 入手方法の比較
3-4. コンセンサスアルゴリズムの比較 - まとめ
ビットコインとXRPには大きな違いがある
2017年の仮想通貨バブルによって一気に知名度が高まった仮想通貨市場ですが、通貨によって全く機能が違うことはあまり一般的にはまだ浸透していないのも事実です。日本でも仮想通貨の知名度は「名前は聞いたことある」程度で、実際にどのようなものか詳細に知っている人はあまりいません。
また仮想通貨と聞くと「バブルが起きて何十倍にもなりその後急落した危険なもの」という印象が根強いのも事実です。しかし何が危ないのかというのは自分自身の資金管理の問題であり、仮想通貨そのものに全く問題はありません。また仮想通貨と言ってもそれぞれ全く違うものであり、機能を見ると野球とサッカーくらい比べものにならないほど違います。
仮想通貨にも大きく種類に分けられるため大分類を把握してそれぞれの通貨をチェックする事がベターでしょう。
仮想通貨の種類・特徴
仮想通貨でもそれぞれ大きく特徴は異なると説明しましたが、まずはどのような種類があるのかをチェックしたいと思います。仮想通貨の種類としては大きく、「決済型」、「アプリケーション開発、プラットフォーム型」、「送金型」の3種類を覚えておくようにしましょう。
「決済型」仮想通貨の特徴
まず「決済型」は名前の通り商取引での決済として利用される通貨を目指して開発されています。ビットコインやビットコインキャッシュ、ライトコインがこの種類に当てはまります。
この決済型の場合、広く一般的に普及させる事で通貨の信頼が高まることから、利用者を増やす事が一番重要なポイントとも言えるでしょう。また決済用となると価値の貯蔵手段としての通貨本質的な特徴を備えている事も必要なのですが、現在の通貨のボラティリティの大きさからすると、まだ決済用として広く普及するには遠いとも言えるでしょう。
「アプリケーション開発・プラットフォーム型」仮想通貨の特徴
次に「アプリケーション開発、プラットフォーム型」です。この種類で代表的な仮想通貨はイーサリアムやイーサリアムクラシックあたりが挙げられるでしょう。これは何かしらブロックチェーンでのサービス展開、トークン発行、アプリケーションの開発を行いたい場合に利用するものとなります。イーサリアムという名前は実はプラットフォームの名前であり、厳密には通貨の名前ではありません。このプラットフォームで利用されるものが「イーサ」と呼ばれるものになります。
このようなアプリケーション開発型のプラットフォームのメリットはトランザクションを記録出来るだけでなく、契約条項等もブロック内に記録する事ができ、契約条項にかかるトリガーが起きると自動的に履行できるような仕組みを整える事が出来るため、現在では契約時に利用される技術として応用しようと開発が進んでいます。
「送金型」仮想通貨の特徴
最後に「送金型」で代表的なのはXRPです。XRPは国際送金を早めるために開発されたものです。現在ではSBIグループがリップル社と提携して日本で普及させようと試みており、今後の動きが注目されています。ビットコインとは異なるコンセンサスアルゴリズムを採用しており、ネットワークを運営するバリデーターがトランザクションをチェックすることで送金を早めています。
ビットコインとXRPの違いは?
では次にビットコインとXRPの両者の違いについてまとめていきたいと思います。まずは表を作成したのでご覧ください。
このようにビットコインとリップルには様々な違いがあります。
トランザクションの仕組みの比較
まず仕組みからご説明しましょう。ビットコインは非中央集権的な仕組みとなっており、トランザクションの承認作業は第三者が行うようになっています。マイニングと呼ばれるものです。そのため誰かがビットコインの供給量等を決めているのではなく、マイニングにより発生する報酬によってビットコインの発行量が増加していっています。
一方、XRPはビットコインよりも中央集権的な仕組みとなっています。リップル社がXRPレジャーと呼ばれる台帳のようなもので管理しており、バリデーターであるUNL(ユニーク・ノード・リスト)が取引の承認を行います。不特定多数の承認を必要としないXRPの仕組みでは、トランザクションの完了も4秒ととても短く、送金手段として利用しやすい作りとなっいることから、国際送金の新しい手段として注目されています。
発行上限枚数の比較
発行上限数は、ビットコインが約2,100万BTCという上限に向けて今も発行が進んでいるのに対し、XRPの場合はすでに発行上限数である1,000億XRPが発行されています。
発行されたXRPのうち、6割程度をリップル社が保有し、リップルのネットワーク拡大を目的として売却をすることが公表されています。こうした特徴もあり、最近ではリップル社が市場に供給するXRPが売り圧力となって価格下落を増幅させているという指摘があります。
しかし、正確に言うとリップル社が保有するXRPのうち500億XRP以上は、リップル社であっても自由に売却することができないエスクロー口座で管理されています。そのため、実質的には450億XRPが市場に供給されていることになります。
入手方法の比較
ビットコインはマイニングより入手したり販売所で購入することで入手できますが、XRPにマイニングという概念はないため、仮想通貨取引所から購入する必要があります。先ほど説明した通り、トランザクション承認はUNLによって行われているため、マイニングのような報酬を与える必要がないからです。
コンセンサスアルゴリズムの比較
ビットコインのトランザクションはプルーフオブワーク(PoW)と呼ばれる仕組みによって成り立っています。これは、様々な人が行っているトランザクションの計算および承認作業を不特定多数で行うもので、簡単に説明すると承認作業を成功した人が報酬を得ることができるものです。この一連の流れがマイニングと呼ばれています。
XRPの場合はこのマイニングが先ほど説明したようにありません。XRPはバリデーターがトランザクションの承認を行う仕組みで、わかりやすく表現するのであれば、信頼のおける企業・機関が取引を成立させていることになります。
まとめ
このようにビットコインとXRPというのは様々な違いがあり、仮想通貨で相場を見ているだけでは気づかない点がたくさんあります。
ビットコインは非中央集権の社会を目的として作られたのに対し、XRPはブロックチェーンの技術を用いてビットコインとは異なる問題の解決手段として生み出されたプロダクトですのでそれぞれ用途が全く違うことが理解できることでしょう。
これらの仮想通貨をチャートだけを見てトレードするのも楽しいかもしれませんが、なぜこのような動きとなっているのかということを考えるにはニュースのチェックも必要です。しかし、その仮想通貨やトークンの特性を知っておかないと、公表されたニュースがどのような影響度合いがあるのかも理解できないでしょう。
仮想通貨に中長期的に投資をするのであれば、その特性は一つひとつ調べて判断しなければなりません。最初は知らない単語ばかりで大変かもしれませんが、理解してくるととても面白い世界です。そして今後必ずなくならない技術なので是非みなさんも勉強してみてくださいね。
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中島 翔
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