2021年11月1日~5日の株式・為替・債券の動向は?ウィークリーマーケットレポート

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記事目次

  1. 債券市場の動向・振り返り
  2. 株式市場の動向・振り返り
  3. 為替市場の動向・振り返り

※本レポート中に記載された見解は、執筆時点での妥当な前提に基づく所見や展望を示すものであり、将来の動向や予測の実現を保証するものではありません。市場環境やその他の状況等によって将来予告なく変更する場合があります。
※本レポートは情報提供を目的としており、有価証券の売買の申し込みやその他勧誘を目的とするものではありません。投資の決定に関しては、ご自身でもよくお調べの上、ご判断いただきますようお願いいたします。

債券市場の動向・振り返り

米国債

米国債利回りはFOMCを受けて長期金利が低下する展開でした。注目となっていたFOMCは予想通り政策金利は据え置きとなり、2021年11月からテーパリングを開始するということで米国債100億円の減額、MBSは50億円の減額でスタートとすることを公表しました。
【参照記事】CNN「米FRB、量的緩和の縮小を開始 政策金利は据え置き」

マーケットにとって予想外だった点は、パウエル議長が利上げは急がない姿勢を示していることであり、この発言を受けて一旦金利カーブはベア・スティープ(※)する動きとなりました。
※ベア・スティープ…長期国債の利回り上昇の影響で、短期金利と長期金地の差が広がること

FRBはマーケットの予想以上に緩和姿勢だったことを受けて金利は低下し米国債10年金利は1.45%あたりまで低下しています。(2021年11月8日時点)

雇用統計は予想を上回る53.1万人増という結果となり、失業率も4.6%に低下する等良好な結果でした。
【参照記事】ロイター「米雇用統計、10月53.1万人増 失業率は4.6%に改善」

米国債は、FRBがマーケットの予想よりもハト派な姿勢を示していることもあり、金利は上昇しにくい地合いが続いています。一方で、インフレは一時的という考えを持っていることから、インフレ動向次第で対策を取らないといけない場合は金利が上昇する可能性も視野に入れておきたい点です。
債券

日本国債

日本国債は長期ゾーンを中心に買いが入り、10年債は若干の金利低下が進む動きで強含む展開となりました。2年債は大きな値動きなく推移しており、引き続き材料待ちの状況です。
債券

株式市場の動向・振り返り

アメリカ

米国株式市場は週を通して強い展開となっており、NYダウ、NASDAQ、S&P500指数等全ての指数において最高値を更新する展開が継続しました。

米国では次期FRB議長がパウエル議長か、もしくはブレイナード理事か注目されており、ブレイナード氏は金融規制の問題や対応ではパウエル議長よりも進歩的と見られており少し株価にはマイナスの影響を与える可能性もあることは注意したいところです。

背景としてはFRBのハト派姿勢がマーケットの安心感を誘っており、雇用統計も良好な結果に終わったことから、足元米国株を売る材料がなくなっている状況です。

日本

日本株は衆議院選挙が終了し一旦材料待ちの様相となっていますが、年末のアノマリーや米株の上昇を考えると、底堅い展開が来週も予想されるため、30,000円を超える展開となるか見どころです。

その他

世界の株価でみるとドイツDAX等欧州株が堅調になっている中、上海総合指数は週を通して上値の重い展開となりました。

株式

為替市場の動向・振り返り

11月1日~5日の外国為替市場は主要通貨では豪ドルの下落が顕著な動きとなりました。また、利上げを見送ったイギリスポンドも売り優勢な展開となり、週を通して両者とも2%程度の下落を見せました。

一方で米ドルやユーロは底堅い展開となっており、ドルインデックスは週半ばから上昇する場面も見られたものの、金曜日の米国債金利の低下に連れ安となり下落しました。

直近でECB当局者が来年には足元のインフレは低下するとの見通しを改めて示しており、利上げ観測を牽制するような発言がありましたが、短期金融市場ではECBの来年の利上げ見通しを維持しており、ユーロもそこまで反応していません。
【参照記事】ロイター「ECB当局者、来年のインフレ低下強調 利上げ観測をけん制」

今後は米国とユーロ圏の中央銀行のどちらがインフレ対応を行ったりするのかでユーロドルの動向が定まりそうな印象です。

ドル円は一時113円台前半まで売り込まれる展開となり、11月8日~12日週は日本株が上昇したタイミングでどこまで値を伸ばせるか注目です。

日本株は堅調に推移すると想定しているため、ドル円の下値もあまりないと筆者は予想します。

米国では米国債金利の低下が進んでいるが、今後利上げ方向という視点は変わっていないため、米ドルの下落余地も限定的なことを考えると下は拾っていっていいと判断しています。

新興国通貨はブラジルレアルが上昇しており、トルコリラやルーブルが弱い動きになりました。ブラジル中銀は10月の会合で150bpよりも大幅な利上げを検討していることがわかり、利上げスタンスが確認されたことで、ショートカバーが入っています。
【参照記事】ロイター「ブラジル中銀、150bp利上げ 財政拡大巡るインフレ懸念で」

トルコリラの下落が進んでおり、中央銀行も具体的な措置を講じることはないと予想されるものの、リスク回避的なトルコリラ売りが進むとは想定しにくいことから、対円で11円台半ばを急に下回ってくることはないと想定しています。
為替
為替

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12