昨日は世界の投資家から注目されていたアメリカのCPIが発表され、予想以上に強い数字となり、物価上昇が鈍化するという市場期待を完全に裏切った数字となったことを受けて、株式市場は急落、米国債金利が大幅上昇し米ドルは急騰する動きとなった。
CPIの結果は、①総合CPI(前年同月比)+8.3% (市場予想+8.1% 前月+8.5%)②総合CPI(前月比)+0.1% (市場予想-0.1% 前月0.0%)③コアCPI(前年同月比)+6.3% (市場予想+6.1% 前月+5.9%)④コアCPI(前月比)+0.6%% (市場予想+0.3% 前月+0.3%)となり、総じて市場予想を上回った。
価格の動きは下記の表のようになっている。ドル円、米国債金利10年、NYダウのチャートだ。
この動きには2つの材料があり、①市場がこれまでの経済指標から物価が今月は鈍化するという期待を強く持っていたこと②物価が鈍化する→株高に進むとの連想から先んじて株式市場でロングポジションを構築していたこと、この2つが考えられるだろう。
CPI以外の経済指標では原油価格の下落や、地区連銀のレポート等から物価鈍化の兆しが見られる数字やコメントが出てきたことによって、市場は8%を割れるかもしれないという雰囲気だった。そして物価が鈍化するとFRBの利上げペースは鈍化すると想像された。利上げペースが鈍化した場合は株高方向で推移することになるため、その動きが先週からの株高につながっていた。
先週からの株高はショートカバーのフローも入っているが、上昇の背景の中心にはこの物価上昇圧力が鈍化するとの見通しがメインだろう。
しかし今回予想に反して物価上昇が止まらなかったことによって、ネガティブサプライズとなり、市場の値幅が大きくなったということになる。また、現在はFOMC前ということでブラックアウト期間に入っており、高官からの発言というのは禁じられていることから、利上げが強まる見通しのトレンドがFOMCまでに反転することは考えにくい。
本日のPPIが発表されるが、CPIのイメージが強すぎるため、PPIも上昇すると株式市場は下落方向で反応しやすいと予想される。
中島 翔
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