昨日発表されたFOMCではマーケットが予想していた通り0.75%の利上げとなり、フェデラルファンド(FF)金利の誘導目標のレンジを2.25%〜2.50%に引き上げた。バランスシートの規模削減のための計画通りに国債、機関債、ローン担保証券の保有量削減を継続する方針を示している。
また、政策金利を引き上げたことで、中立金利に到達しており、今後中立金利以上に政策金利を引き上げていくか注目されることになる。
2会合連続で0.75%の利上げは1980年台初めのボルカー議長時代以来の大幅利上げとなっていたが、利上げ幅は織り込み済みだったことからパウエル議長発言に注目が集まった。
パウエル議長の発言は①9月にも大幅な利上げは有り得る②9月の利上げ幅はデータ次第で決める③景気後退に陥ってはいない④消費と生産は軟化⑤利上げのペースを落とすことが適切といった内容。ほぼ市場の予想通りの内容となっているが、将来における金利の上昇幅は限定的とみられるコメントも見られた。
市場の反応は、0.75%の利上げが完全に織り込まれていたことや、パウエル議長の発言を受けてややハト派的な動きとなり、株高、米ドル安、短期金利低下という動きとなったが、市場関係者の見方はタカ派ではないかという見方も出てきており、マチマチな捉え方となっている状況。
FOMC後のNASDAQは4%高、NYダウは1.4%高となっているが、FOMCで大幅に上昇した翌日は下落しやすいということもあり、この上昇にはついていかない方がいいと筆者は考えている。また、8月は円高、株安のアノマリーの時期でもあるため、ドル円を上方向で攻めていく必要もないと捉えている。
8月はFOMCがないため、次回の政策会合は9月までないことから、この間にインフレ見通しが大きく変化するかで9月の利上げ幅は決まることになるだろう。FOMC終了後、先物市場から織り込まれている9月の利上げ幅はコンセンサスが0.50%となっている。またFOMCは年内に3回残っているが、1.0%トータルで政策金利を引き上げていくという予想。
マーケットの金利市場では、来年初めには利下げに転じると織り込まれつつあり、若干FRB見通しとのギャップが出ているため、どちらに収束されるか注目される。
【参照記事】Bloomberg「パウエル議長がハト派「転換」と市場は早合点か-FRBウオッチャー」
【参照記事】REUTERS「〔情報BOX〕パウエル米FRB議長の会見要旨」
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中島 翔
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