FXトレードで評価益が出ていると、つい利益確定をしたくなる方もいると思います。しかし、感情任せに利益確定すると、収益の機会を逃してしまう可能性もあります。思うように儲からない、と悩みを抱えている方は、リスクリワードを意識してトレードをしてみましょう。
そこで今回はFX初心者の方へ向けて、プロトレーダーである筆者が、リスクリワードを紹介します。実際のチャートも掲載し、リスクリワードを使ったトレード方法も解説します。参考にしてみてください。
※本記事は9月13日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- リスクリワードの比率で運用の成否が分かれる?
- リスクリワードは最低でも利益が2、損失が1以上となる割合が望ましい
- リスクリワードを意識したトレード方法を紹介
3-1.損切りラインを50pipsで設定した場合の利益確定の目処
3-2.トレンドラインに沿ってリスクリワードを決める場合 - まとめ
1.リスクリワードの比率で運用の成否が分かれる?
リスクリワードとは、トレードにおける利益と損失の割合を示す比率を示しています。例えば、期待利益率が10万円で損失が5万円の場合は、リスクリワードは2:1ということです。比率が利益と損失の割合が同一、もしくは利益の方が低い場合、リスクリワードが悪いと言えます。
短期トレードの場合は勝率も重要視されます。一方で中長期的な運用の場合は、リスクリワードの比率で運用の成否が分かれるとも言えます。できる限り利益の割合を大きくするように、意識してトレードをしてみてください。
2.リスクリワードは最低でも利益が2、損失が1以上となる割合が望ましい
リスクリワードは最低でも利益が2、損失が1以上になるような割合が望ましいとされています。利益と損失の割合が1:1の場合は、勝率を50%とした時、利益は出ません。
トレードは連続で負ける時もあります。負けても損失の割合が低ければリカバリーも可能です。一方で損失の割合が高い場合は、トレードを繰り返せば繰り返すほど、どんどん資産は減少します。
FX初心者の方は、勝率が50%でも利益が出るようなトレードを心がけてみてください。
3.リスクリワードを意識したトレード方法を紹介
次にリスクリワードを意識してトレードを行う場合、どのような考え方で相場を見ていけばいいのでしょうか?今回はドル円を例に解説していきます。
※図はTradingViewより筆者作成
2022年3月下旬の高値を抜けたあたりのチャートで解説します。3月下旬の黄色の丸印は、ドル円が125円をつけた水準です。トレンドフォローの場合はまず、この高値を抜けるとトレンド継続と判断できます。
黄色の矢印のタイミングで、水準を抜けてきています。この時、ロングエントリーを行うタイミングを考え始めます。125円がレジスタンスラインからサポートラインに転換するため、125円を割れてどの水準で損切りの水準を設定するかを、まず考えてみましょう。
損切りの水準が浅すぎる場合は、少しの値動きで損切ポイントに引っかかってしまう可能性があります。2022年9月現在の大きな変動幅がある相場では、50pips以上の幅を目安に考えてみてください。
3-1.損切りラインを50pipsで設定した場合の利益確定の目処
では125円をサポートとした場合に、黄色の矢印で抜けてきた後は、どこでエントリーをすべきでしょうか?損切りラインを50pipsで設定した場合、124.50がストップの水準となります。
損切りラインからリスクリワードを考えて、利益確定の目処を設定する場合の方法を紹介します。リスクリワードを2:1とした場合の利益確定の位置は、126円が利益確定の目処です。リスクリワードが3:1の場合は、126.50が利益確定のターゲットとなります。
最初に設定した利益確定の目安で、必ずしも利益確定を行う必要性はないことを知っておきましょう。上記のチャートを見ると、ドル円は上昇基調が継続していると分かります。126円での利益確定は、早すぎたと分かります。
最初にリスクリワードを設定して、2:1とした場合でも、設定した利益確定の目処に到達し、まだトレンドが継続すると判断した場合は、下記の2つの方法を考えてみましょう。
- ポジション全て残しつつ、ポジションを積み増して強気で攻める
- ポジションの半分程度を利益確定し、利益をある程度確保しつつ残りのアップサイドを狙う
FXトレードを始めたばかりの頃は、恐怖心などにより、多くの方は評価益が出るとすぐに利益確定を行いたくなります。しかし、FXでトレードを続けるためには、我慢できるメンタルや、冷静な判断力が必要な局面もあります。
利益確定で並んだ際には、ポジションの半分程度を利益確定し、利益をある程度確保しつつ残りのアップサイドを狙ってみてください。評価益が出ている場合は、損切りの水準を引き上げていき、相場が反転しても利益を確保できるように、コントロールしておきましょう。
3-2.トレンドラインに沿ってリスクリワードを決める場合
次にトレンドラインをブレイクした場合の、リスクリワードの考え方を解説します。
※図はTradingViewより筆者作成
上記のチャートはドル円の4時間足チャートです。オレンジのラインがレジスタンスラインになっています。
黄色の丸印のタイミングで上方向に相場がブレイクしており、この時点でトレンドが上昇に転じると判断したとします。黄色の丸印でロングエントリーを行った場合、どの位置で損切りを入れるべきでしょうか?
上記のチャートの場合、筆者としては2つのパターンがあると考えています。
- 最初のレジスタンスラインと短期的なレジスタンスラインとなっていた赤色の水平線の、2つの水準を下方ブレイクした位置
- サポートラインとして引いているオレンジのラインを下方ブレイクした場合
短期的なトレードでない場合は、サポートラインを下方ブレイクした場合に損切りを行うなど、余裕を持ってトレードを行うのも選択肢の一つでしょう。
サポートラインを目処にトレードする場合は、エントリー回数を分けながら損益分岐点を低下させつつ、ポジションを保有することによってリスク分散も可能になります。エントリーを分けて損益分岐点を低下させた場合のメリットは損失が少なくなることです。一方で最初にエントリーしたタイミングから予想通りに推移した場合は、利益の金額も少なくなるので注意しましょう。
4.まとめ
今回はリスクリワードの概要と、リスクリワードを使ったトレード方法を、FX初心者向けに解説しました。
またリスク管理は人によって様々です。今回紹介した方法は、選択肢の一つにはなるものの、正解ではありません。自分にあったリスク管理を行うことが大切です。
最初はルールを決めてリスクリワードを守れても、金額が大きくなるにつれて、ルールを逸脱したくなるものです。金額は見ずにパーセンテージだけで判断するなど工夫すれば、淡々とルール通りの損切りや、利益確定ができるでしょう。
今回の記事を参考に、自分に合ったトレード方法を探してみてください。
中島 翔
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