米国CPIを受けて市場は乱高下、米国株高はどうなる?【2023年2月】

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2023年2月現在、アメリカでは予想以上の雇用統計の数字を受けて、再度政策金利の引き上げ懸念が高まっています。今後のインフレ動向を予想する上で、消費者物価指数に注目が集まっています。

今回はプロトレーダーの作者が消費者物価指数の詳細な結果と、数字を受けた市場の反応、そして今後の動向について解説します。

※本記事は2023年2月20日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. アメリカ消費者物価指数の結果
  2. CPIを受けた市場の反応
  3. 2月為替相場を解説
  4. 今後のイベントや注意点
  5. まとめ

1.アメリカ消費者物価指数の結果

2023年1月の、アメリカの消費者物価指数の結果について解説します。

  • 総合CPI(前年比)+6.4%(予想+6.2%)
  • 総合CPI(前月比)+0.5%(予想+0.5%)
  • コアCPI(前年比)+5.6%(予想+5.5%)
  • コアCPI(前月比)+0.4%(予想+0.4%)

全ての主要な数字が市場予想を上回りました。強い数字だと判断できます。ただし、伸び率は鈍化傾向となっています。

また内訳を確認しましょう。先月は低下していたガソリンは上昇し、食品価格は下落から上昇に転じています。これまで低下していた項目が、一部上昇しています。

家賃は若干低下しているものの、低下幅については鈍化しています。総じて低下幅が小さい印象です。

FRBは、サービス関連を一番注目していると言われています。今回一番のポイントは、サービス関連上昇幅が大きく鈍化したことでしょう。

2.CPIを受けた市場の反応

CPIを受け、最初、株式市場は下落で反応しました。ヘッドラインが総じて強かったことが理由でしょう。強いCPIの数字は、雇用統計を肯定します。FRBは金融引き締め路線を取るだろうと、多くの投資家が予想しました。

しかし下落から一転、株式市場は上昇します。サービス価格に鈍化の兆しが見られたためでしょう。

サービス価格に関連する数字は、細かい資料を見に行かないと分かりません。そのため、反応が遅れたと考えられます。

米国債金利は素直に上昇しました。

雇用統計以降、アメリカの政策金利のターミナルレートが上昇しています。CPIの発表を控え、多くの投資家が、FRBがタカ派となる材料への警戒感を強めていました。

CPIを受けて、ターミナルレートはさらに上昇しています。これまで市場では、3月と5月で0.25%ずつ利上げを行う可能性が織り込まれていました。

しかし6月に関しても、0.25%の利上げの可能性が五分五分で織り込まれつつあります。市場は再度FRBが政策金利の引き上げを予想し始めたのでしょう。

為替市場では、一時米ドルが売られる場面もありました。しかしその後、米ドルが反発する中でドル円も上昇する動きとなり、133円台まで上昇しています。

市場は、予想していない内容が発表されたときに大きく反応します。想定内の内容が発表された時は、大きな動きが出ても、直ぐに終わる傾向があります。

3.2月為替相場を解説

CPIも含めた、2月後半の為替市場での変化を解説します。

まずFRBのタカ派姿勢を、市場が読み誤っていた点は整理しておきたいポイントです。FRBは年内の利下げは行わないと、市場に発信していました。一方で市場は、FRBの政策が誤っていると言わんばかりに、年末あたりに利下げを行う可能性を織り込んでいました。

インフレ沈静化の兆しが見えていたことや、労働市場からもインフレ鈍化を想起させる数字が出てくると市場が予想していたことが、背景として挙げられます。

2月以降もインフレ鈍化のトレンドが継続すれば、FRBは政策のスタンスを変更するだろうと、多くの市場関係者は予想しています。しかし2月に入り、予想を覆す数字が出ると、市場は見通しを変更せざる得なくなりました。

また投資家にとって、ポジション動向は大切です。1月からドル円が下落する過程では、先物ポジションで日本円のショートポジションが大きく解消されていました。

ドル円の下落は、円買い圧力が強まったと言い換えられます。元々機関投資家や短期勢が保有していた日本円の売りポジションの解消が、ドル円の下落に影響を与えました。

米ドルのポジションは、雇用統計以前まではドル売りトレンドが続いていました。2022年の念末にはドルロングのポジションが積み上がっていたものの、解消されネットショート(売りポジションが大きいこと)に傾きました。

つまり円買い圧力が継続するには、円売りポジションの解消だけでは材料不足であり、新たに円買いを行いたいと思えるような材料が必要であるということです。米ドルもここから更に売り込まれるには、新規の材料が必要となります。このタイミングで強い雇用統計やCPIの数字が出てきたため、投資家は再度ドル買いで反応しました。

FXをする際には、投資家心理がどちらに傾いているのかも、ぜひチェックしてみてください。

4.今後のイベントや注意点

2023年2月現在、ドル円は短期的に上昇方向で反応しています。日銀総裁人事が一旦終了したことや、円買いになるような人物にはならかったことから、安心して円を売っているのでしょう。

ただし日銀の金融政策は、限界を迎える可能性があります。市場でも引き続き問題視されるでしょう。

日銀の金融政策が限界を迎えた場合、円買い圧力が高まる可能性があります。ドル円が上昇し、円売りポジションが増加していた時は注意しましょう。ポジションが傾けば傾くほど、その後の値動きは大きくなりやすいものです。

5.まとめ

今回はアメリカのCPIや、今後の為替市場の動向ついて、プロトレーダーの筆者が解説しました。ぜひ参考にしてみてください。

今後は、引き続きアメリカのインフレ動向に注目が集まるでしょう。インフレが鈍化する方向から、少し高止まりするのかに市場の視点は移っています。マーケットの注目点を知っておくと、トレード戦略を立てる際の参考になるでしょう。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12