2022年8月、FXの注目ポイントは?各国相場の振り返りと指標の推移を解説

2022年8月8日からの相場は、米CPIは前年比+8.5%と前回の+9.1%から大幅に鈍化しました。市場予想+8.7%を下回ったことで、市場では米債利回りが急落、ドル売りが殺到しました。しかし、高官からのタカ派発言が相次いだことで一転してドル買いが優勢となりました。

ドル円は131円台後半まで下落後、米債利回りの上昇とともに137円台まで大反発し、ユーロドルは1.03台まで上昇後再度1.0000割れをトライする水準となりました。ポンドドルは1.22台後半から直近安値に迫る1.17台へと軟化しました。

この記事では、2022年8月中旬の振り返りと、8月下旬に向けての動向を解説します。

※本記事は8月22日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 2022年6月上旬のマーケット振り返り
    1-1.日本
    1-2.米国
    1-3.中国
    1-4.欧州
    1-5.英国
    1-6.オーストラリア
    1-7.ニュージーランド
    1-8.カナダ
    1-9.その他
  2. 注目材料
    2-1.ジャクソンホール会議

1.直近の振り返り

1-1.日本

7月の貿易収支は1兆4368億円の赤字と12カ月連続で赤字なりました。資源価格の上昇や円安を背景に輸入の伸びが輸出を上回りました。原油・石炭・液化天然ガスが寄与度上位3項目となっています。

1-2.米国

バイデン大統領は520億ドル規模の補助金・奨励金を盛り込んだ国内半導体業界支援法案に署名し、同法は成立しました。更に4300億ドル規模の税優遇や薬価引き下げなどを含むインフレ抑制法案も成立させ、中間選挙前に刺激策を続々と出してきています。

7月CPIはガソリン価格が前月から下がったことを主因として前年比+8.5%と6月の+9.1%から伸び率が縮小しました。また、エネルギーと食品を除くコア指数は+5.9%と前月から横ばいとなりました。

事前予想では、総合指数は+8.7%、コア指数は堅調な雇用市場を受けた賃金上昇により+6.1%に加速すると見られていたものの、どちらも予想を下回りました。しかし、全体としては高水準が維持されており、物価指数そのものは前月比でみると横ばいとなっています。

前年との比較で低下した様に見えるだけで、実際の国民の感覚からすると物価が落ち着いた様には感じられないでしょう。

8月のミシガン大消費者信頼感指数の速報値が発表され55.1と予想を上回り、2カ月連続の上昇となりました。ガソリン価格が低下する中、米消費者のセンチメント低下に一服感が出ているようです。5-10年先のインフレ期待値は3.0%に上昇し、再び3%台に戻しています。

1-3.中国

PBOCは予想外にMLF(1年物中期貸出制度)政策金利を0.1%引き下げて2.75%としました。その後発表された7月の経済指標は軒並み悪化しました。

7月の小売売上高は前年比+2.7に伸びが鈍化しました。1~7月の固定資産投資は、前年同期比5.7%増と、1~6月の6.1%と比較し減速しました。1~7月の工業生産増加額(付加価値ベース)は、前年同期比3.5%増と前期からほぼ横ばいとなりました。7月単月では、前年同月比3.8%です。

7月のCPIは、前年比+2.7%と6月の+2.5%から僅かに上昇しただけです。金融緩和を継続できる環境は整っています。

1-4.欧州

ロシア国営パイプライン会社トランスネフチは、ウクライナ経由で輸送していた東欧向けの原油の供給が停止したことを発表しました。対ロシア制裁措置により輸送料金の支払いが完了しなかったためとしています。天然ガスだけでなく原油の供給も削減されると欧州の景気後退が深刻化する恐れがあります。

記録的な熱波でライン川の水位が低下し始めており、物資の運搬に支障が出る可能性があります。

1-5.英国

英小売協会(BRC)が発表した英国7月の既存店小売売上高は+1.6%と5カ月ぶりに増加に転じました。7月は猛暑だったことから、夏物の衣料品や扇風機、ピクニック用お菓子などの売上が増加した為です。しかしBRCは、消費者信頼感は依然として弱く、金利上昇と景気後退懸念から、同指標の改善はほとんど役に立たないだろうと指摘しています。

英政府が英企業・家庭への電力供給で1月に計画停電を検討と報じられました。英政府は、冬に寒さとガス不足が重なった場合、産業界や家庭に対して数日間の組織的な計画停電を検討しているとのことです。英政府の合理的な最悪のシナリオでは、緊急用の石炭発電所を稼働させても、ピーク時の需要の約6分の1に相当する電力不足に直面する可能性があるとしています。

第2QのGDP速報値は前期比▲0.1%と、若干のマイナス成長となりました。内訳を見ると個人消費が▲0.2%、一般政府支出が3月で打ち切られたコロナ対策の影響から▲2.9%となりました。

賃金を上回る物価上昇で家計の購買力が一段と冷え込むのは避けられそうもありません。10月からは更に家庭の電気・ガス料金の価格が上昇することから、BOEの予想通り年後半から景気後退に入る懸念が強まっています。

7月英雇用統計は+3.8%と低位横ばいでした。雇用者数も増加、週平均賃金は+5.1%と加速しました。BREXIT以降労働者不足により引き続き雇用環境は引き締まった状態が続いています。

7月CPIは予想を大幅に上回る前年比+10.1%に到達しました。約40年ぶりの伸び率です。主因は食料品価格の上昇で、サービスを中心に広範囲にわたって価格の上昇が見られました。インフレ圧力は強く、当面収まりそうもありません。

8月GFK消費者信頼感指数は▲44と過去最低となりました。雇用は堅調で賃金も上昇しているものの、それ以上の高インフレにより個人消費低迷という流れになっています。

1-6.オーストラリア

8月RBA会合の議事録では、今後数か月にわたり金融状況の正常化に向けたプロセスで更なる対応を取る予定です。既定の軌道上にはないということで、フォワードガイダンスというよりは、データ次第で柔軟に対応していく方針が明らかとなりました。

第2Qの賃金指数が発表されました。前年比+2.6%と予想(+2.7%)を下回る結果となりました。一方で第1Q対比では+0.7%と賃金の堅調な伸びは継続していること、7/1から最低賃金が5.2%引き上げられたことにより、今後の伸びが期待されます。

7月の雇用統計は、雇用者数が▲4.09万人と予想外のマイナスに転じました。一方で、労働参加率は減少しましたが、66%台は歴史的に見ると高水準です。失業率が3.4%と1978年に月次統計を開始して以来の最低記録を更新しました。

失業者数は474,000人となりました。一方で最新の5月の求人は480,100人となっており、失業者数よりも求人が多い状況です。そこまで豪労働市場は悪化しているわけではなさそうです。

市場は次回9月のRBA理事会では0.25%と0.50%の利上げ確率を半々と見ています。

10月から新たな月次CPI指標の公表を始め、現在の公式の四半期CPIよりも頻度の高いデータを提供するとのことです。

1-7.ニュージーランド

RBNZが発表した2年後インフレ予想は3.07%と9四半期ぶりに低下しました。

しかし8月RBNZ金融政策決定会合では、予想通り0.5%引き上げて3.0%としました。最終到達金利を5月時点の予想の3.9%から4.1%に引き上げました。

また2022年末に3.75%に到達する見込みとなっています。前回の3.00%から大幅に引き上げています。

声明文でも堅調な雇用、財政出動の継続、押し上げられた交易条件、良好な家計バランスシートによって国内支出は堅調に推移しています。目標達成に向けて断固たる決意を改めて表明した形となっています。年内は2回しか会合はありません。次回10月は0.5%利上げをするでしょう。

1-8.カナダ

7月CPIは前年比+7.6%と食料品価格は急上昇したものの、米国同様ガソリン価格の下落の影響で減速が見られました。一方でコア指数は+5.5%と前月から加速しました。

1-9.その他

トルコ中銀が予想外に政策金利を1%引き下げて13%としました。直近7月のCPIが前年比+79.6%と24年ぶりの高水準となっており、年末のインフレ予想も42.8%から60.4%に引き上げていただけに利下げは予想外で、TRYは1%急落しました。

2.今後の注目材料

2-1.ジャクソンホール会議

足元の状況では、インフレはピークを打ったという期待が高まっているものの、FRBは利上げを継続する姿勢を堅持しています。9月のFOMCについては、0.5%と0.75%の利上げ確率が五分五分となっています。

次回FOMCまでにはCPIと雇用統計はあと1回ずつ発表があります。現時点で9月会合の方針を決定付けるような発言が出るとは考えにくいものの、市場が織り込んでいる2023年中の早期利下げ観測に対し、これまで以上に踏み込んで牽制をするのかどうかや、今後のターミナルレート(利上げの最終地点)を巡り何かしらの方向性を示すのかが注目となります。

市場は、どちらかというとタカ派方向という思惑が強く、既にUSDは買われています。タカ的な発言がない場合は、USDは一旦売られる可能性があります。

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HEDGE GUIDE 編集部 FXチーム

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