今日は現在仮想通貨取引所でトレーダーを行う筆者が、仮想通貨の基本的な買い方、そして仮想通貨のポートフォリオを作り方について解説していきたいと思います。
筆者は、前職で3メガ系証券会社で外国為替のスポット、フォワードトレーディング、そしてEM通貨建(トルコリラ、南アフリカランド、インドルピー、ブラジルレアル等々)クレジットトレーディングを行っており、世界経済の分析をしながら日々マーケットと対峙していました。こうした経験を踏まえ、仮想通貨だけではなく、投資全般に共通して大事な情報も織り交ぜながら解説していきます。
初めて仮想通貨の購入を検討する投資家の方は、仮想通貨投資の情報を調べる中で「大損をした」「バブルが崩壊した」「値動きが大きい」などネガティブな単語を目にすることも多いのではないでしょうか?こうした情報は当然ながら事実であり、嘘偽りはありません。しかし1つ言えることは、投資で損失を出している方はなるべくして損失を出しているということです。残念なことに、損失を出している方の多くは「資産運用としての仮想通貨投資」ではなく、「ギャンブルとしての仮想通貨投資」を行っていることが多いように見受けられます。
この記事を読む皆様が「ギャンブルとしての仮想通貨投資」をしないよう、そして「資産運用としての仮想通貨投資」を長く続けてもらえるよう、しっかりとご紹介していきます。
目次
- 投資の銘柄分散と時間分散とは
1-1.ドルコスト平均法とは
1-2.ドルコスト平均法のデメリット - 仮想通貨でおすすめする手法とポートフォリオ
2-1.仮想通貨に投資する際におすすめする投資法
2-2.ポートフォリオの考え方と作り方 - 仮想通貨のみの資産運用は避けた方がベター
投資の銘柄分散と時間分散とは
投資の基本的な戦略には色々なものがありますが、ここでは2つに絞ってお話したいと思います。それは「銘柄分散」と「時間分散」です。
銘柄分散はポートフォリオを構築する上で密接な関係がある考え方で、1つの銘柄に資金を一極集中してはいけないということです。投資の格言に「同じ籠に卵を盛るな」という言葉がありますが、これはリスク分散の観点から色々な籠(銘柄)に投資して1つが割れても(ある銘柄が失敗しても)問題ないようにしましょうということを意味しています。
時間分散は同じタイミングで資金を一気に投入してはいけないということを意味しています。相場で一番大事なことは「負ける確率を減らすこと」です。一発長打を狙うような投資を続けていると、いつか資金が底をついてしまいます。
色々な銘柄に投資をしつつ、購入のタイミングも分けながら、ポジションを取っていくことで損失を出す確率を劇的に減らすことが可能です。ここでは、こうした考えを実践するの手法の1つとして最も有名な「ドルコスト平均法」についてご紹介していきます。
ドルコスト平均法とは
ドルコスト平均法とは、定期的に一定金額を投資する手法です。この方法で投資を行うと、相場の変動に一喜一憂することなく銘柄の買い増しができ、平均購入単価も収斂するため、長期的な資産運用手法としてメジャーな投資法として知られています。
購入する金額が常に一定であるため、価格が下落するとより多くの対象銘柄を購入することができます。もちろん、価格が上昇すると購入できる銘柄の量は減少してしまいますが、一括で購入するよりも高値掴みを防止できることが大きな特徴でもあります。また、相場が急落した場面でも恐怖感は最小限に淡々と銘柄の購入も出来るため、初心者におすすめの手法とも言えます。
このドルコスト平均法を図で表すと下記のようになります。
しかし、このドルコスト平均法は万能ではないという評価もあります。筆者も、仮想通貨においてはまだドルコスト平均法を利用するべきではないと考えています。以下でその理由についてご説明します。
ドルコスト平均法のデメリット
ドルコスト平均法の手法が広く受け入れやすい理由は心理的な負担がかなり軽減されることにあります。常にマーケットをウォッチする必要もなく、負担があまりないことから資産運用の初心者に受け入れやすいのです。
では、例えばドルコスト平均法で積立購入を行う銘柄が一貫して上昇し続けていたらどうなるでしょうか?もしくは、下落相場が十年以上継続したらどうなるでしょうか?
下落が十年以上継続してしまうと、いくら積立とはいっても資産が増えることはありません。当たり前のようですが、ドルコスト平均法は決して万能な手法ではなく、どの投資商品にも使えるものではないのです。外国為替FXのようにある程度長期的なレンジ相場ができあがっている商品であればともかく、本質的価値が誰にもわからない仮想通貨は0円になる可能性も秘めていることを考えると、仮想通貨にドルコスト平均法を利用するのは避けた方が賢明かもしれません。
では、仮想通貨初心者の方はどのように仮想通貨に投資をするべきなのでしょうか?
仮想通貨でおすすめする手法とポートフォリオ
以下では、銘柄分散と時間分散を利用し、本質的価値がわからない仮想通貨のリスクを考慮しながら、筆者がおすすめする投資手法を考えていきます。
仮想通貨に投資する際におすすめする投資法
- ドルコスト平均法で一定金額の購入を継続する
- 価格が下落した際に買うことだけを徹底する
- 下落幅は10%毎に購入する
- 銘柄分散も行う
ドルコスト平均法で一定金額の購入を継続する
まずは、月々の余裕資金がどのくらいか、自身の家計を振り返りながら設定します。余裕資金を毎月1万円と設定する場合は、銘柄分散の観点から1銘柄に投資するのは2,000円-5,000円(銘柄数によりますが)で設定しましょう。
価格が下落した際に買うことだけを徹底する
これは仮想通貨の相場の特徴を反映させた手法です。仮想通貨にはレンジというものがなく、下落すると100分の1になる可能性も否定できませんし、100倍にまで上昇する可能性もある極端な投資商品です。
仮想通貨はその値動きの大きさと方向感のないマーケットから、とても安定しているとは言い難いマーケットです。そのため、リスクを軽減するためにも価格が下がった場合のみ購入をして、価格が下がらなかった場合は無理をしてまで購入しないよう徹底することもおすすめの方法です。
下落幅は10%毎に購入する
下落幅はボラティリティによって変化させることが望ましいですが、わからない場合は10%という部分を目安にして購入すると良いでしょう。前月の購入した水準から比較して価格が10%下落したら翌月購入することをルール化するだけで、平均購入価格を下げることができますので、ちょっとした上昇相場が訪れた際に利益を上げることができるでしょう。
銘柄分散を行う
やはりおすすめなのは銘柄を分散させることです。銘柄の分散についてはポートフォリオの構築と密接に関わりがある項目ですので、以下で詳しく解説していきます。
ポートフォリオの考え方と作り方
ポートフォリオとは、異なるリスクやリターンの銘柄やプロダクトを資産に組み入れることです。リスクやリターンのバラバラなプロダクトを組み入れることで、可能な限りリスクを低下させつつ、トータルリターンを最大化することができます。こうした考えをポートフォリオ戦略と言います。
では仮想通貨ではどのような戦略を取るべきでしょうか?こうした戦略を考えるにはまず、仮想通貨それぞれのボラティリティを知る必要があります。ボラティリティとは価格にどのくらいの値幅が出る可能性があるのかを数値化しているもので、各通貨によって異なってきます。
ボラティリティについては、別途記事で詳しくご紹介していますのでぜひご覧になってみてください。ここではその際にも利用した通貨別のボラティリティを表した表を利用してご説明していきます。
この表から見ると、ビットコインが一番値動きが小さいことがわかります。では、例として各通貨における年間の値幅が下記のようになっていると仮定した場合、ポートフォリオをどのように作るかを説明します。
もしも毎月1万円余裕資金があった場合、どのような資産配分にするのがベストでしょうか?当然人それぞれリスク許容度は違いますが、損益の絶対値の振れ幅を同じにすることを前提に組み入れ比率を説明していきます。
例えば、ビットコイン、イーサリアム、リップル、ビットコインキャッシュの4通貨に2,500円ずつ投資をした場合、それぞれの値動きの幅が違うため、投資金額は同じであってもそれぞれの通貨に対して取っているリスクはバラバラであることを理解しておきましょう。
各通貨においてリスクを同じにするには、ボラティリティを考慮して資産配分する必要があります。例えば上記の例で金額の比率を考えると概算で下記のようになります。
- ビットコイン(BTC):1,600円
- イーサリアム(ETH):2,100円
- XRP:2,100円
- ビットコインキャッシュ(BCH):4,200円
この金額の差によって、ボラリティリティから換算した評価損益の動きを各通貨で均等にする金額設定ができれば完成です。
ここで大事なポイントは「各通貨で投資金額を同じにしないこと」です。そもそもボラティリティの数値がわからないという方は、過去1年間ほどの値動きを見て、どの通貨が上下に大きく変動しているか視覚的に把握し、その値動きをベースに大体でもいいので金額をずらして投資するように心がけるだけでもリスクは分散されます。
ここで決めた金額をベースにしながら、価格が前月比で比較して10%程度下落したら当初に決めた金額で通貨を買い、大きく上昇したタイミングで利益確定をすることが重要です。利益を細かく積み上げるわけではなく、資産運用のためにしっかりと利幅を意識して保有するようにしましょう。
このように、銘柄分散と時間分散し、プラスαで仮想通貨の「価格変動が大きい」という特徴を考えた手法を取り入れることで、大きく損失を出す可能性は大きく低下させることができるでしょう。もちろん注意点もあります。仮想通貨は仮想通貨マーケット全体が下落すると、銘柄分散を行ったとしても全ての仮想通貨が下落することになるため、可能であれば全資産の一部分だけを仮想通貨へ投資するようにすることがおすすめです。
あくまで資産の一部分における投資として今回ご紹介した手法を取り入れて頂けると、他の投資商品との相関によって全体の資産価値をリスクに晒すことなくうまく調整できることにもなります。
仮想通貨のみの資産運用は避けた方がベター
今回は仮想通貨内でのポートフォリオの構築の仕方、そして仮想通貨を利用した損失を出しにくい資産運用の手法をご紹介しました。これはあくまで仮想通貨の特徴を活かした投資手法ですので、他の投資には必ずしもあてはまらないことを頭に入れておいてください。
上記でもご説明した通り、仮想通貨で銘柄分散をしたとしても、仮想通貨全体に売り圧力がかかれば当然資産は減少することになります。この場合、銘柄を分散していたとしてもその効果は発揮されません。そうしたリスクを補完するために、価格が10%下落するごとに一定金額を購入するオプションをつけることで、値下がりリスクをある程度ヘッジすることができます。
ここでおすすめした投資手法では、下落相場の際に購入した仮想通貨が反発したタイミングで資産が増加するようアドバイスをしていますが、仮想通貨自体の歴史が浅く、どこまで下落するか・どこまで上昇するかは未知数です。そのため、仮想通貨以外の他の投資商品への投資も検討し、FXなど外国為替や株も取り入れながら資産全体のポートフォリオを構築することがベターです。
仮想通貨が危険というイメージは、あくまでギャンブル的に仮想通貨の大きなボラティリティを通じて遊んでいたギャンブラー達の経験から言われているものに過ぎません。仮想通貨は資産を右肩上がりで伸ばしていくための1つの投資対象に過ぎません。リスクをしっかりとコントロールすることで、10倍になっても100倍になっても一喜一憂しないことが重要なのです。
「仮想通貨のご利用は計画的に」、これが仮想通貨に投資する際に大事な考えです。もちろん、これは仮想通貨に限らず投資全般に言えることでもあります。リスク管理や資産配分の考え方をしっかりと身につけ、ぜひ仮想通貨の投資ライフを楽しんでみてください。
【関連記事】ビットコインとは?特徴・仕組み・購入方法
【関連記事】イーサリアムとは?特徴・仕組み・購入方法
【関連記事】XRPとは?特徴・仕組み・購入方法
【関連記事】ビットコインキャッシュとは?特徴・仕組み・購入方法
- グループ会社に金融機関がある取引所・販売所
- 取り扱い通貨が多い仮想通貨取引所・販売所
- 高機能取引ツールが利用できる仮想通貨取引所・販売所
- 取引手数料が安価な仮想通貨取引所5選
- 少額投資に適した仮想通貨取引所・販売所5選
- 投資初心者がビットコインをかんたんに購入できる仮想通貨取引所・販売所6選
中島 翔
最新記事 by 中島 翔 (全て見る)
- 脱炭素に向けた補助金制度ー東京都・大阪府・千葉県の事例 - 2024年10月22日
- 韓国のカーボンニュートラル政策を解説 2050年に向けた取り組みとは? - 2024年10月7日
- NCCXの特徴と利用方法|ジャスミーが手掛けるカーボンクレジット取引所とは? - 2024年10月4日
- Xpansiv(エクスパンシブ)とは?世界最大の環境価値取引所の特徴と最新動向 - 2024年9月27日
- VCMIが発表したScope 3 Flexibility Claimとは?柔軟なカーボンクレジット活用法を解説 - 2024年9月27日