為替の変動は物価高の原因になる?プロトレーダーが解説

※ このページには広告・PRが含まれています

2022年から日本でも物価が大きく上昇しています。これまで経験してこなかった物価上昇を、肌感覚で感じている方も多いでしょう。

物価上昇の要因は様々あり、為替変動も要因の材料の一つです。

今回は為替の変動を主眼に置き、物価変動に与える影響について、プロトレーダーの筆者が解説します。

※本記事は2023年2月22日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 為替の変動と物価上昇の関係性
  2. 円安で株式市場は上昇しているのに収入が増加しない理由
  3. 円安と物価上昇に備えるには?
    3-1.日本円だけではなく外貨も資産の一部として入れておく
    3-2.現預金ではなく投資を少しずつでも行うこと
  4. まとめ

1.為替の変動と物価上昇の関係性

為替の変動と物価の関係を解説します。

2022年から円安と物価上昇が進行しました。円安とは1ドル購入するのに100円しか必要なかったのに、120円になり、20円多く払わないと1ドルを購入できない状態を指します。

外国から品物を購入するためには、その国の通貨で支払う必要があります。日本企業からすると、円安が進めば同じ商品を輸入する場合でも、日本円を多く準備する必要あります。

輸入企業が日本で商品を販売する場合には、日本ではより高い値段で販売しないと赤字になります。企業が販売価格を上げるため、円安が進行すると、国内の物価も上昇します。

一方で海外に日本の商品を売っている企業にとっては、逆の効果が発生します。同じ商品を販売した場合でも、日本円に換算すれば売上は増加します。

日本は輸出企業が多いため、円安が進行すると株式市場が上昇しやすくなります。

2.株式市場は上昇しているのに収入が増加しない理由

インフレが進行している中で、多くの日本企業は業績が好調です。一方で一般消費者の懐事情は、冷え込んでいます。

インフレ環境下で、企業業績が好調な一方で、なぜ消費者は常に安い商品を探し続けているのでしょうか。実質賃金の低下が理由として挙げられます。実質賃金とは、インフレ率を加味して計算された賃金です。

分かりやすい事例を紹介します。仮に物価が、年間に3%上昇したとします。100円で売られている商品が、翌年には103円になっている計算です。

次に国民の賃金上昇率が1%だったとしましょう。月収20万円の人が20万2000円になり、喜ぶ方もいるでしょう。

しかし物の価値は3%上昇しているのに、賃金が1%しか上昇しなければ、給料は実質2%減価(減少ではない)しています。

給料の価値の減少を意識していない方は、意外と多いのではないでしょうか。表面上の絶対値である○○円という数字しか意識しないと、気づいたら物の価値が上昇していて、なんとなく生活が苦しくなってしまいます。

3.円安と物価上昇に備えるには?

3-1.日本円だけではなく外貨も資産の一部として入れておく

日本円だけではなく、外貨の保有を検討してみてください。

自国通貨への信用が低い国では、多くの国民が自国通貨ではなく米ドルを保有しています。自国通貨が紙切れになる恐れを生活の中で感じて、リスクヘッジを行っています。自国通貨よりも米ドルでの支払いが喜ばれる国もあります。

日本に住んでいると、日本円で給与をもらい、円を払って消費します。しかし日本は輸入している商品も数多くあり、海外の物に頼る必要があります。

為替レートによる物価の変動は避けては通れません。日本は財務が借金体質で、日本円の信用を失う恐れも指摘されています。今後は円高に進行するよりは、円安方向で推移すると考えるのが自然でしょう。

外貨預金は手数料が高く、外貨の現物はいらない方も多いでしょう。そのような時こそFXが便利です。ドル円のロングポジションを保有すれば、円安に備えられます。

為替は増減するものの、ポートフォリオ全体で見ればオフセットされます。

3-2.現預金ではなく投資を少しずつでも行うこと

2023年2月現在において預金金利は低く、預金では資産価値は上昇しません。むしろ物価の上昇を考えれば減価します。

海外に投資する投資信託などで運用すれば、物価上昇以上の資産の上昇は期待できます。

物価上昇は為替だけでは説明ができません。しかし物価高が進めば、日本円だけで資産を形成していると、資産はどんどん目減りしてしまいます。

お金の価値は一定ではなく、増減します。資産価値の減少に備えて、資産運用を始めるのも選択肢の一つでしょう。

日本の金融政策が変更され、利上げをすれば、銀行の預金金利も引き上げられます。一方で預金金利が物価上昇や為替の変動の幅ほどに上昇するのかは、分かりません。資産を守る方法として、資産運用は選択肢の一つです。

4.まとめ

円安による輸入物価の上昇によって、物価は大幅に上昇しています。日用品の値上がりも、スピードが早くなっています。

物価の上昇の落ち着きを待つのではなく資産を守るために、資産運用やFXの活用を検討してみてください。

The following two tabs change content below.

中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12