2022年は各国中銀が利上げを行い、多くの国で政策金利が上昇しました。高金利通貨をトレードし、長期的にスワップポイントを得たいと考えている方も、多いのではないでしょうか。
そこで今回は、プロトレーダーである筆者が、政策金利が7.00%もあるチェコの通貨・チェココルナについて紹介していきます。今後のチェココルナ・円の動向についても解説します。参考にしてみてください。
※本記事は12月12日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- EU加盟国チェコの特徴
1-1.自動車産業がさかん
1-2.鉱物資源を保有している
1-3.格付けが高い
1-4.チェコの政策金利は7.00% - チェココルナ円のチャート
- 今後の動向をプロトレーダーが解説
- まとめ
1.EU加盟国チェコの特徴
チェコは東ヨーロッパに位置しているます。2004年にEUに加盟しました。
人口は1,000万人超となっています。人口は少ないものの、ビールの消費量は世界一です。
元々はチェコスロバキアとして一つの国でした。しかし1993年にチェコとスロバキアに分かれました。
ユーロでの決済も可能であるものの、主軸通貨はチェココルナです。
1-1.自動車産業がさかん
チェコの主力産業は自動車や化学、エンジニアリングです。特に自動車産業はチェコでも重要な位置付けの産業となっています。
世界の車メーカーが工場を構えており、日本ではトヨタ、韓国の現代、フォルクスワーゲンが工場を建設しています。
1-2.鉱物資源を保有している国
チェコは鉱物資源が豊富です。鉄鉱石や、銅、石炭やポーキサイトやニッケル鉱石等色々な資源を採掘できます。
資源価格で通貨が変動するというほどのインパクトはないものの、鉱物資源の保有は、国の安定成長には不可欠です。資源がチェコ経済を下支えしている側面があると知っておきましょう。
1-3.格付けが高い
東欧諸国の一つであるため、不安を感じる投資家もいるかもしれません。実はチェコは、日本よりも格付けが高い国です。
ムーディーズでAa3、S&PでAA-と、かなり高い格付けとなっています。イギリスやベルギー、香港と同水準です。
ちなみに日本はムーディーズA1、S&PでA+です。日本の格付けと比較すると、高リスクの印象は変わるのではないでしょうか。
格付けが高い理由は、国の地盤を外資に頼っておらず、対外債務が低水準であるためです。
1-4.チェコの政策金利は7.00%
チェコは政策金利が比較的高い国です。2022年12月現在のチェコの政策金利は、7.00%です。
政策金利が高い場合はスワップポイントも高くなるため、FXで長期投資を検討している方にとっては、チェココロナは候補に挙がる通貨と言えるでしょう。
2.チェココルナ円のチャート
次にチェココルナ円の過去のチャートをチェックしていきましょう。
※図はTradingViewより筆者作成
上記は、2008年から2022年12月までの、チェココルナ円のチャートです。
2008年のリーマンショック前には7.5円あたりまで上昇していたものの、その後円高方向となり、3円台後半まで下落しています。
その後再度二番底をつける動きとなり、2012年を最安値として4円あたりから5.5円あたりのレンジでの推移が今年まで続いていました。
しかし2022年には大きな円安の動きから、5.5円のレジスタンスラインを突破して、6円付近まで上昇しました。円安トレンドの動きが続いているという状況になっています。
下記は日本とチェコの政策金利の推移です。
出典:みんなのFX「チェココルナ/円(CZKJPY)のチャート、相場の状況と今後の見通し」
日本とチェコの政策金利の差が拡大していると分かります。資金は、金利が高い通貨の方に動きやすいため、足元のチェココルナ円の上昇と、政策金利の推移とが合致しています。
日本の政策金利はゼロ金利のまま落ち着いているため、今後のチェココルナ円の動向は、チェコの政策金利の動き次第でしょう。
3.今後の動向をプロトレーダーが解説
今後のチェココルナ円の動向について、プロトレーダーの筆者が考察します。
チェコは政策金利の高止まりが予想されます。利上げが一旦ストップになっても、大幅にチェココルナが売られる展開は考えにくいでしょう。
チェコはギリシャのように対外債務が大きくもなく、ギリシャショックのような急落イベントが起きにくい国でもあります。チェココルナ円が下がったタイミングでは、買うのも戦略の一つでしょう。
短期的な地政学リスクとしては、ロシアとの関係性が良くない国であるため、原油等の制裁措置が発生して、国内のインフレが悪いインフレでさらに加速する可能性が挙げられます。ただし、ロシアは体力が落ちてきており、チェコまで侵略をするような動きは出ていません。
記事では、日本の政策金利がゼロ金利のまま20年以上推移しているため、チェコの政策金利の変動で、チェココルナ円も変動すると解説しました。しかし2023年3月には、日銀の黒田総裁が任期を迎え、次の総裁が就任することになります。
日本では物価上昇が大きくなってきており、インフレ対策は無視できない環境になっています。対策として日本の政策金利の見直しが予想されます。
ゼロ金利政策からの脱却が検討され、政策金利が引き上げられれば、一旦円高の動きが加速する可能性があります。政策金利が変更されなくとも、フォワードガイダンスのように、将来政策金利を引き上げる可能性を示唆するようなコメントが日銀から出てきた場合は、クロス円は円高方向で推移すると予想されます。チェココルナ円も円高圧力が掛かり、大きく下落する可能性があります。
ただしある程度円高が進行した場合でも、チェコの政策金利ほど日本が政策金利を引き上げる可能性は高くありません。チェココルナ円は売られ切れば、買い場になるでしょう。
2023年3月までは強気では買わず、急激な円高が発生したタイミングでゆっくりとポジションを作っていく戦略も、選択肢の一つとなるでしょう。
4.まとめ
本記事では、チェココルナの特徴や今後の動向を、プロトレーダーである筆者が解説しました。
チェコはあまり日本人には馴染みがない国ではあるものの、格付けも高く高金利であるため、投資先の一つとして検討してみてください。ただしチェココルナの流動性は低いため、急激な変動には注意しましょう。
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中島 翔
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