日本株投資とFX、どちらもトレードするメリットは?ポートフォリオの作り方も解説

※ このページには広告・PRが含まれています

日本株を中心に投資している方は、意外と多いのではないでしょうか。

例えば、ポートフォリオにドル円のショートを加えれば、日本株が下落した時のポートフォリオ全体の値下がり幅の抑制が期待できます。また、ポートフォリオに円以外の通貨を組み入れることで、通貨を分散でき、ポートフォリオ全体のリスクの軽減が期待できます。

本稿ではプロトレーダーの筆者が日本株に投資している方に向けて、FXをポートフォリオに取り入れるメリットを解説します。

※本記事は2023年9月4日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. 日本株とFXの関係性
  2. 日本株とドル円の関係性
  3. 日本株の投資家がFXを行うメリット
  4. 日本株とFXのポートフォリオの作り方

1.日本株とFXの関係性

日本株とドル円には、基本的には以下のような関係性があると市場では理解されています。

  • 日本株上昇=円安
  • 日本株下落=円高

日本は輸出大国であるため、円安に傾いたほうが利益が大きくなる企業が多く、円安が歓迎される傾向があります。一方でアメリカと欧州は、株高、金利上昇、ドル高という関係性が成り立っています。

株高と自国通貨安の関係性があるのは日本の特徴だと知っておきましょう。

2.日本株とドル円の関係性


※図はTradingView[PR]より筆者作成

上記はドル円と日経平均株価の関係性です。青色が日経平均株価で、水色がドル円です。日経平均株価が上昇する過程でドル円も上昇していることが分かります。逆に日経平均株価が下落する過程でドル円が下落しています。

市場状況によってはこの関係性が一時的に崩れる場面もありますが、総合的にみるとこの関係性が成り立っていると言えるでしょう。

日本株を運用している海外の機関投資家は多くの場合、日本の大型株が崩れる場面では、ドル円をショートにして株価の下落のヘッジとしています。個別株を大きく売れば株価に大きな影響を与えてしまうため、大きな金額を動かしても影響が出ない為替市場でヘッジを行っています。また自社の手口を見られたくないという意味でも、個別銘柄の売却は控えています。

3.日本株の投資家がFXを行うメリット

プロトレーダーの筆者としては、日本株に投資する場合は、FXにも投資するとメリットがあると考えています。

多くの日本株の投資家は、個別銘柄の詳細な分析にばかりを意識してしまい、大きな視点でマーケット全体を見ることが難しくなります。もちろんマーケットが好きで、為替市場まで分析している方もいるでしょう。

筆者自身は、投資を始めた頃は日本株の個別銘柄からスタートしました。投資初心者の頃は、個別の情報にしか目がいかず、日本株と米国株や為替との関係性までは理解できていませんでした。

大きな視点で経済や金融市場を捉えることで、日本全体の動きを確認することができ、個別銘柄の分析がよりしやすくなりました。「木を見て森をみず」にならないということです。

FXは世界全体の通貨を取引するため、アメリカ経済、ヨーロッパ経済、日本や中国、オセアニア地域等のニュースまでチェックする必要が出てきます。また金利差が為替市場で中長期的なトレンドを生み出しやすいため、各国の金利の動きをチェックする必要があります。

機関投資は、金利の高い通貨をロングにして金利の低い通貨をショートにすることで、金利差を享受することを狙うキャリートレードを行っています。2022年のドル円の上昇もキャリートレードによって中期的なトレンドが形成されました。

金利は株式市場にも大きく影響します。金利が上昇すると株価にはマイナスの影響を与えやすいと言われているため、世界の機関投資家が金利をチェックしていることは、知っておきましょう。

FXは各国の政策金利や金融政策などをチェックしながらトレードする必要があります。各国の金利政策や金融政策などを知ると、日本株の動向を予測する上でも役に立つため、日本株だけに投資している方も、FXの利用を検討してみてはいかがでしょうか。

また日本株に投資している場合、FXは株価下落のヘッジとしても利用できます。ドル円をショートにしておけば、株式市場が崩れた際の値下がり部分を、ドル円のショートによって抑制することが期待できます。

4.日本株とFXのポートフォリオの作り方

2023年8月現在、日本の政策金利は引き続きマイナス金利で推移しており、他国との金利差は拡大する一方となっています。しかし他国もインフレ抑制が進み始めており、ターミナルレートまで到達仕掛けていることから、更なる利上げというのは期待しにくく、新興国は利上げから利下げに転じている国もあるため、ここからの一段と日本と他国との金利差拡大は見込みにくいでしょう。

ただし日銀は緩和政策を継続する可能性があるため、日本の低金利を資産運用として活かすことは選択肢の一つでしょう。

FXのスワップポイントを利用すれば、長期的な資産形成が期待できます。ドル円のロング(買い)ポジションを保有すれば、FX会社によっては年率換算で5%程度の利回りで運用することができます。

今後長期的に円安が進むと考えている方は、ドル円がロングポジションを保有し、下落したタイミングで買増す投資戦略も、選択肢の一つでしょう。

ただしドル円のロングと日本株のロングは相関が高いため、リスクが高くなることに注意しましょう。イギリスポンド円やユーロ円など、日本株と相関が少ない通貨ペアを選択するという方法もあります。

円高になる局面では、日本株は下落しやすくなるため、完全に相関を無くしたポートフォリオの構成は難しいでしょう。しかし日本の政策金利を考えると、クロス円でのFXの資産運用は検討してみてもいいでしょう。

日本の国力が低下するとの意見が多くなると、恒常的な円安圧力が掛かりやすくなります。日本円以外の通貨をポートフォリオに組み入れることで、通貨が分散され資産価値全体のヘッジにもなります。

The following two tabs change content below.

中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12