夏は枯れ相場で円高に?季節性の値動きをFX戦略に活用する方法を解説

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FXにはアノマリーと呼ばれる、季節性の値動きの癖があると言われています。玉石混交で、FXトレードに使えないものもある一方で、投資家の動向を背景を反映したアノマリーもあります。

表面上の動きだけでなく「なぜそのような動きになるのか?」という理由まで理解することで、FX戦略に活かすことができます。

今回は、プロトレーダーである筆者がアノマリーについて解説します。

※本記事は2023年9月26日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. FXには売られやすい月、売られにくい月がある
    1-1.3月のレパトリエーション
    1-2.4月期初の買い
    1-3.セルインメイ
    1-4.夏枯れ相場
    1-5.10月以降の上昇
    1-6.クリスマスラリー
  2. アノマリーの注意点
  3. アノマリーの精度について考える

1.FXには売られやすい月、売られにくい月がある

アノマリーとは経験上や過去の値動きから観測できる、規則性のある値動きのことです。FXではアノマリーとして、売られやすい月や買われやすい月があります。時期ごとの特徴について解説します。

1-1.3月のレパトリエーション

3月はレパトリエーションというフローが起こるため、円高で推移しやすいという特徴があります。

レパトリエーションとは海外で売り上げている外貨を日本円に戻すというフローを指しています。3月は日本で本決算月となり、各企業が企業決算のため、一旦締める月です。

保有している外貨資産を日本円に転換して計算する必要性が出てくるため、円高に振れやすくなるのです。レパトリエーションのみで為替は動かないものの、実需のフローが出やすいことを知っておきましょう。

1-2.4月期初の買い

4月は国内企業が新年度入りするため、株価は上昇しやすく、株高になることでFX市場でも円安に動きやすいという特徴があります。

3月は円高に振れやすく、4月は円安に振れやすいということだけでも覚えておくとトレードが行いやすくなるでしょう。3月の月末付近でクロス円をロングで仕込んでおき、4月下旬までの上昇を狙うトレード戦略も一つの方法です。

1-3.セルインメイ

セルインメイは「5月に売れ」という意味であり、円高傾向になりやすいと言われています。なぜならば、多くのファンド勢は6月が決算であり、6月の数字をよく見せるために5月中に利益確定を行うフローが出やすいからです。

ファンドの解約は45日前ルールがあります。45日前に伝えないと解約できない契約があることから、5月に売りが出やすくなります。

ただし最近では「バイインメイ」と言われるほど、アノマリーが通用しない年も多くなってきているため、注意しましょう。

1-4.夏枯れ相場

7月下旬から8月は「夏枯れ相場」と言われており、株安、円高に振れやすいという特徴があります。

特に8月のパフォーマンスは円高が顕著に表れている月です。投資家が夏休みを取得する中、ポジションを増やすような動きにはなりにくいため、株安になりやすいと言われています。

クロス円の中でも豪ドル円は、8月のパフォーマンスが悪くなりやすい傾向があります。

株式市場も上昇しにくいため、8月は上昇方向でポジションを取る際には注意してください。一方で年間でも最安値をつけやすい月でもあるため、8月下旬で株やクロス円を仕込んで、秋以降の上昇を狙って儲けるという戦略も選択肢の一つでしょう。

1-5.10月以降の上昇

10月以降は株高円安になりやすいシーズンとなります。9月は日本の中間決算となっており、10月からは12月の海外の本決算を視野に入れたトレードになるため、10月から12月は株高になりやすいと言われています。

中間選挙の時は株安にならないというアノマリーもあります。

ドル円に関しても10月から年末にかけては上昇するアノマリーがあるため、季節性を考えてポジションを仕込むことができます。

1-6.クリスマスラリー

12月は米国市場で「クリスマスラリー」が起きることが多いと言われています。本決算月でもあるため最後に株式市場が上昇しやすく、米ドルは上昇しやすい傾向があります。12月は円安ではなくドル高要因でドル円が上昇しやすいということです。

クリスマスラリーは12月上旬で終わりやすい点に注意してください。クリスマスラリーが終わると、反転して下落しやすくなります。

2.アノマリーの注意点

アノマリーは、常に当てはまるわけではありません。時代の変化に合わせてアノマリーも変化するため、背景まで理解しておきましょう。

アノマリーだけでトレードするのではなく、トレード戦略を立てた上で、アノマリーと方向性が合っているかを確認する程度にしましょう。

3.アノマリーの精度について考える

アノマリーの精度は様々です。

プロトレーダーの筆者は、8月の夏枯れ相場や、秋口からのクロス円の上昇や株高を参考にしています。一方で3月のレパトリエーションの円高や、セルインメイは参考にしません。

FX戦略を立てる際にはアノマリーを参考に、中長期的なトレードに役立ててみてください。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12