アメリカで小売売上高とFOMC議事要旨が公表された。7月小売売上高は、①前月比±0(市場予想+0.1% 6月0.8%に下方修正)②自動車除く前月比+0.4%(市場予想-0.1%)となっており、ほぼ横ばいという数字となった。前月比ではガソリンが-1.8%と大きく落ち込んでおり、自動車や部品販売店の売上も-1.6%と落ち込みが大きい項目となった。
直近のガソリン価格の下落が数字に表れており、実質的には消費の落ち込みというよりは価格の下落によって売り上げがダウンしたと考えるのが自然だろう。
また衣料品店も-0.6%、総合スーパーも-0.7%と消費の減速する数字が出てきているため、経済が上向いているというよりは物価上昇が苦しいという印象にも見えるが、ガソリン価格の下落により、消費活動の底堅さに寄与したことは確認できる。
FOMC議事要旨では、FRBが引き続きタカ派スタンスを維持し、インフレ抑制に向けて強気で利上げを行っていくことが確認できる内容となったが、将来的には利上げスピードは落としていくことを示唆する箇所もあったことから、短期ゾーンの金利が低下する動きとなり、米ドルも下落する動きが見られた。
内容は、8月を含めたデータ次第で短期的には引き締めを強めることもあるため、その時点で判断するということのみであり、あまり大きな変化は見られていないというのが筆者の意見。
市場の動きは、足元株式市場が急激にショートカバー主導で持ち直していたことから、株式市場では若干調整の材料にした印象。米国のイールドカーブが示している景気の減速を無視して、株式市場が持ち直している。インフレ抑制に対して市場があまりにも楽観視し過ぎているコメントも出ていることから、株式市場は短期的に調整する場面もありそう。
また市場では、9月のFOMCで0.75%の利上げ期待から、0.50%の利上げ幅に収まるとの見方が強まっており、短期金利が上昇しにくい地合いとなっている。このことから、米ドルの上昇幅も限定的となりやすいため、ドル円も戻り売り選好が望ましいと考えている。
株式市場も割高水準になりつつある中、中国と欧州で景気減速が見られてることもあり、ここからの一段高は難しいと判断して良いのではないか。S&P500指数はレジスタンスラインまで到達しており、200日移動平均線も一旦達成したことから、この場面ではショートで勝負することでトレードしやすくなると考える。
中島 翔
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