金曜日は株式市場が大きく上昇しており、先週のインフレ鈍化の兆しが見えなかったCPI以降に織り込まれつつあった1%の利上げの可能性は低下した動きとなった。
背景に、金曜日に発表されたミシガン消費者信頼感指数や、足元のコモディティ価格の下落が投資家に認識され始めていることが背景としてあると考えられる。
まず金曜日のミシガン消費者信頼感指数の数字は①現況指数51.1(前月50.0)②期待指数47.3(前月47.5)③5年先インフレ期待2.8%(前月3.1%)④1年先インフレ期待5.2%(前月5.3%)となった。
ミシガン消費者信頼感指数を見ると足元はそこまで悪くない数字が出ているものの、総じて将来に対してのインフレ懸念は鈍化している。またセンチメントも悪化しているということが数字が読み取れることから長期金利中心に金利低下の動きとなっている。
小売売上高は前月比が市場予想を上回る伸びを見せていたが、ポイントとしてインフレ調整後の数字では支出がそこまで伸びておらず、決して購買意欲が上昇しているというわけではない。あくまでインフレの影響によって数字が伸びているということに注意。
また、アトランタ連銀のボスティック総裁が7月FOMCでの1%の利上げに対しては消極的な姿勢を見せたことも金曜日の相場には影響した格好(*1)。現在7月のFOMCでの予想で一番多いのは0.75%の利上げとなっているが、今後インフレ動向には注意するのは必須だろう。
そこで、コモディティ価格の値動きについてのチャートに着目したい。水色が天然ガス、青色が原油、紫が銅価格、黄色がダウジョーンズの穀物価格指数、オレンジが小麦の価格となっており、年初を100としてチャートの動きが示されている。
そして、景気と連動するとも言われている銅価格は、年初の水準を下回っていることや、ロシアがウクライナに侵攻して穀物や小麦価格が高騰していたが現在はその上昇分はなくなっているというのが現在の状況。
これらのことから、来月のCPIは落ち着きを取り戻すと見ることができ、株式市場も米国決算シーズン以降は大幅な下落が起きないのではないかと市場では見られていると筆者は考える。
【参照記事】*1 ブルームバーグ「アトランタ連銀総裁、7月会合で1ポイント利上げ支持しない考え示唆」
中島 翔
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