為替介入でドル円はどうなる?過去の動きと相場の反応を解説

2022年9月現在、市場では日本が為替介入を行うのかどうか注目が集まっています。

プロトレーダーである筆者としては、このままドル円が145円以上の水準でも止まらない場合は、為替介入は一度行わざる得ないと考えています。短期的な円高は、FXで収益を出すチャンスとなる可能性があります。

そこで今回は、過去の為替介入時の値動きと、今回為替介入があった場合のドル円の値動きの予想を解説します。

※本記事は9月20日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 為替介入とは
  2. ドル売り円買い介入の過去の歴史
  3. 1998年と現在の違い
  4. 為替介入は行われるのか?
  5. 為替介入が実際に起きた場合、短期的な円高は狙い目?
  6. 円高トレンドに回帰するイベントで考えられることは?
  7. まとめ

1.為替介入とは

為替介入について確認してみましょう。

為替介入とは、外国為替市場に介入することを指しています。為替が一方方向に行き過ぎていて経済に悪影響を与えると、各国の政府や中央銀行が判断した場合に通貨当局が直接資金を投下して為替市場に操作を加えます。

為替介入の正式名称は「外国為替平衡操作」です。日本の場合は財務大臣の権限の下で行われます。

実際には日本銀行が財務省の代理人となり、為替市場に介入するための注文を出します。先日、日本銀行担当者が、介入する場合の為替レートをチェックするために、メガバンクに電話で確認したという動きが出ました。これは、「レートチェック」と呼ばれます。

レートチェックは、為替介入の一歩手前の作業です。レートチェック後にも、為替市場が止まらない場合は、介入を行うという順番になります。

為替介入は単独介入と協調介入があります。協調介入では、2カ国以上の中央銀行が揃って介入を行います。為替のトレンドが変化する程の、大きな効果が期待されます。東日本大震災の時に円高が進み、G7は円売り介入を行いました。

一方で単独介入は、一国の中央銀行が行います。一時的に効果があるものの、トレンドを変化させるまでには至らないと言われています。2022年9月現在、マーケットが注目しているのは、日本の単独介入です。

為替介入がある場合には、単独介入か協調介入かをまずチェックしてみてください。

2.ドル売り円買い介入の過去の歴史

過去には1998年6月17日に、ドル売り円買い介入が行われました。日本とアメリカが協調で行い、効果が期待されていました。

当時、FRBは利上げスタンスで金融政策を行っていました。そのため、ドル売りの介入に対しては消極的な姿勢を見せると考えられていました。しかし、日本と協調で為替介入を行ったため、市場にとってサプライズとなりました。

しかし協調介入でもドル円の上昇は止まらず、8月には147円の高値をつける動きとなりました。日米協調介入でもトレンドは変わらなかったことが、過去の為替介入のポイントです。

ドル円チャート
※図はTradingViewより筆者作成

上記のチャートの黄色の○印の位置が1998年に天井をつけた位置です。1998年は、日本は130円台から単独介入を行っていました。

しかし上昇が止まらず、140円を超えてからさらに円買い介入の姿勢を強めています。結局上昇トレンドを転換させることはできず、加速する動きとなりました。

6月に日本とアメリカの協調介入を行いました。しかし、結局トレンドを止めるまでの圧力を加えられませんでした。

ドル円の上昇トレンドが終了した理由は、介入ではありませんでした。ロシアの財政破綻からのルーブルショックが原因です。ファンドの倒産危機が発生し、リスクオフの地合いから円高トレンドに急転換しました。

3.1998年と現在の違い

では、1998年と2022年9月現在の円安相場を、同じように考えていいのでしょうか?プロトレーダーである筆者としては、経済環境が全く異なるため、一緒に考えてはいけないと思います。

1998年と現在の市場環境は、「悪い円安」という意味では同じです。しかし、当時は円安と株安が一緒に進行し、日本の資産が海外に移転される動きが続くと連想されました。デフレ圧力が強まった時期でもあります。

しかし現在の経済環境はインフレと円安が進行しているものの、株価を見てみると大幅な下落には見舞われていません。日本の資本が海外に逃げていくような懸念は、高まっていません。

4.為替介入は行われるのか?

現在すでに日銀のレートチェックが完了しています。このままドル円が145円以上の水準でも止まらない場合は、政府が為替市場を放置していると見なされないように、介入は一度行わざる得ないでしょう。為替市場の過度な変動は止めるスタンスを市場に見せないと、トレンドが継続してしまうものです。

財務大臣や黒田総裁は、何かしらの対策を講じるとはっきりと述べています。今後再度円安方向で推移した場合は、一度為替介入が行われると考えておいた方がいいでしょう。

参考:ブルームバーグ「円安阻止で介入選択肢に鈴木財務相が言及、レートチェックも実施

5.為替介入が実際に起きた場合、短期的な円高は狙い目?

為替介入は、単独介入での効果は乏しく、トレンドは転換しないと、過去の動きからは予想できます。為替介入によってドル円の上昇トレンドが変化し、再度100円を割れて、90円方向に向かう可能性は低いでしょう。値動きは数円程度で、介入が終わった後に、大きな反発が生じる可能性もあります。

短期的な円高は狙い目と言えます。円高に振れたタイミングで、細かくエントリーポイントを分散させながら、ドル円のロングポジションを構築することも、選択肢の一つでしょう。

6.円高トレンドに回帰するイベントで考えられることは?

為替介入を行っても円安トレンドが修正されない場合、日銀が金融政策を変更すれば、円高トレンドに回帰する可能性があります。

日本は、2022年9月現在、緩和政策を維持しています。アメリカなどの他の先進国は利上げを行っており、金融政策の明確な方向性の違いが円安進行の大きな材料です。

黒田総裁の任期中は、金融政策の変更される可能性は低いと、多くの市場関係者は考えています。それ故、緩和終了のサインが出るだけでも、市場にとっては大きなサプライズとなります。注意が必要です。

7.まとめ

今回は、過去に行われた為替介入の影響と、今後為替介入が行われた場合の値動きの予想を解説しました。プロトレーダーである筆者としては、為替介入によって短期的に円高になるタイミングは、ドル円で儲けるチャンスだと考えています。

ただし、FX相場は急変する可能性があります。投資は余剰資金で行い、エントリーポイントを分散させるなど、リスク管理を行いながら、FXトレードを行いましょう。

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中島 翔

中島 翔

学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12