FXでは新しい材料が出たときに、現時点でどの程度市場に織り込り込まれているかを把握しておく必要があります。
相場の織り込みについて理解を深めることで、スワップポイント狙いの長期運用や、数ヶ月スパンでポジションを保有する際に投資戦略を立てやすくなります。
この記事では、利上げの織り込みについて解説します。また、利上げ織り込みを活かしたトレード戦略を紹介します。参考にしてみてください。
※本記事は5月17日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。
目次
- 相場の織り込みをトレードに活かす方法を解説
1-1.織り込みの概要
1-2.2022年6月時点の相場と織り込みの考え方
1-3.織り込み度合いを考える上での注意点 - 利上げ織り込みを活かしたトレード戦略を紹介
- まとめ
1.相場の織り込みをトレードに活かす方法を解説
1-1.織り込みの概要
最初に相場の織り込みについて説明します。
相場の織り込みとは、相場を動かす材料が、すでに価格に反映されていることを指します。織り込み度合いが足りないと判断した際に、FXでポジションを取っていきます。
「相場は全ての事象を織り込んでいる」と言われています。一方で、投資家としては値動きを考える上で、本当にそうなのか?と疑っていく必要があります。
1-2.2022年6月時点の相場と織り込みの考え方
2022年6月、世界各国の中央銀行はインフレ対策を行っています。インフレを利上げで抑制するという方法で動いており、世界の中でもアメリカは積極的に利上げを行っています。
2022年2月から始まったロシアのウクライナ侵攻によって、世界のサプライチェーンの混乱から物が不足する事態に陥ってきており、より物価の高騰が目立ち始めました。
米金利の先物市場では、既に年末までに2.50%-2.75%付近までの利上げが価格に反映されています。投資家の利上げ回数の予想が、既に金利に織り込まれているということです。
米金利の上昇は米ドルの強さにも反映されており、米国株式市場にも影響しています。
1-3.織り込み度合いを考える上での注意点
次に織り込み度合いを考える上での注意点を説明します。米国の織り込みを考えた時に、年末まである程度の利上げを織り込んでいると説明しました。
実際にこれからマーケットが予想した通りFRBが実際に利上げを行うと、米ドルは上昇するのかを考えてみましょう。上昇しにくいと言うのが答えです。
既に利上げが予想されている状態が現在の水準であるため、利上げが予想通り行われても米ドルは小幅な値動きになると考えられます。
FX初心者の場合、利上げをこれからするから米ドルを購入しておこうと考える人もいるでしょう。しかし、既に利上げを行った後の水準が米ドルの現在の水準と考えらえます。
これから米ドルがさらに上昇するのは、利上げのペースが速まるなど、より積極的な利上げ姿勢が打ち出されたときでしょう。
株式市場も同様に利上げが行われることを想定して株式市場が動いています。足元の大幅下落は利上げをある程度織り込んでいると考えられるのです。
価格が形成されている要因は他にも様々あるものの、利上げの織り込みは大きいと言えます。そのほかの要因が変わらず、利上げがストップし、利上げの織り込みが剥落した場合、株式市場は現在のマーケットの予想以上に強くなる可能性があります。
2.利上げ織り込みを活かしたトレード戦略を紹介
FXの場合、2国間の通貨の強弱が為替レートに影響します。今後利上げを行いそうな通貨や、経常収支が黒字で通貨高に向かいそうな通貨を買い、利上げが価格に織り込み済みの通貨を売るというトレード戦略があります。
2022年6月の相場であれば、米国の利上げが今後早くならないと予想し、取引を行う対米ドルの通貨で強くなりそうな通貨を探すという方法があるでしょう。
今後利上げを行いそうな国の通貨としては、ロシアの影響を大きく受けて物価が上昇しているユーロ圏や、イギリスが挙げられます。また、ロシアの貿易が縮小する中、ロシアの資源代替国として大きく貿易量が伸びているオーストラリアも可能性があります。
3.利上げが行われる要因は?
2022年6月現在、中央銀行が利上げを行う理由は2点考えられます。
- ユーロ圏やイギリスのように、物価の上昇が止まらないためインフレを抑制する目的で行う「悪い利上げ」
- オーストラリアのように経常黒字が大きくなり、景気が良好になる可能性がある「良い利上げ」
利上げを行えば通貨高になると考え、ユーロ、ポンド、豪ドルの3通貨を対米ドルで買い(ロング)ポジションを取るという戦略も考えられます。
ここで注意すべきは利上げのスピードです。どのくらい早く利上げするのか、各通貨ごと予想しなければなりません。
実際に予想通り利上げした場合でも、その後消極的な姿勢となった場合は、政策金利の差により米ドル買いのポジションの方が、長期的にスワップポイントで有利になる可能性があります。米ドル売り(ショート)のポジションを構築する際、スワップポイントの払いがある場合は、保有期間を短期にした方がよいでしょう。
4.まとめ
ここでは相場の織り込みというテーマで解説しました。
一番FX初心者に対して伝えたいことは、「利上げが今後行われるから通貨高になるとは限らない」ということです。ファンダメンタルズをしっかりと理解することによって、トレードでの負けの確率を減少させることができます。
織り込みの判断は金利や株式市場、経済指標や各国高官のコメント等色々な材料から包括的に判断する必要があるものの、慣れることで自分なりの判断軸が出来上がってくるでしょう。
中島 翔
最新記事 by 中島 翔 (全て見る)
- 韓国のカーボンニュートラル政策を解説 2050年に向けた取り組みとは? - 2024年10月7日
- NCCXの特徴と利用方法|ジャスミーが手掛けるカーボンクレジット取引所とは? - 2024年10月4日
- Xpansiv(エクスパンシブ)とは?世界最大の環境価値取引所の特徴と最新動向 - 2024年9月27日
- VCMIが発表したScope 3 Flexibility Claimとは?柔軟なカーボンクレジット活用法を解説 - 2024年9月27日
- 銀行預金のリスクとは?インフレ時代に必要な資産形成の基礎知識を解説 - 2024年9月25日