FXで安定した金利収入を狙う方法は?FX会社間のスワップポイント差を利用した方法を解説

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レバレッジを利用して資金効率を上げることができるというメリットから、FXに挑戦したいと考えている方もいるでしょう。一方でFXは危険な投資方法であり、高いリスクがあるものにはあまり投資したくない方もいるでしょう。

実はFXでは、タイミングによっては為替の値動きに振り回されることなく、安定的に資産運用を行うことも可能です。2つのFX会社間のスワップポイントの差に着目するのです。

2022年5月現在、日本を除く多くの国が利上げしています。米国や豪州のような国と日本の金利差が開いてきているということは、スワップポイントで収益を得るチャンスが増えているということです。

記事ではスワップポイントを利用した方法を具体的に紹介しています。FXを利用して安定的な運用をしてみたい方はぜひ参考にしてみてください。

※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. FXのスワップポイントの概要
  2. アービトラージの概要
  3. FXのアービトラージの方法
    3-1.各社のスワップポイントをチェックする
    3-2.スワップポイントアービトラージの運用方法
  4. スワップポイントアービトラージの注意点
    4-1.証拠金維持率に注意すること
    4-2.スワップポイントの日々の変動には注意すること
    4-3.政策金利の変更には注意すること
  5. まとめ

1.FXのスワップポイントの概要

最初に紹介する手法のポイントとなる、スワップポイントについて解説します。

スワップポイントとは通貨ペアの2国間の通貨金利の差から発生する金利のことです。FXの世界ではスワップポイントは毎日付与されます。シンプルに「通貨金利の差から発生する金利」と覚えておきましょう。

2.アービトラージの概要

次にアービトラージを説明します。

アービトラージとは裁定取引と言われるものです。これは割安な投資対象と割高な投資対象を見つけて、その価値が収斂する動きに着目して投資を行うものです。

割安なものがあれば購入しておき、割高なものを売却しておくことで、価格が同一になればその間の価格差が利益となります。同じ商品でも、一時的に価格がズレたり価値の評価が異なったりするため、この差を利用するということです。

FXでのアービトラージは、スワップポイントの価値の評価のズレを利用して行います。

例えば、ドル円であればスワップポイントとなる政策金利というものは当然一つしかなく、同じです。しかしFX会社が顧客に対してどのくらいのスワップポイントを提示するのかというのは会社毎に異なります。

そのため、FX会社間のスワップポイントの差に着目すれば安定したトレードできるということです。

では次に実際にどのくらいスワップポイントにズレがあるのかチェックしましょう。

3.FXのアービトラージの方法

3-1.各社のスワップポイントをチェックする

最初に各社のスワップポイントをチェックしましょう。例としてGMOクリック証券(FXネオ)のトルコリラ円のスワップポイントを使って解説します。

DMMスワップポイント
出典「GMOクリック証券 スワップカレンダー

5月6日のスワップポイントは買いが1lot(1万通貨あたり)19円、売りが-22円となっています。

次にIG証券のスワップポイントを確認しましょう。

IGスワップポイント
出典「IG証券 スワップカレンダー

5月6日のスワップポイントは買いが1lotあたり55円、売りが-82円となっています。

このように政策金利が同じでも、スワップポイントはこのように各社異なっています。

3-2.スワップポイントアービトラージの運用方法

次にどのようにすれば安定的に運用できるのか、筆者の考える手法を解説します。

まずGMOクリック証券でポジションをショートポジションで1lotエントリーします。次にIG証券でトルコリラ円を1lotロングにします。

もしもトルコリラ円が円安に進み、1円ほど変動した場合は、GMOクリック証券の場合評価損失で1万円という含み損が発生します。一方でIG証券はロングポジションで保有しているため、1万円ほどの含み益が発生します。

つまり評価損失は両者で0となります。ただし、最初はスプレッドがかかるため、実質的にはスプレッド部分だけ負けているということになります。

そして次にスワップポイントを見てみましょう。

1日あたりGMOクリック証券のポジションは−22円が発生します。IG証券の場合は1日55円プラスとなり、差し引き33円スワップポイントとして得られるということになります。

トルコリラ円がもしも1トルコリラ10円とした場合、レバレッジ1倍を利用すると過程して1万通貨をロングするためには10万円が必要となります。また1万通貨をショートする場合にも10万円が必要となるため、両者で総額20万円の証拠金が必要となります。

スワップポイントは1日33円の利益が出ると考えた場合年間で得られるスワップポイントは、33円×365日=12,045円です。証拠金20万円で利回りに換算した場合、6.02%が為替変動リスクを取らずにスワップポイントのトレードで得られる金利となります。

為替変動リスクを取らずに、これだけの利回りを得ることができるメリットがあります。

次にこのトレードの注意点について解説します。

4.スワップポイントアービトラージの注意点

4-1.証拠金維持率に注意すること

レバレッジ1倍の場合は注意する必要はないものの、この方法では、多くの場合片方のFX会社のポジションは大きくマイナスになります。特にトルコリラ円は、10年以上右肩下がりとなっています。トルコリラ円をロングにしているFX会社は評価損が大きく膨らむ可能性があるとも考えられるでしょう。

当然ショートしているFX会社で評価益が積み上がっているため、トータルでは損失は出ていません。しかし、放置するとロングポジションが清算されてしまう可能性があることに注意してください。

上記のトレード方法はレバレッジ1倍で6%以上の利回りであるため、レバレッジ2倍で運用すると利回りは12%となります。利益に目が眩み、レバレッジをかけすぎないようにしましょう。

4-2.スワップポイントの日々の変動には注意すること

次にスワップポイントは日々変動しています。FX会社は常に同じスワップポイントを提供しているわけではなく、急な変更もよくある動きになります。

そのため放置をしてしまうと、気づいたらスワップポイントでロングとショートが逆転していたということにもなりかねません。数日に1度くらいはスワップポイントに問題がないか確認するようにしましょう。

4-3.政策金利の変更には注意すること

政策金利が変わるとスワップポイントは変更されます。そのため自身が運用している通貨の中央銀行政策金利の公表日だけは必ずチェックするようにしましょう。

政策金利が変更されるとスワップポイントも翌日から変更となります。特にトルコのような国では政策金利を数%急に引き上げたり、引き下げたりすることもあるため要注意です。

5.まとめ

ここではスワップポイントのアービトラージについて解説しました。

比較的安定して日本の預金金利よりも利回りが高い状態で運用できるため、FX初心者でも行いやすい手法です。

投資初心者は証拠金維持率の管理に慣れるまで、まずはレバレッジを1倍に設定しましょう。政策金利は変わるため、ほったらかしにせず、定期的にチェックしてください。

仕組みが理解できれば特別なテクニックは不要です。この記事を参考に、利用の開始を検討してみてください。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12