2023年のFX市場相場まとめ 米株・米国債・金相場や2024年のポイントも解説

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2023年もいよいよ残りわずかとなりました。2023年の相場は、2022年に続き大きな値動きを見せました。特にドル円の値動きは、2023年の年初に予想されていた展開とは全く異なり、難しい相場だったでしょう。

本稿ではプロトレーダーの筆者が、2023年の値動きを振り返りつつ、2024年のポイントを解説します。是非参考にしてみてください。

※本記事は2023年12月18日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。


目次

  1. 2023年の相場動向の総括
  2. 2023年のドル円の動き
  3. 2024年のポイント
    3-1.アメリカの利下げペース
    3-2.日銀の金融政策
    3-3.日米金利差
  4. まとめ

1.2023年の相場動向の総括

まずは2023年の相場を整理しましょう。ドル円は青色、S&P500が黄色、米国債の10年金利は水色、ゴールドは赤色で示しています。
2023年の相場
※図はTradingView[PR]より筆者作成

2023年の年初から見ると、水色で示した米国債の10年金利は、3.50%台から4.90%台に上昇し、ドル高の地合いとなる中で、ドル円は130円台前半から151円台まで20円以上上昇しました。S&P500指数は、3,900付近から4,500台に上昇しています。セオリーでは金利が上昇すると株の上値が重くなりやすくなるものの、実際の相場では、株式市場は堅調な地合いとなりました。

ゴールドはリスク回避資産であり、株高の局面では下落しやすい傾向がある一方で、2023年は1,800ドル台から2,000ドル台へ大きく上昇しました。

2023年の年初の時点では、アメリカのインフレが収まる気配が出てき始め、金利低下が進む中で、ドル円は2022年に記録した151円台を天井に下落する展開が予想されていました。しかし、ドル円は一度130円台まで下落した後、再度上昇に転じました。

このように、予想は当たることもあれば外れることもあります。毎年年初には、アナリスト予想が発表されますが、参考程度に捉えておきましょう。

2.2023年のドル円の動き

2023年のドル円
※図はTradingView[PR]より筆者作成

2023年のドル円市場を確認しましょう。2023年は1年を通じてアメリカの経済指標が強く、ドル高に推移しました。また日銀のスタンスにも変更がなく、植田新総裁が緩和政策を堅持したため、円ショート以外の戦略を取りにくい相場環境となりました。

有事の際には円高になりやすい傾向があるものの、中東での戦争が勃発した際にも円高にはならず、むしろ有事のドル買いとなり、ドルが選好されました。

一方で、ドルインデックスを見ると、実は10月を天井に下落しています。
2023年ドルインデックス
※図はTradingView[PR]より筆者作成

2023年10月以降のドル円の上昇は、ドルが買われて上昇しているのではなく、日本円が売られてドル円が上昇、もしくは底堅くなった結果だと分かります。また12月の急落は、日本円のショートが一気に買い戻されたことが理由となっています。

3.2024年のポイント

3-1.アメリカの利下げペース

12月のFOMCでは予想外にハト派となり、短期金利市場では年間1.5%の利下げが織り込まれ始めました。ただし、必ず利下げが行われるとは限りません。

今後は、一旦織り込まれた利下げ織り込みが維持されるかがポイントになります。もし更に利下げが織り込まれれば、米ドルは下落するでしょう。

ただし、利下げが一段と織り込まれたタイミングでは、市場が敏感に反応し過ぎていないかを疑ってみることも必要です。2023年12月現在は、FRBがハト派に転換する姿勢を見せているため、ドル安トレンドは継続しやすい環境ではあるものの、2024年にドル安が進行した場合は、慎重にトレンドを見極めましょう。

3-2.日銀の金融政策

ドル円は、日銀の金融政策が値幅を左右する展開になりそうです。2023年は、日銀が緩和姿勢を崩さず円安が進行しましたが、12月の植田総裁の発言によって日銀の金融政策の変更が意識され、一気に円高が進行しました。

日銀がマイナス金利を脱却し、政策金利を変更する場合には、戦略内容やペースに焦点が当たるでしょう。

プロトレーダーの筆者としては、2023年の大きなトレンドとして、円高トレンドが継続すると考えています。すでに日銀内部では、金融政策の変更に備えて様々な戦略が検討されていると噂されており、投資家としても政策変更は意識したほうがいいでしょう。

3-3.日米金利差

米国が利下げし、日銀が緩和政策を転換した場合、ドル円が下落する可能性があります。ただし相場には波があり、予想外な動きになることも少なくありません。

2023年12月現在、日本と米国の金利差は拡大しており、スワップポイントがマイナスになるため、ドル円のショートは長期的には保有しにくい状況です。また、日本円のショートポジションも積み上がっており、買い戻しによって下落が継続し、ポジションが調整すれば、ドル円が大きく下落しない可能性があります。

ドル円は130円付近まで下落する可能性があるものの、底堅く推移すれば、再度ドル円のロングポジションを構築し、金利差で稼ぐキャリートレードを再開する海外投資家も出てくるでしょう。

4.まとめ

本稿では、ドル円を中心に2023年の相場や、2023年のポイントを解説しました。

予想はあくまで現時点で分かっている材料から導き出しているため、当たることもあれば外れることもあります。本稿を参考に、2023年の総括をしつつ、2024年に向けて準備してみてください。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12