外国為替市場には、株式市場と違い特定の取引所が存在しないため、決められた取引時間はありません。FXは相手と合意すれば、土日でも取引は成立します。
しかし、実際は土日に取引相手を探すことは難しく、基本的に土日を除いた24時間取引可能となっています。24時間世界中のどこでも取引は可能なため、時間帯によって値動きに特徴があります。
今回はFXの取引時間と、各時間帯の特徴について説明します。
目次
- FX取引可能時間は?
- 東京時間とは?
- FXの変動要因は?
- 東京時間の値動きの特徴
4-1.実需
4-2.金融政策
4-3.経済指標と株の値動き
4-4.材料がなくなる午後
4-5.1日のサイクル - 手軽に始められるFX会社は?
- まとめ
1.FX取引可能時間は?
株式の取引は証券取引所が開いている時間しか取引できません。しかしFXでは、取引所ではなく、「インターバンク市場」といわれる世界中の銀行による外国為替取引のためのネットワークを通じて、売買をする当事者同士が相対して行います。
取引時間に縛られず、平日24時間、世界のどこからでも取引ができるようになっています。例えば日本が祝日でも、海外市場が開いている場合は取引することが可能です。海外のサマータイム適用期間によって差はありますが、基本的には日本時間月曜日3:00頃~土曜日6:00頃まで取引が可能です。
ニュージーランドのウェリントンの早朝取引からシドニー、東京と順にメインの参加者が移り変わっていき、香港・中国・シンガポール・欧州大陸、ロンドン、ニューヨークを経て一日の取引が一巡します。
2.東京時間とは?
「東京時間」に明確な定義はありませんが、日本人の参加者がメインとなっている時間帯、7時から15時くらいを指すことが多いです。7時より前を月曜日なら「シドニー時間」・「オセアニア時間」、それ以外の曜日であれば「NY時間後半」という言い方をします。
15時以降は、東京の参加者も残っていますが、欧州大陸やロンドンの参加者がメインとなるため「ロンドン時間」と呼ばれます。21時くらいからニューヨークを中心とした北米勢が加わり、この辺りから「ニューヨーク時間」と言われるようになります。
ニューヨークの午前中はロンドン勢が積極的な取引をしている時間帯と重なって残っており、東京の参加者も一部残っています。そのため一日で最も流動性が厚い時間帯になります。その後、0時(ロンドン16時)を過ぎると徐々にロンドン勢が、ニューヨーク勢だけになり流動性が減った状態で、シドニーや東京に引き継がれます。
FXは、取引を行う時間帯によって値動きに一定の傾向が見られることや、取引されやすい通貨ペアがあることから、時間帯ごとに異なる特徴が存在しています。その中でも特に通貨の取引量が多い、ロンドン、ニューヨーク、東京の為替市場は世界三大市場とよばれています。
3.FXの変動要因は?
FXは株や債券などと違い下記のような多くの変動要因及び特徴があります。
- 金融政策
- 財政政策
- ファンダメンタルズ
(例:為替の主な変動要因は金融政策、GDP、インフレ(CPI)、雇用情勢、個人消費などの国の経済全体を表すもの) - 二国間の強弱で相場が動く
- 二国間とは関係がない理由でも相場が動く
- 参加者が多種多様、参加者が多く、値動きの特性に変化が多い
- 24時間世界のあらゆるニュースに反応
- 実需(売り切り、買い切り)取引が存在する
- 国同士の利害関係上、一方的な上昇・下降となりにくい
(例:米ドル/円が一方的に円高方向に下がると日本の輸出企業にダメージがあることから政府の買い入れなどが生じる)
(例:石油価格が上昇したら、NOKJPYが上昇した)
4.東京時間の値動きの特徴
ここでは、東京時間の値動きの特徴を5つご紹介します。
4-1.実需
特にゴトウビ日といわれる5と0のつく日は、輸入企業の決算日であることが多く、海外への支払いのためにドルが多く買われる傾向にあります。そのため仲値が決まる9時55分まではドル円の値動きが活発になります。
4-2.金融政策
東京時間に発表される国の中では、日本銀行・RBAの政策決定会合や、毎日の中国元のFIXINGに影響されることが多いです。金融緩和が大きく行われていた2012-2016年近辺は、日本銀行の発表により、相場の急変が起こることが多くありました。
RBAは金融政策を大きく変えることが多く、意識する必要があります。中国の場合は、毎日の元のFIXINGのレベルが当局の相場の方向に対する意思とも考えられています。
4-3.経済指標と株の値動き
金融政策と違い日本の経済指標にはほぼ反応しません。しかし日経平均株価の値動きに反応することがあります。日経平均採用銘柄の大部分を輸出企業が占めており、円安になると輸出企業に有利とみなし日経平均株価も上昇傾向が世の中に認知されていることから、先に日経平均が上がっても円安になりやすい傾向があります。
その他の東京時間の変動要因は、オーストラリアと中国の経済指標や、また中国の場合、上海株の値動きも相場に影響を与えます。
マザーマーケットとして被っているオセアニア通貨や人民元は比較的動きやすい傾向にある一方で、その他の地域の通貨の値動きは限定的になります。例えば、リスクオンの地合いとなり、資源国であるAUDが買われていたとしても同じ資源国のCADの値動きは鈍くなります。
4-4.材料がなくなる午後
東京仲値が9時55分、それから人民元のFIXING、オーストラリアの指標も午前中に発表されますので、それらが終わると午後からロンドン勢が参入してくる15時くらいまで落ち着きます。
4-5.1日のサイクル
時間 イベント及び相場の傾向
7:00 | 参加者が増えてくる時間。 |
8:30~8:50 | 日本の経済指標発表。四半期に一回発表される日銀短観で相場が動くことがある。 |
9:00 | 日本の輸出や輸入企業がマーケットに参加してくる。 |
9:55 | 為替の仲値決定。10分くらい前から需給の偏りの方向に動き出す。5・10日が付く日付は輸入企業の決済が多くドル買いに動きやすい。 |
10:15 | 人民元FIXING |
9:30 or 10:30 | 豪州の経済指標発表時間。豪ドルに絡んだ通貨ペアが動く傾向がある。 |
11:00 | 中国の経済指標発表時間。人民元と中国と関連が深い豪ドルが動く。 |
15:00近辺 | ロンドン勢が参入し始める。東京時間の高安に溜まったストップオーダーを粉砕して、新たな流れをつくることがある。 |
15:00~19:00 | 欧州、英国の経済指標発表時間。トレンド発生のきっかけとなることがある。 |
21:30 | 米国経済指標発表時間。日・欧・米の3拠点が参加して勢いがある。 |
0:00 | ロンドン16:00フィキシング時間。これが終わるとロンドン勢は帰宅するため流動性が落ちる。 |
3:00近辺 | シカゴ先物市場の取引清算に合わせ、ポジションをクローズする動きが出やすく、それまでのトレンドと反対の動きをすることがよくある。 |
6:00~7:00 | NY勢が帰宅、日本勢も出社前で市場が静かになる。 |
5.手軽に始められるFX会社は?
LINE証券株式会社のFXサービスである「LINE FX」。LINE証券株式会社は、野村證券の親会社である野村ホールディングスとLINEの子会社であるLINE Financialが共同開発したFXサービスです。また、1,000通貨から取引を行うことができます。
LINE PayやLINEポイントなども利用しながら、投資初心者でも貯金をする感覚で投資を始めることができるため、FXを始めようと思っている方は検討を進めてみてはいかがでしょうか。
6.まとめ
世界に影響を与えるような材料が出てきにくい時間帯のため、東京時間はロンドン・ニューヨーク時間帯と比べると、為替変動の幅が小さい傾向があり、比較的狭い値幅を行ったり来たりするレンジ相場になりやすいといわれています。
世界への影響力が大きいるのは欧米であり、経済指標だけでなく、政治家や中銀関係者などの要人発言も欧米時間に出てくることが多いことが影響しています。為替変動の幅が小さい取引を想定したポジションが積み上がっているため、何かをきっかけに一旦値幅を抜けてしまうと、一気に加速し瞬間的に大きな値幅となることがあります。
各時間帯の特徴を捉えながら、時間帯に合った取引プランを立てて取引を行いましょう。
中島 翔
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