景気サイクルを活用したFXトレードの方法は?米ドル利益確定のポイントも解説【2022年11月】

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景気には、好景気、不景気のサイクルがあります。景気サイクルは、FXにも密接に関連しています。

今回はプロトレーダーである筆者が景気サイクルの概要や、2022年11月現在の相場を解説します。米ドルを保有している方へ向けて、利益確定のタイミングのポイントも紹介します。

※本記事は11月24日時点の情報です。最新の情報についてはご自身でもよくお調べください。
※本記事は投資家への情報提供を目的としており、特定商品・ファンドへの投資を勧誘するものではございません。投資に関する決定は、利用者ご自身のご判断において行われますようお願い致します。

目次

  1. 景気は4つのサイクルに分けられる
    1-1.金融相場
    1-2.業績相場
    1-3.逆金融相場
    1-4.逆業績相場
  2. 景気サイクルをどのようにFXに利用するのか?
  3. 2022年11月現在の景気はどのサイクルに当てはまるのか?
  4. 米ドルのポジションを反転させるタイミングは?
  5. まとめ

1.景気は4つのサイクルに分けられる

1-1.金融相場

景気サイクルは、4つに分けられます。

1つ目は金融相場です。景気回復時の状態を指しています。

金融相場のタイミングでは、国や中央銀行が景気悪化を背景に景気刺激策を打ち出し、市場の金の巡りを良くすることで株価等が反応する傾向があります。企業業績が回復する期待から、バリュエーションが割高でも買われる地合いになりやすくなります。

ディフェンシブ銘柄よりも、景気敏感銘柄が選好されやすくなります。米国市場は、株高・金利低下・ドル安で推移しやすくなります。

1-2.業績相場

2つ目は業績相場です。業績相場では金融相場の次のサイクルです。金融相場で景気刺激策を受けて、回復した後の相場を指しています。

金融相場では、マクロ全体が上昇する動きになります。一方で業績相場は、投資家が景気全体ではなく、企業の業績を見られながら動く傾向があります。

割高銘柄は、買われにくくなります。セクターごと異なる動きを示し始める特徴もあります。

このタイミングでは、株高・金利上昇(長期金利が上昇しやすい)・ドル高の動きになります。

1-3.逆金融相場

3つ目は逆金融相場です。景気に過熱感が広がり、中央銀行が金融引き締めに転じる局面になります。

このタイミングでは、これまで中央銀行がお金の蛇口を開けっぱなしになっていた局面から、締め始めます。市場流動性が低下し、株安に転じる動きになっていきます。

金融引き締めとなり、政策金利は引き上げられます。短期金利を中心に上昇し、米ドルは上昇しやすくなります。

相場の動きは、株安・金利低下・ドル高になります。逆金融相場は景気が成熟したタイミングと知っておきましょう。

1-4.逆業績相場

4つ目は逆業績相場です。金融引き締めを行い、景気が悪化して底打ちを探る場面になります。

ここではディフェンシブ銘柄が物色されやすくなり、景気敏感銘柄は買われにくい地合いになりやすくなります。

この辺りから中央銀行の引き締めから再度緩和を意識し始めるタイミングとなります。

相場の動きは「株安、金利低下から横ばい、ドル安」という動きになります。

2.景気サイクルをどのようにFXに利用するのか?

景気サイクルの知識を、FXのトレードにどのように活かせるのかを解説します。

FXは金利と密接に関連しています。金利の変動は景気サイクルに直結するため、FXのポジションも景気サイクルをトレードの目安にできるのです。

金融相場が発生したタイミングにドルを売りつつ、次の業績相場に入るタイミングでドルロングにポジションを変更します。逆金融相場のタイミングでは米ドルのロングを一旦解消する動きに徐々にシフトする動きを取ることができます。

景気サイクルはすぐに変化するわけではありません。景気サイクルを知っておくと、長期的なトレードに役に立ちます。

株とFXのどちらにも投資している場合は、景気サイクルに合わせてポートフォリオや投資割合を変化させてもいいでしょう。

逆業績相場に入っていく場面では、ドルのポートフォリオを落としつつ、一方で次の金融相場がくると考え、株式の割合を増加させておくことができます。ドル高にならないタイミングで、株の上昇が期待できます。

金融相場から業績相場に移るタイミングで株の比率を落としつつ、米ドルの割合を増加させる資産運用も考えられるでしょう。

3.2022年11月現在の景気はどのサイクルに当てはまるのか?

2022年11月現在の景気で見るべきポイントは、金利だと考えています。

米国は高インフレを抑え込むために、年初から利上げを行っています。春から夏にかけて政策金利の引き上げを急ピッチで進めてきました。

景気サイクルで考えた場合、春先までは業績相場でした。2022年11月現在は逆金融相場であり、今後は逆業績相場に移行するでしょう。

金利はある程度引き上がっており、インフレはすぐには低下しないでしょう。政策金利の引き上げ余地が限られてきているためです。

今後はインフレが止まるタイミングや、FRBが利上げストップし、利下げを検討し始めるタイミングが注目されるでしょう。

2022年はインフレ退治を最優先としているため、FRBタカ派を維持し、利上げを続けると予想します。

4.米ドルのポジションを反転させるタイミングは?

米ドルの利益確定のタイミングを考えているFX投資家は多いでしょう。景気サイクルから考えると、年内には一旦米ドルを解消するFX戦略が、選択肢として挙がるでしょう。

年内にインフレが抑制される見通しが立つ、インフレがこれ以上加速しない場合は、無理に政策金利を引き上げる必要性がなくなります。FRBのタカ派スタンスが後退する材料が出れば、ドル高トレンドが一旦解消される可能性があります。

ディフェンシブ銘柄が物色され始める、市場の利上げ予想が低下し始めた場合は、ゆっくりと米ドルのポジションを解消することを検討してみてください。

5.まとめ

ここではFXのトレード戦略を景気サイクルから考える方法を解説しました。景気サイクルは長期的な視点でのトレードとなります。

景気サイクルに興味を持った方は、この記事を参考にしてトレードを行ってみてください。

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中島 翔

一般社団法人カーボンニュートラル機構理事。学生時代にFX、先物、オプショントレーディングを経験し、FXをメインに4年間投資に没頭。その後は金融業界のマーケット部門業務を目指し、2年間で証券アナリスト資格を取得。あおぞら銀行では、MBS(Morgage Backed Securites)投資業務及び外貨のマネーマネジメント業務に従事。さらに、三菱UFJモルガンスタンレー証券へ転職し、外国為替のスポット、フォワードトレーディング及び、クレジットトレーディングに従事。金融業界に精通して幅広い知識を持つ。また一般社団法人カーボンニュートラル機構理事を務め、カーボンニュートラル関連のコンサルティングを行う。証券アナリスト資格保有 。Twitter : @sweetstrader3 / Instagram : @fukuokasho12