国土交通省は4月22日、「ESG投資を踏まえた不動産特定共同事業等検討会」の中間とりまとめを策定、公表した。同検討会は、個人投資家による適切な不動産投資の促進や不動産投資市場の新たな潮流への対応に向け、2019年9月に設置。同年2月に設置された「ESG不動産投資のあり方検討会」から、より具体的な施策や規制について議論を進めた。
第1回目の検討会(9月)では不動産特定共同事業の適切な規制のあり方、第2回(11月)ではLPS(投資事業有限責任組合)・LLP(有限責任事業組合)の活用可能性と範囲の見直しについて、3回目(20年1月)は暗号資産・電子記録移転権利の取扱い、トークンを活用した不動産投資の可能性と法的枠組みについて意見を交換した。
中間とりまとめでは、具体的な検討課題として①不動産特定共同事業の適切なガバナンスの確保②不動産と社会の関わりを捉えた規制の適正化③ブロックチェーン技術活用によるトークンの取扱いについて、それぞれの取り組みの方向性を提示している。
不動産特定共同事業の適切なガバナンスの確保では①不特法の対象とすべき区分所有不動産投資契約を規定する②LPSの活用可能性を検討する上で、LPSの投資対象として不動産を含めることの具体的メリット、活用手法などに関する議論を開始する③広告において事業者の名称、許可(登録)番号、商品リスクなどの記載をすることを含め検討するとともに、国土交通省ホームページなどにおいて不動産投資における注意喚起を実施する④特例事業の一般投資家制限を一定程度まで緩和することが可能か検討することが確認された。
不動産と社会の関わりを捉えた規制の適正化では、不動産特定共同事業の範囲の見直し、1号事業における他業との関係・あり方、特例事業者が行うことができる事業の範囲、ESG情報の開示についての4項目が挙げられている。
トークンについては、ブロックチェーン技術を活用したサービスの拡大を背景に、19年6月に金融商品取引法が改正され、トークンに係る規制の整備がなされたことから、不動産投資分野でもトークンに対応した制度整備が求められるとして、議題に加えられた。トークンの取り扱いは、各国の最新動向を把握する一方、トークン発行による資金調達に必ずしも限定せず、不動産に係る新技術の動向について、投資家保護・適切な投資促進のために必要な制度的措置を順次実施することとした。
今後は中間とりまとめの内容を踏まえ、20年度中に不動産特定共同事業に関連する法令等改正案を作成する。
【参照リリース】国土交通省「ESG投資を踏まえた不動産特定共同事業等検討会、中間とりまとめ策定」
HEDGE GUIDE 編集部 不動産投資チーム
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