テクニカル指標というのはFXに限らず株や先物、コモディティ等全ての投資商品を分析する場合に利用されています。当然投資家によっては利用するテクニカル指標は異なりますが、投資初心者はどのテクニカル指標をどのように利用すべきかわからない方も多いのではないでしょうか。
その中でもボリンジャーバンドというのはテクニカル指標でも代表的なテクニカル指標の一つであり、利用しやすいテクニカル指標です。
この記事では、ボリンジャーバンドの基本的な使い方や気を付けるポイントについて解説します。
目次
- ボリンジャーバンドの意味と数値
- ボリンジャーバンドの基本的な使い方は?
2-1.ボリンジャーバンドの順張り
2-2.ボリンジャーバンドの逆張り - FX初心者がボリンジャーバンドを使う注意点
3-1.逆張りトレードを安易に行わない
3-2.ボリンジャーバンドのみでトレードしない - まとめ
1.ボリンジャーバンドの意味と数値
ボリンジャーバンドとは統計学での標準偏差の数値を利用してラインを引き、どのくらいの確率で価格がそのラインの中に収まるのか視覚的に理解できるテクニカル指標です。そのラインのことを「バンド(帯)」と呼んでおり、バンドを利用してトレードに活かすことを目的としています。
ボリンジャーバンドの数値は「σ(シグマ)」という数値で表されており、標準偏差を意味しています。移動平均線に対してσの1倍から3倍加算したり減算したりして±1σ〜±3σと表現します。
上記がボリンジャーバンドの±1σから±3σのバンドです。この1σから3σの間に収まる確率は以下のようになっています。
ボリンジャーバンドの±1σの範囲内に収まる確率…約68.3%
ボリンジャーバンドの±2σの範囲内に収まる確率…約95.4%
ボリンジャーバンドの±3σの範囲内に収まる確率…約99.7%
価格が±3σの範囲内に収まる確率が99.7%という統計データからみると、その範囲から逸脱して価格が推移している場合はイレギュラーな動きと捉えることができるため、範囲内に価格は再度戻る可能性があると考えた方がいいでしょう。
2.ボリンジャーバンドの基本的な使い方は?
次にボリンジャーバンドの基本的な使い方について紹介します。ボリンジャーバンドは「順張り」と「逆張り」いう2つの基本的な使い方があります。
2-1.ボリンジャーバンドの順張り
順張りの利用方法を下記のチャートを利用して説明します。下記はドル円の4時間足チャートです。
ボリンジャーバンドの+1σをサポートラインとして上昇トレンドが継続していることがわかると思います。そして調整安となったタイミングでも中心線でサポートされており、綺麗な上昇トレンドが継続しています。
つまり順張りでボリンジャーバンドを利用したい場合は中心線から2σや3σの範囲で収まっている時にしっかりとついていきながら利益を取る手法です。
このような場合損切りを行うのは−1σに到達するように上昇トレンドが転換した時になります。上昇トレンドの時に投資初心者は逆張りを行いやすいため注意してください。
順張りは、初心者の方はまず意識して行う必要があります。
2-2.ボリンジャーバンドの逆張り
次にボリンジャーバンドの逆張りの利用方法について説明します。下記のチャートはドル円の1時間足のチャートです。
緑の○は価格が−3σに到達しているタイミングを示しています。
このタイミングというのは統計学上99.7%範囲内で収まる3σを超えて推移してしまっており、すぐにこのバンド内に戻る確率がとても高いということを意味しています。そのためトレードとしては、ドル円のロングポジションを構築してバンド内や2σの範囲内に収まるタイミングで利益確定を行う手法が逆張りの手法です。
今回は例として3σを利用しましたが、FXでは2σで利用する場合も多くあるため、投資家によってどの標準偏差を利用するかは異なります。
3.FX初心者がボリンジャーバンドを使う注意点
ボリンジャーバンドは上記のように比較的に投資初心者でも利用しやすく、使い勝手のいいテクニカル指標ですが、そのまま利用することで勝てるわけではありません。
下記で行ってはいけないボリンジャーバンドの使い方を説明していきます。
3-1.逆張りトレードを安易に行わない
逆張り手法はとても勝ちやすいように聞こえる方もいるかもしれませんが、逆張り手法はリスク管理がとても難しく、一回のトレードで資産の全てを失う可能性があるほど危険なものです。
損切りを基本としたリスク管理を行う能力があれば、逆張りトレードを考えても構いませんが、トレードの危険性やリスクを理解しないうちは絶対に行うべきではないでしょう。
また逆張りトレードでも特に短い時間足での逆張りトレードは命取りといえます。
下記はドル円の1分足チャートです。
緑の○は+3σにタッチしているため、通常の考え方ではドル円のショートポジションを構築するということがセオリー通りとなります。
しかしチャートを見るとそのまま+2σに沿っていく形で上昇していることがわかります。このように短い時間軸でトレードを行うとボリンジャーバンドも騙しが多くなり機能しなくなることが多くあります。
必ず1時間以上のローソク足で利用することをおすすめするとともに、投資初心者は逆張りではなく順張りからトレードを行うことを徹底してください。
3-2.ボリンジャーバンドのみでトレードしない
ボリンジャーバンドは利用しやすいものですが、これだけでトレードは勝てません。複数利用するテクニカル指標の一つとして表示させておき、色々な組み合わせで利用するようにしましょう。
順張りでのトレードを先ほど解説しましたが、トレンドが発生するのは1年でも3ヶ月から4ヶ月と言われており、それ以外の期間はレンジ相場で推移することが多いものです。レンジ相場の場合中心線で上下を繰り返してしまうため、中心線でサポートされない場合が多くあり、何度も損切りを迫られるでしょう。
下記はドル円の日足チャートですが、上記のように中心線を挟んでレンジ相場となっていることがわかります。
このような相場の場合ボリンジャーバンドは機能しなくなります。
そのためトレンドが発生したと判断するようなテクニカル指標を組み合わせて利用することが必須となるということです。
トレンドが発生したことを判断できればボリンジャーバンドはトレードで強い味方となるでしょう。
4.まとめ
ここではボリンジャーバンドの基本的な使い方と投資初心者が行ってはいけない使い方について解説しました。
ボリンジャーバンドは考案された当初の使い方として順張りトレードを意識して考えられています。そのため、まずはどのように利用すれば順張りトレードが行いやすいか意識しながらボリンジャーバンドを利用してみてください。
そして基本的な使い方やリスク管理が自身で理解する過程で、逆張りも含めた新しい自分自身の使い方というものを探してみましょう。
中島 翔
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