仮想通貨のハッキング被害は仮想通貨投資家にとって何より避けたい出来事ではないでしょうか。仮想通貨は価格変動が激しい投資商品として知られており、2017年の価格の高騰により注目を集めました。
仮想通貨の価格高騰による参入者の増加は、国内の仮想通貨交換業者の成長を大きく後押ししました。金融庁によると、仮想通貨取引所の2017年の総資産は前年度比553%の増加を見せ、職員1名あたり約33億円の預かり資産を取り扱うに至りました。一方、職員1名あたり約33億円の資産の取り扱いについては、金融庁から「少ない役職員で多額の利用者財産を管理している」と指摘されており、仮想通貨取引所は事業規模が拡大する中で増加した業務を行う人材確保が追いつかず、内部管理態勢がずさんなまま運営が続いていたことが明らかとなりました。
残念なことに、仮想通貨取引所では大なり小なりハッキング被害が相次いでおり、仮想通貨の普及を妨げる一因となっている状況です。今回は、過去に発生したハッキング被害事件の被害額をご紹介しながら、安全・安心な仮想通貨の保管方法についてご紹介していきたいと思います。
目次
世界の仮想通貨取引所ハッキング被害額ランキング
まずは過去に発生した仮想通貨のハッキング被害額について見ていきましょう。
【第1位】5億2630万10XEMを流出、時価約580億円の被害を受けた「Coincheck(コインチェック)」
Coincheckは2018年1月当時、およそ170万アカウントが存在するとされた国内最大級の仮想通貨取引所です。金融庁の認可申請中のみなし業者であったものの、国内仮想通貨取引所の中ではアルトコイン数の取扱数が最も多かったことやユーザビリティの高いアプリが人気の取引所でした。Coincheckは2018年1月26日、不正アクセスにより5億2630万10ものNEM(XEM)が流出し、被害者は約26万人におよびました。Coincheckは、被害者に対して自己資金から1NEM(XEM)あたり88.549円の補償を実施し、マネックスグループの子会社となりました。仮想通貨の価格はCoincheckのNEM流出事件以降、2018年10月現在に至るまで、半年以上の期間下降を続けています。
【第2位】約75万BTCが盗難、時価約370億円の被害を受けた「Mt.Gox」
Mt.Goxはハッキング被害を受けた2014年当時、世界最大の取引量を誇った日本の仮想通貨取引所です。Mt.Goxを設立したジェド・マケーレブ氏はビットコインの普及に大きく貢献したことで仮想通貨業界では広く知られる人物で、XRPやステラ(ルーメン)の創設者でもあります。ジェド氏から事業を引き取ったマルク・カルプレス氏によって運営されていたMt.Goxは2014年2月、約75万BTCの盗難にあい、破産手続きを行うこととなりました。2018年に入り、Mt.Goxの一部債権者の申し立てを受けて東京地方裁判所より民事再生手続開始決定されたため、2018年10月現在では破産手続は中止されています。
【第3位】約1700万XRBが盗難、時価約200億円の被害を受けた「BitGrail」
イタリアの仮想通貨取引所BitGrailでは2018年2月、約1700万XRBの仮想通貨ナノ(XRB)がハッキングによって盗まれました。事件後の2018年3月、BitGrailは盗難被害者へ取引所に対して訴訟を起こさないことを条件に、独自のトークンを配布することで損失の80%を補填し、残りの20%をナノで補填することを発表しました。しかし、Bitgrailは2018年4月、被害者が取引所の再建よりも破産による資産の公平な配分を求めていることを理由に、イタリアの裁判所に取引所の破産申立てをしたことを発表しました。
【第4位】約119,756BTCが盗難、時価約76億円相当の被害を受けた「Bitfinex」
香港を拠点とする仮想通貨取引所Bitfinexでは2016年8月、約119,756BTC時価約76億円相当のビットコインが盗難されました。同取引所保有資産の4割弱におよぶ損失は、Bitfinexにアカウントを保有するすべてのユーザーで負担し、ビットコイン以外のすべての資産においても損失が適用される事態となりました。この損失に対する補償として独自トークンが発行・配布され、Bitfinexの親会社であるiFinexの株式、またはBFXあたり1ドルのレートで取引が可能となる対応が行われました。ハッキング被害前に600米ドルで推移していたビットコインは、500ドルまで価格の値下がりが起きましたが、Bitfinexはハッキング被害前の604ドルでの補償を決定しました。
【第5位】時価約70億円相当のビットコイン、ビットコインキャッシュ、モナコインが盗難された「Zaif」
ICOプラットフォームCOMSAの運営でも知られる国内大手の仮想通貨取引所Zaifは2018年9月、時価約70億円相当のビットコイン、ビットコインキャッシュ、モナコインがハッキング被害によって盗難に遭いました。盗まれたビットコインは2700BTCで、モナコインは590万MONA、ビットコインキャッシュは4万BCHにおよびました。事件後、Zaifは被害者の補償とセキュリティ強化を目的として、JASDAQ上場企業である株式会社フィスコの資本提携の検討を進めていますが、2018年10月現在では補償の方針など詳細について発表されないままとなっています。
仮想通貨を安全に管理する方法とは?
仮想通貨取引所はユーザーの利便性を確保する目的で、保有資産の一部をインターネットに接続したホットウォレットで管理しているとされています。ホットウォレットは利便性の一方でハッキングリスクが高く、ユーザーはこうした現状を踏まえて自衛策を取る必要があります。以下では、仮想通貨の管理方法としてユーザーが比較的簡単に対応可能な、仮想通貨ウォレットについてご紹介します。
30種類の仮想通貨が保管可能なハードウェアウォレット「Ledger Nano S」
Ledger Nano Sは、フランスのLedger社が提供する仮想通貨のハードウェアウォレットです。ハードウェアウォレットは、端末内で仮想通貨の所有権の証でもある秘密鍵を管理するため、仮想通貨をインターネットから完全に隔離した状態で保管することができます。端末には物理ボタンとスクリーンが搭載されているため操作性が高いだけでなく、ハッキング被害によって端末が外部から遠隔操作されないような仕組みも整えられています。価格は12,490円(2018年10月時点)ですが、シッピングコストがかさむことや日本語サポートに対応していないことを考えると、割高になっても国内の正規代理店での購入がおすすめです。
安全性と透明性の高さが特徴のハードウェアウォレット「Trezor」
Trezorは、TREZOR社が提供する仮想通貨のハードウェアウォレットです。ForbesやCNNなど、大手メディアの掲載実績もあるTrezorは、ソフトウェアがすべてオープンソースとして公開されている透明性の高さと、第三者でもバックドアのない安全性が監査であることが特徴です。TrezorはLedger Nano Sと比較して対応通貨数が多くないものの、NEM(XEM)の保管が可能です。保有する仮想通貨対応のハードウェアウォレットを購入することはもちろんですが、ハードウェアウォレットは紛失リスクや故障リスクもあるため、ビットコインだけを保有している場合でもTrezorとLedger Nano Sの2台を購入するなど、複数台の保有がおすすめです。
初心者でもスマホで仮想通貨を安全に保管できるソフトウェアウォレット「Ginco」
Gincoは、株式会社Gincoが提供する仮想通貨のソフトウェアウォレットです。Gincoはスマートフォンアプリとしてインスールするだけで利用できるウォレットで、日本語で分かりやすいUIが特徴です。従来、仮想通貨のウォレットは技術用語なども多く、日本語に完全に対応しているウォレットもありませんでした。そうした中、Gincoは日本語サポートも行っており、初心者であっても使いやすい利便性の高さとセキュリティのバランスが整ったウォレットとなっています。また、Gincoではインストールをしておくだけでトークンが配布されるAirdropも定期的に実施している他、Gincoに仮想通貨資産を10万円以上保有しているユーザーは高額なAirdropが当選するようにされているなど、仮想通貨を楽しむことができる仕組みも整っているおすすめのウォレットです。
仮想通貨取引をするならウォレットの導入は必須!
昨今、仮想通貨取引所は保有資産の多さからハッキングの対象とされることが多いと言われています。そのため、仮想通貨取引所に自身の資産を保有し続けてしまうことでハッキング被害によって資産を失う可能性もゼロではありません。ハッキングに対して個人ができることはそれほど多くありませんが、取引所を分散して利用したり、上述のウォレットを複数台導入することでリスクを最小限まで抑えることができます。仮想通貨投資を始めたいと考えている方はハッキングリスクを常に考えておく必要がありますので、ぜひウォレットの導入を検討してみてください。
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